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2026/07/08/水

医療政策・制度解説

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新たな地域医療構想策定ガイドラインとは何か―2040年に向け、病院の役割がより具体的に問われる時代へ―

【執筆】シニアマネージャー草野 康弘

はじめに

2026年7月3日、厚生労働省は「新たな地域医療構想策定ガイドライン」を公表されしました。
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001718620.pdf

これまでの地域医療構想では、急性期、回復期、慢性期といった病床機能をどのように分化し、連携させていくかが主な論点でした。今回のガイドラインでは、それに加えて、各医療機関が2040年に向けて地域の中でどのような役割を担うのかを、より具体的に整理していく考え方が示されています。

あわせて、患者の受療行動や人口動態を踏まえた構想区域の見直しや、病床機能における「包括期」の位置づけなども盛り込まれています。

4つの役割で整理される医療機関機能

各医療機関は、主に次の機能に基づいて、現在の診療実績や将来の役割を報告していくことになります。

  • 急性期拠点機能
  • 高齢者救急・地域急性期機能
  • 在宅医療等連携機能
  • 専門等機能

なかでも大きいのは、「急性期拠点機能」が明確に位置づけられたことです。
これまで「急性期病院」と呼ばれてきた医療機関の中には、手術や重症救急を数多く担う病院がある一方で、高齢者の軽症救急に対応する病院もあるなど、実際の診療内容は大きく異なっていました。

今回の整理によって、手術や高度な救急医療を担う病院と、高齢者救急や地域に密着した入院医療を担う病院との役割分担について、〝1つの病院が「急性期拠点機能」と「高齢者救急・地域急性期機能」とを同時に持つことは認めない〟とし、これまで以上に役割分担を明確にしていく方向が示されています。

限られた医療人材や設備を考えれば、すべての病院が同じ機能を持ち続けることは難しくなっています。それぞれの病院が何を強みにし、地域の中でどこを担うのかを決めていく必要があります。

在宅医療が、地域医療を支える重要な役割に

今回のガイドラインによって、「在宅医療等連携機能」が、主要な医療機関機能の一つとして示されたことも見逃せません。
ここでいう在宅医療等連携機能は、病院が訪問診療を行うことだけではありません。地域の診療所、訪問看護ステーション、薬局、介護事業所、高齢者施設などと連携し、患者の急変時に相談や入院を受け入れることも含まれます。

在宅療養を支えるには、日常的に患者を診る診療所や訪問看護だけでなく、必要なときに入院を受け入れる病院が必要です。
在宅医療は、病院の外にある別の事業というより、地域での療養生活を支えるために、病院が担うべき役割の一つとして位置づけられています。

方向性はこれまでと変わらず、今後は「実行」の段階へ

今回のガイドラインに、これまでになかった全く新しい考え方が示されたわけではありません。
高齢者救急への対応、在宅医療の強化、急性期医療の集約化、医療機関同士の役割分担は、以前から繰り返し示されてきた方向です。

ただ、これまでは方向性として語られてきたことが、各病院が2040年に何を担うのかを具体的に決める段階に入ってきました。
今後は、診療実績、将来の医療需要、人材の確保状況、病床稼働率などを見ながら、地域ごとに病院の役割が整理されていきます。

地域医療構想を策定し、実際に動かしていくのは都道府県です。
どの病院にどの機能を担ってもらうのか。どこに急性期医療を集約し、どの地域に高齢者救急や在宅医療の機能を残すのか。こうした判断には、数字だけではなく、住民の生活圏や医療機関同士の関係、地域の歴史も関わってきます。
行政には、データを示すだけでなく、関係者の間に入りながら、現実的な役割分担をつくっていく力が求められます。

地域医療構想の実現に向けて

今回のガイドラインは、病院に機能転換を求める文書であると同時に、地域全体の医療提供体制をどう組み直すかを、行政と医療機関の双方に迫る内容だといえます。

当社では、これまで多くの自治体において、地域医療を支える仕組みの構築を支援してきました。公表データ分析や地域の実情を深く捉えたうえで、地域医療構想の実現に向けての課題の整理から施策の検討・実行までサポートしますので、ぜひお問い合わせください。

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執筆者

草野 康弘
東京都出身。慶應義塾大学総合政策学部卒業。在学時は医療者と一般市民が相互理解を得るためのヘルスコミュニケーションについてフィールドワークを中心に研究を行う。 大学卒業後、外資系医療機器メーカーでの新規市場開拓営業に従事した後、2014年1月よりメディヴァに参画。病院の経営企画職等の現場実務を経て、医療機関の事業再生を専門としてプロジェクトマネジメントに従事。現在は患者視点の医療を実現すべく、全国の中小病院をコミュニティ・ホスピタルに変革することをミッションとして取り組んでいる。

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