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2025/08/14/木

コラム

「やる気が出ない」悩みはどうすれば解消できるか?

振り返ると、これまで何十年も「やる気が出ない」という壁に向き合ってきたように思います。家族や周囲を見ても、これは多くの人が抱える普遍的な悩みだと感じます。

壁に阻まれたこともあり、壁を乗り越えたこともありますが、私なりの経験と考えから「やる気が出ない悩みの正体」と「やる気を持って取り組める方法」について考察して見たいと思います。

【やる気が出ない状態とは?】

「やる気が出ない」状態とは、“やるべきことがあるのに、手や頭が動かない”状態です。
本来やるべきことは、多くの場合こんな特徴を持っています。
・大きな意義がある
・高い目標に向かう
・長期に渡って粘り強く取り組む必要がある

しかし実際は、私たちは多くの場合、短期的で簡単、すぐに結果が出ることへ流れてしまう。それが「やる気が出ない」状態の正体です。

【やる気が出ないのはなぜ?】

なぜそのようになってしまうのでしょうか?
怠惰な性格だからでしょうか?
能力が不足しているからでしょうか?

何十年もかけて私が到達した答えは「人間がそうできているから」です。

人間はもともと、
・将来より目先の確実な利益を優先する
・成功の見込みが薄い挑戦を避ける
・集中は短期的・必要な時だけ

という性質を持っています。これは、リスクを避けたり、エネルギーを浪費することを避けるなど、生存のために進化の中で培われた性質だと思われます。

では、やる気が出ないことは不可避であり、諦めるべきなのでしょうか?
もしそうなら、夢も希望もない結論ですが、そうではないと考えます。

人間は上記のような性質の一方で、状況によっては以下のような性質も見せます。
・長期にわたって一つの目標を追いかける
・その価値があると思えば、リスクや労力を思い切ってかける
・困難の末に達成することや、自分の成長に喜びを感じる

これは、また上記とは別の形で生き延びる確率を上げるための方策で、おそらく人間社会や生き延びるべき環境が複雑になってきたことで育まれた性質だと思われます。
上に書いたものを「短期脳」、こちらを「長期脳」と名付け、この後は、短期脳、長期脳と呼ぶことにします。

かなり大まかな対比ですが、短期脳が生存のためのベーシックな本能であるのに対して、長期脳はより複雑で長期的な生存につながる思考や理性に関わる性質だと思われます。古い脳(大脳旧皮質)、新しい脳(大脳新皮質)といった捉え方もできると思います。

より本能に近い短期脳のほうが優先されがちなことは想像に難くないですが、おそらく現代のような複雑な社会の仕組みのなかでは、生存のためには長期脳が求められることが多く、ここに生じるギャップが「やる気が出ない」という悩みの正体だと思います。

【”長期脳”が発揮される7つのポイント】

さきほどあげた3つの取り組み方(・意義のあることを達成するために・困難な目標に対して・長期にわたって真剣に取り組む)に対して長期脳が力を発揮するにはどうすればよいのかを以下に順番に考えてみます。

(1)「本当に目指したいと思うこと」に取り組むこと

継続的に努力しているけど本当に打ち込むことができない、ということが起こりがちです。それは自分が本当に目指していないからかもしれません。

本当に目指すものを追いかけていれば、うまくいかないことや挫折があっても乗り越えられるのではないでしょうか。”何にでもやる気が出るノウハウ”があれば良いのですが、人間はそのようにはできていないので、どうしてもやる気が出ない時に「自分が本当にそれを目指したいと思っていないのでは?」と疑うことは必要だと考えています。

どうすれば「本当に目指したいもの」が見つけられるでしょうか?
馬鹿馬鹿しいと思われるでしょうが、まずは探すことです。多くの人が最初から「本当に追いかけたいものを追いかけるのは無理だ」とか「目指すべきものは誰かから与えられるものだ」と思っているように感じます。いずれにしても、何事も探さなければ見つかりません。

純粋に探せていないこともよくあります。例えば、なりたい自分の姿や達成したいことを探しながらも、収入面のことも気になったり、世間体が気になったり、と色々な要素が入ってきて整理できていない場合などです。これらも大事ですが、最初からごちゃ混ぜにしていては、本当のことがなかなか見つかりにくいでしょう。

「本当にやりたいことが見つかった」とわかる基準は以下の3つを強く感じるかどうかだと思っています。

・意味を強く感じ、キャリアの大半を注ぎ込めると思えるか?
・なりたい自分になれると感じるのか?
・やっていて飽きることがない、楽しいと感じることか?

様々な経験を通じて、また情報に接する中で上記の3ポイントを強く感じるかどうかを基準として追いかけていくことで、本当に目指したいものを見つけることができるでしょう。また、そこに行き当たるまでには広い経験や情報、人と接することなど探索の範囲を広げていくことも重要だと思います。

人生の中で一つでも「本当に目指したいもの」を持てればとても幸運だと思うので、簡単に見つからないのも当たり前だという心構えも重要です。一回で一生のものに出会えるとも限らないので、まずは何かを目指す、そこに近づいたらまた何かを目指す、という繰り返しのプロセスかもしれません。

(2)意味を自分で作り出すこと

自分にとって本当に追いかけたいものを持つには、もともとピッタリのものに出会うしかないのでしょうか?

私はそれは少し受動的な考えだと思うし、現実に起こっていることとも違うように思います。(1)の中で「探す」という話をしたのとは少し矛盾する部分があるかもしれませんが、最初から100%ピッタリのものと出会うしかない、というのはやはり違って、意味は「自分で作り出す」という面もあると考えています。

有名な例え話ですが、レンガを積んでいる人に「何をしているのですか?」と尋ねたときに、一人は「レンガを積んでいるんだ。」と素っ気なく答え、一人は「いま素晴らしい教会を作っているんです。これが完成したら多くの人がここへ祈りを捧げにくるでしょうね。」と目を輝かせて答えたといいます。この二人を比べたときにどちらが強いモチベーションを持ち、どちらが良い仕事をするかは明らかだと思います。

自分が意味を感じるポイントを意識することや、あらゆる物事の中に存在する性質に対して見出せる意味を敏感に感じとることを通じて、出会ったものの中に自分なりの意味を作っていくことによって、当初はそこまで強く意味を感じられなかったことでも取り組んむうちに、「自分が本当に追いかけたい」と感じることができると思います。

(3)自分には出来ると信じること

数年、10年、数十年をかけて高いレベルの達成を目指すとき、どうしても圧倒されてしまい「自分にはとても無理だ」と思いがちです。それは自分ではなく何処かにいる特別な人が達成することだと想像して最初から諦めてしまう、もしくは少しやってみただけで諦めてしまう場合も多々あります。

どうすればそれが出来るのか、なかなか目の覚めるような解決手段はないでしょうが、ある程度は頭で推測する、自分を納得させることだと思います。
・誰かが出来るなら自分にもできるはず
・自分には○○ができたのだからこれも出来るはず
・このようなステップを踏めば理屈的としてはできるはず

、、などでしょうか。

自分ではできないと思っても、誰か目上の人や第三者が信じさせてくれるようなこともありますので、自分の目線だけで諦めないことも大事だと思います。

これに関連するブログを以前に書いたので、よろしければ参考にしてみてください。
物事の達成確率を上げる一つの視点→ https://mediva.co.jp/recruit/blog/column/5938/

(4)やっていることが達成につながると自らを納得させること

長期間にわたって達成するプロセスを考えると、今の取り組みが本当に達成に繋がっているのか?という疑問が湧きがちです。

「高いレベルを達成するには、特別なことを行わなければならないが、自分がやっていることは平凡で、そこにはつながらないのではないか?」という思考が出てくることも多くあります。

仕事で言えば、誰でも出来そうなこと、自分に向いていなさそうなこと、一見無駄に思えることが繰り返されると「このままでは自分の行き着きたいところに行けないのではないか?」「自分は成長していないのではないか?」という気持ちが生まれることも多く、だんだんとやる気を失っていきがちです。

もちろん、本当に達成につながらないのであれば、別の道を探るほうが良いのですが、あまり確信もなく、他の方法も見つかっていないままに不安になって、せっかくの道を手放してしまうことも多いと感じます。このようなときに私がよく使う思考方法は、以下のような問いを自分に投げかけることです。

・今やっていることは確かに平凡で、特別なことに結びつかないかもしれないが、自分が今立っている位置は、そこに近づく可能性のある道だろうか?もしそうなら、自分がやっていることを自分で変えることが出来るかどうかを考えたり、ここからスタートして自分が行き着きたいところへ到達するプランを具体的に考えてみよう。

・今いる位置で自分は他の人にはできない、自分ならではの「違い」を出そうとしているだろうか?どんなに平凡なことでも、自分にしかできない「違い」を出せば自分を成長させることができるし、そこには大きな意味があるはずだ。少なくとも違いを出すことを楽しいと思うことはできるはずだ。

・この道が本当に行きたいことに繋がっているかは分からないにしても、ここで自分に出せる「違い」を最大に出し切ったと思ってから判断したほうが良いのではないか。

、、
このような思考と実践を経ても尚、ここからは自分の行きたいところに通じる道がないと思うのであれば、違う道を探せば良いと思います。いずれにしても「繋がっている」と自分で思えることがやる気につながることは確かでしょう。

(5)多少の失敗や挫折にはめげないようになること

どんなことでも一回で完璧にいくことはほとんど無いので、何かを達成するためには、小さな失敗は必須だと言えます。でも失敗することは辛いことですから、それによって無理だと諦めてしまう人もいると思います。これについては、乗り越えていくしかないと思いますが、乗り越える力をつけるためには以下のようなことが役に立つと思います。

・達成のためにここで止まっているわけにはいかないと考える
・失敗は「行為」として受け止め、自分の素質や将来の可能性には「侵食」させない
・何と言っても「慣れる」こと。人間はすべてのことに慣れることが可能に出来ている

(6)やる気を削がれる要素を他の要素で補うこと

ここまで、やる気を持って取り組むために、
・意義があると思うことに向かって、
・自分にはできると信じて、
・今やっていることがそこにつながると思いながら、

取り組んでいくことが重要だと述べましたが、これらが常にすべて満たされないとダメだと思ってしまうと、かなり厳しいことになると思います。一つが一時的に欠けてもやる気を失うのであれば、おそらく達成から遠ざかると思います。

これまでの体験から、これらの要素はお互いに補い合うことが可能であると感じており、
3つの要素のうちの、どれかに疑いが生まれてやる気が出ないときに、他の2つのどちらか、もしくは両方によって補うことで気持ちを保つことも役に立つことが多々あります。

たとえば、今やっていることが平凡で将来に繋がらないと思ってやる気が出ないときに、目指しているものを思い浮かべることで気持ちを奮い立たせたり、自分にできると信じられないときに、目の前のことで少しでも違いを出そうと考えたり、日々少しでも成長に繋がっていることを確かめることで気持ちを保つなどです。

(7)”短期脳”をうまく活用すること

ここでは短期脳より長期脳を発揮するための方策を考えていますので、項目としてはズレてしまいますが、短期脳の方が発揮しやすいのであれば、それを活用することも考えるべきだと思います。なかなかやる気を持てないものに対して一工夫することで面白くするといったこと、例えばスポーツの練習をゲーム形式にして遊び感覚で行うといったことです。パターンとして以下のようなことが挙げられます。
・単調な物事をゲーム化する(競争する、ベスト記録を目指すなど)
・何かを得ている感覚にする(スコア化して蓄積を可視化、誰かに見てもらうなど)
・何らかの”重し”をつける(人と一緒にやる、人と約束する、宣言して退路を断つ)

これらを組み合わせることも可能だと思います。

*補足 ー架空の理想とのギャップに苦しまないことー

ここまで、あるべき取り組み方にいかに近づけるかを考えてきましたが、実は全てがあるべき姿に沿っているという理想像というのは、人が頭の中で作り上げている架空のもので、実際には有り得ないのではないか?とも思っています。有り得るかといえば有り得るのでしょうが、ほとんどの場合は気にしなくても良いという感じでしょうか。

頭の中で理想を作り上げて、頭の中で自分の実態とのギャップを作り出して落ち込む、といったことがよく起きていて、それはとてもマイナスだと思います。世の中でハイアチーバー(high achiever = 高い目標に対して努力して常に達成する人)と言われるような人をそれなりの人数見てきましたが、その人たちですら、かなり苦労しながら自分のやる気と格闘していると感じました。

ですから、理想とのギャップを見て落ち込むよりも「四苦八苦で当たり前、その中でもいかに前に進んでいくかの勝負だ」と思っているほうが前向きに取り組めるはずです。

【まとめ】

ここまで、やる気が出ない悩みと、やる気を出すための方法について考えてきました。

書きながら、何年か前に運転しているときに流れてきた予備校のCMを思い出しました。先生には3つのレベルがあるとして、普通の先生、優秀な先生、最高の先生をそれぞれ以下のように表現していました。

・普通の先生:勉強を教える
・優秀な先生:受験に合格する方法を教える
・最高の先生:生徒の心に火をつける

それを聞いてとても納得し、感心しました。自分の経験を振り返ってみても、本当にやる気をもって集中して成果を出せたのは、なんとなく始めてなんとなく取り組んだときではなく、心に火がついたときだと思い返しました。ここまで書いてきたことは一言で表せば、いかにして「心に火をつける」かということだったと思います。

もう一つ思ったことは、人生の中で目指すことを追いかけていけば、それがキャリア作りにつながるということです。もちろん仕事だけが人生ではありませんが、人生で追いかけたいことを考えたときに、それが自然と仕事に結びつき、長期に渡って追いかけることがキャリア作りにつながるのではないかと思います。

メディヴァは、創業以来25年にわたって「より良い医療の実現」に取り組んできた会社です。まさに、ここに書いたことを会社として実践していると私は思っています。私たちの事業に賛同し、同じ目的を目指して一緒に取り組んでくれる人が集まり、その人たちが幸せなキャリアを築いてくれるのであれば、大きな喜びです。

これからも多くの人の心に火をつけられるよう、多くの人の幸せなキャリア作りにつなげられるよう、私自身がやる気をもって取り組んでいきたいと思います。(岩崎克治)

筆者プロフィール
岩崎克治 Katsuji Iwasaki 株式会社メディヴァ取締役
大阪大学大学院 情報工学分野 修士課程修了。
マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントを経て、1997年に(株)インクス入社。ITによる高速金型事業の立上げ、クライアント企業の製品開発プロセス改革等に従事。2002年メディヴァに参画。

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