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人事ブログ

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2023/08/22/火

コラム

履歴書を受け取る側の見方、考え方をご紹介します

メディヴァで採用担当を長年やっていますので、これまで履歴書(職務経歴書を含めた応募書類)をたくさん見てきました。正確には分かりませんが、年間に1500-2000通くらいは見ているので、トータルで数万通だと思います。

数を誇っているということではなくて、仕事としてやっているうちにそんな数になり、多くの履歴書を見るうちに、履歴書について自分なりの考えを持つようになったことを伝えたくて数を出しました。

一般的に履歴書を見るときには、年齢やこれまでの経歴、仕事内容を見て、今回の募集に合っている方か、または一般的に良い・悪いという尺度だと見る人が思っているもので評価をされると思います。

色々な経験談をお聞きしても、世の中では書類選考がかなり機械的な方法で行われていることを感じます。分かりやすいところでいえば、ある年齢で機械的に書類不採用にされてしまうなどです。もちろん私も年齢も見ますし経歴も見ますが、採用をする上で、さらに言えば会社を発展させるために、そこを機械的にやってしまうと非常に大きな機会損失となるような気がしてなりません。やはり人というのは会ってみなければ分からないことがたくさんあります。

とはいえ、応募者全員とお会いするには時間が足りませんので、書類選考は必要となります。ここ数か月は特に多くの履歴書を見る機会があり、改めて自分が履歴書をどう見て判断しているのかを振り返ったので書いてみます。

まず、多くの履歴書を拝見して、ほとんどの方は定型フォーマットで書いてこられますが、それを書くときの意識というか、何のために書かれているのかという”幅”はかなり広いと感じます。

具体的な例としては、多くの方はある種の”義務”と感じて履歴書を書かれているように感じます。いわゆる仕方なく提出する書類で、そこに”間違いがないように”必要事項を書く、という意識です。

そういった履歴書は、同じフォーマットに掛かれていても、パッと全体として見たときに「必要書類です」と(だけ)言っているように見えます。

また、”自分を良く見せる”という意識のみで書かれた履歴書にもよく出会います。自分を良く見せる意識があっても良いと思いますが、それのみで、さらに飾った内容ばかりだと本当にどういう方なのかが分からなくなってしまいます。

さらに、上記の「書類として間違いが無いように」という意識と自分を良く見せるという意識が重なると、世の中的に間違い無いとされる内容で自分をアピールする、という方向が定まり、どこかにお手本で書いてあるような内容ばかりになります。

完全に書き写しやコピペをする人も少ないでしょうから、いくつかのお手本や出典から取捨選択して組み立てられているのでしょうが、全体として履歴書を見たときには、その方がどういう方か、パッと見ただけではまったく分からなくなってしまいます。

私の意識の中では履歴書は「お手紙」や「コミュニケーション手段」だと思っていますので、上に書いたような履歴書の中の自己アピール欄に「私はコミュニケーション能力が高いです」と書いてあると、「この書類こそコミュニケーションとして書いてほしいのに。。。」と思ってしまいます。

ということで、まずは履歴書をお手紙と見たときに、ここには何が(何の意識で)書かれているのか、ということを見るようにしています。ここには一言で言えば何が書いてあるのか?ということです。どういうパターンがあるか、大雑把に例をあげると、

・必要事項をきっちり書きました。
・私が御社の求めるものにピッタリであることを(採用されるために)説明しました。
・私は素晴らしい実績をこれまで上げてきました。
・私は御社のことを大変素晴らしいと思っています。
・私が本当に考えていることはこういうことです。
・私にはこういう能力が本当にあります。これが必要ではないですか?
・御社には私が学びたいことがあります。
・私が進みたい方向性と御社の方向性が同じなので入社したいです。

等々です。
どんなパターンが良いのかは一概に言うことではなく、書く人が伝えたいことが伝わることが大切だと思います。履歴書で何を伝えたいのか、意図がはっきりしていて、それが表現できているものは読んで伝わってくる度合が違います。何をどのように伝えるか?にその方の能力、適性、センスのようなものが現れることも多く、まずはそういった判断があり、さらにその方が伝えたい内容を直接会って聞いてみたいかどうかというのが重要な判断基準となります。

もう一つ思うことは、履歴者では肝心なところがなかなか分からないことがあるということです。それは、その方がその経歴のなかで、どれくらい良い仕事をされたか?どのように評価されていたのか、といったようなことです。

営業成績が全社や同期で○○位、というような記述は割と見かけますが、それだけでは本当に知りたいところまでは分かりません。本当に知りたいのは、その方が入職されたときに私たちの会社でどれくらい活躍してくれるか、ということで、そのために以前のお仕事の難しさや、その方が本当に果たした役割、貢献度などが知りたいのですが、これがなかなか分かりません。

理由はいくつかあると推測しますが、、

・あまり上手く行かなかったので書かないほうが良いと判断している。
・それほど顕彰されるような実績が無いので書けないと判断している。
・実際に自分の貢献度や仕事のレベルを振り返っていない。

といったところでしょう。

これについて、こちら側から言わせてもらえば、完璧な能力、完璧な実績の方はいないし、それを求めている訳ではないので、顕彰されるような事項だけではなく、ご自分が思う貢献、仕事で出せた価値など、できるだけ実態に沿った情報をいただきたいと思います。

当然その情報に基づいて評価はいたしますので、あまり出したくない情報かもしれませんが、実態に基づかずに入社されてもお互い良いことは無いと思います。

私達も会社や仕事について出来る限りオープンにし、お互いによく理解しあったうえで判断するのが良い方法だと信じています。

また、応募者の皆さんにとっては、これまでのキャリアをきちんと振り返り、貢献できたこと出来なかったこと、自分に出来ること出来ないこと、これからどんな人に成りたいのか、などをしっかり整理することは、必ず役に立つと思いますので、履歴書をきっかけとしてご自分のために利用されるとよいと思います。

色々と書きましたが、私が履歴書に対して期待することと、履歴書を書く方々の意識はかなり違っているようで、実際には望んだような履歴書には滅多に出会えません。そこで私としても、応募書類からはなかなか読み取れないその方の本当の姿や思いを読み取るために知恵を巡らせることになります。

その詳細は控えておきますが、その時に大前提として意識しているのは、マイナス面とプラス面をフェアに読み取る努力をするということです。そして、その方が何を考えて、どこへ進もうと思われているのか?この方の経歴のなかで、この会社で上手く行ったとしたら、その後のキャリアはどうなっているはずなのか?上手く行かなかったとしたら?など、様々なパターンを想像しながら、論理的に、実際的に考えたらどうなる?ということをチェックしていきます。

履歴書が伝えたいことを伝えるお手紙的な位置づけとなって、読み解くための知恵やテクニックなどは必要なくなれば良いなと思いつつ、できるだけ多くの、本当は”思い”を持った方と会えるよう、今日も頑張って書類を読み解く努力をし、面接をしています。(岩崎克治)

【過去ブログ発掘シリーズ】(初出2015年6月)