2026/10/21/水
大石佳能子の「ヘルスケアの明日を語る」
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皆様 こんにちは。10月も半ばになって、朝晩は涼しくなりました。
来週はマレーシアのカンファレンスで基調講演をします。東南アジアの国々ではスピーカーは民族衣装を着ているので、和服を持って行くか思案中です。
今回は最近気になったこととして、問題提起が1つとトレンドを1つです。
まずは問題提起。
先日、あるシンポジウムにブースを出展し(写真)、セミナーにも聴衆として参加しました。登壇者は4人、そのうち医師が3人(2人は行政関係者)、残る1人は特定医療法人の常務理事(非医療職)です。
小さな地方都市で中小病院を再生させて、コミュニティホスピタルとして地域医療を守る存在に建て直した人です。

その時の議論に違和感を覚えました。
ディスカッションに「地方医療の畳み方」というテーマが出されました。
「地方の自治体立病院が縮小し、各科の対応ができなくなる」ことを「地方医療が畳まれる」と呼んでいました。
確かに、地域住民にとっては、近隣にあった診療科目が無くなることは不便になるでしょう。
行政系の方々は「畳むことがマクロ的に最適、と納得してもらう」と発言されていましたが、そんなもので果たして住民は納得するでしょうか?私ならしないな、、。
そもそも小さな地方都市の自治体立病院に、各科が存在していることが、本当に住民にとって一番意味があることなのでしょうか?
小さな地方都市は、例外なく高齢化しています。
高齢者の多くは複数疾患を抱えていますし、通院できなくなっている人もいるでしょう。
地域住民のニーズを考えると、各科が存在することより、複数の疾患、症状を総合的に診てくれて、在宅医療にも対応してくれることに、より意味があるのではないか、と思います。
そうであれば、「地方の自治体立病院が縮小すること」は、必ずしも医療が「ダウングレードする(畳まれる)」ことを意味しません。
残った機能を、総合診療医による「コミュニティホスピタル」に転換すれば、むしろ住民ニーズに合う「アップグレード」かもしれません。
せっかく、もう一人の演者(常務理事)の実践がその好事例になるのに、深掘りされずに議論は進みました。
さらには中核病院からのオンライン診療でのバックアップがあれば、「スーパー・アップグレード」になる可能性は高いです。テクノロジーに関しては言及がありました。
病院が大きいか、小さいか、診療科が多いか、少ないか、を基準にするのではなく、「どういう役割を果たし得るか」を考え、新しいテクノロジーや制度を活用する工夫を凝らせば、地方でもやれることはまだまだあると感じています。
さて、最近のトレンドについて。
メディヴァに来るコンサルティングの依頼は、医療界内で起こっていることの指標です。
最近のテーマは「健診」です。
もちろん、「人間ドックを開設したい」という従来から多かった依頼も来ます。
その結果、東京都心では人間ドックは過密状態で、従来ほどは黒字化するのは簡単でなくなったように感じます。
最近は特に「富裕層向け」の個別化された特別な健診機関を作りたい、という依頼が多いです。
一方、地方では急速に人間ドックや健診機関が足らなくなっているとのこと。
地方の中核病院、自治体立病院が医局の引き上げにあって、健診まで手が回らなくなっているという実情が見えます。
海外でも動きがあります。
元々「人間ドック」は日本発で、諸外国で同じ項目を全部受けようと思うと、個々に予約をして、一連の検査が終わるまで莫大な時間とお金が掛るそうです。
このため、最近は中国やアジアだけでなく、欧米の人たちにも「人間ドックを受けたい」という希望が出てきているとのこと。自分のためだけでなく、親へのプレゼント、という場合もあるそうです。
残念ながら、日本の医療は世界には閉ざされているため、この需要の殆どはタイやマレーシアに流れているそうです。
健診そのものも変化しています。
先日、知人のドクターの呼びかけで個別化予防医療の研究に参加しました。
やることは血液検査と問診票だけ。それらをAIで分析し、結果はオンラインでFBされます。
人間ドックの血液検査ではみないような項目を測定し、項目同士の相関を取ります。
また、検査値が標準偏差の範囲内に収まっているかではなく、理想値との乖離と、何故その乖離が発生しているか(生活習慣や原因疾患等)にまで遡って探ります。
これにより、理想の健康状態に戻すためには、具体的にどういう生活(食事、運動、睡眠)を行えばよいか、というアドバイスが得られます。
結果は非常に説得力があり、運動嫌いな私がその週のうちにフィットネスクラブに加入しました!
このような健診はAIが無い時代にはできなかったでしょう。
今年になりAIが急速に日常業務に入ってきています。医療も大きく変わる予感がしています。