現場レポート

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2026/06/12/金

大石佳能子の「ヘルスケアの明日を語る」

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革命軍と規制改革

こんにちは。あっという間に6月ですね。いかがお過ごしでしょう?
先週は京都でのプライマリ・ケア連合学会学術大会にて、最終日にシンポジウムに登壇しました。
「地域と共に進化する病院と薬局 ―コミュニティホスピタルの新しいかたちー」という題です。
座長はJHCO九州病院の有吉彰子先生、登壇者は洛和会ヘルスケアシステムの矢野理事長、広尾病院の小坂鎮太郎先生、マイライフ株式会社(オール薬局)の糸賀代表取締役、そして私。

大病院、都立病院、中小病院、薬局の人たちがそれぞれの立場から「地域づくり」を語ります。
前の晩に、登壇者と関係者で集まって打ち合わせを兼ねて懇親会を行いました。
「日本社会の現状を鑑みるに、国だけには任せておけない。自分たちで考えて、行動しなくてはならない。これは革命だ!我々は革命軍だ!」と盛り上がりました。
「革命」と言っても、政府や制度を転覆させるつもりではありません。

ただ、改革は現場から起こります。
そこに必要なのは、ビジョンと意思と新しい発想。それを実行する組織と仕組み。

当日それぞれの発表を聞いて分かったことは、その仕組みの中核にDXがあること。
ITやAIを駆使し、本当にやるべきことを明確にし、それに向かう時間を捻出することが「革命」(改革)の第一歩。これが、皆の一致した意見でした。
学会員の方向けにはオンデマンドでも配信される予定なので、お時間があればご視聴ください。

▶オンデマンド配信:2026年6月22日(月)12:00 ~ 8月31日(月)17:00(予定)
https://pub.confit.atlas.jp/ja/event/jpca2026


さて、在野の革命(改革)とは別に、私は体制側(?)の改革にも携わっています。
政府の規制改革推進会議は、そろそろ年度が終わり、答申の取りまとめに入っています。今回は、データの利活用、AI診断などにも取り組み、関係各省との調整中です。

経済同友会の規制改革提言書は6月10日に発表されました。
医療介護テーマの委員長は2名で、ブイキューブの真下直晃さんと医療法人社団健育会の竹川節男理事長です。私は副委員長です。
経済同友会は経団連と肩を並べる経済団体です。ただ、経団連とは異なり、個人の資格で会員になります。その分自由度は有りますが、政府の規制改革推進会議の答申のように実現ルートがあるわけではなく、玉砕することもあります。今年は、「苦節20年、今回こそは提言に病院の株式会社化を入れるぞ!」とのご意見がありました。私は玉砕リスクを恐れたのですが、提言書に入ってしまいました。

しかしながら、発表する前に同友会内で、「営利に走るのではないか」という懸念が出て、「応召義務の確認」などを入れて、少しトーンダウン。
「病院の株式会社化」を押す主張は、

  • 病院は儲からない。借入して返済と金利の負担が大きすぎる。株式調達できれば、楽になる
  • 上場益が得られるなら人材を集めるのに有利だ

私も「株式会社が可」になれば、自分の仕事はやりやすくなることは確かだとは思います。
「営利に走る」かどうかは経営者次第で、医療法人で営利志向のところは幾らでもあります。
「配当するのはけしからん」というなら、個人開業は「100%配当」です。コストを引いた残りの全部が院長の懐に入り、大部分は医療機関には再投資されません。
一方で、「株式会社化」への個人的な懸念としては、

  • 株式調達はタダではない
  • 儲かってないし、儲からない法人の株は誰も欲しがらない
  • 病院の収益性と規模感が現状のままであれば、上場が出来るところはほぼ無い
  • そもそも株式調達自体にコストと手間が掛かり、病院には耐えきれない

「株式会社化」は押しませんが、「株式会社的」経営は必要と思っています。
「企業的」な「ガバナンス」、「戦略」、「組織」は医療機関にも必要です。
「ガバナンス」とは、法人がまともに運営されるための統治の仕組みです。

  • 理事長、院長が勝手なことをしないよういする
  • 不正や隠ぺいを防ぐ。お金の使い方を監視する
  • ステークホールダ―(オーナー、スタッフ、患者、サプライヤー、地域、行政等)への説明責任を果たす

一般的な病院でこれらがちゃんと出来ているところは多くありません。
企業も完ぺきに出来ているところばかりではないので、度々大きな不祥事が起こりますが、取締役会、社外取締役、監査役、内部監査、等々の仕組みが歴史の中で積み上がっています。
医療法人にも社員(会)や理事会はありますが、オーナー一族やその知り合いによって構成されることが多く、なあなあ感と素人感がぬぐえません。

さらには、殆どの病院には医師、看護師、技師、医療事務等の職能集団によって構成される縦の組織しかなく、戦略を考えたり、実行したり、横ぐしを刺したりする組織はありません。
過去には戦略作りは厚労省が担い、医療機関はそれを各職能群団が着々とこなせば十分でしたが、今ではそれだけでは潰れてしまいます。

同友会の規制改革提言には、「株式会社化」を「一つのオプションとして検討しうる」ということにし、「企業的な経営の仕組みを入れる」ことを記載しました。
ご興味ありましたら、ぜひ提言書をご覧ください。
大きな議論にはなりませんでしたが、中小病院に置いて総合診療医を育成する仕組みや、病院が地域事業ができるように法的整備することなども入れ込んでいます。
▶提言書:https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/2026/260610.html