現場レポート

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2025/08/08/金

大石佳能子の「ヘルスケアの明日を語る」

最近の国や東京都の動き

皆さん、こんにちは。
相変わらず暑いですね。
7月の最終週は、メディヴァのある世田谷では急に涼しくなりました。でもまた40℃近くまで上がっています。
用賀本社の近くでは、二子玉川の楽天ビルの前に毎年仮設ビアガーデンが出来ます。ところが、これを7月末に取り壊していました。驚きましたが、8月は暑すぎて、倒れる人が出るからかもしれません。

さて、最近の大石は何をしているか、というと、政府関係の仕事がまた増えています。下記に簡単に共有します。

  • 規制改革推進会議(医療介護WGの専門委員)
    医療介護WG(ワーキング・グループ)はまた次のラウンドが始まります。私が委員を務めるのは今年で確か7年目。最初の2年間は本会議の委員で、医療介護WGの座長を務めました。ちょうど新型コロナの時期で、オンライン診療の特例的な解禁も扱いました。

    規制改革会議では、まずWGごとに「球出し」をします。いろいろなテーマが出るのですが、個人的には「オンライン診療の更なる促進」や「地方の実情に合わせた介護制度の基準緩和」が気になっています。
    先月ニセコ町に行き、町長と面談した時に聞いたのですが、地方ではもはや介護は成り立たないそうです。地方は働き手が足らないだけでなく、対象者も減っていて、人数x単価で収益が決まる介護保険制度だと慢性的な赤字で事業が成り立たないとのこと。特養として建てたものをデイサービス等に一部転換しながら、多様な対象者を受け入れることも、施設基準と建設補助金上、出来ないそうです。「羊蹄山やアンナプリを眺めながら最期を迎えたい高齢者」が仕方なく札幌、登別などに引っ越すのを聞いて胸が痛みました。

    本件に限らず、日本はせっかくの公的保険制度があり、全ての国民、居住者が等しく医療介護が受けられる仕組みのはずですが、現実的には地域によって成り立たなくなっています。変わりつつある地域の実情に合わせて、弾力的に運営できる仕組みが求められます。

  • 東京都医療DX推進協議会(委員)
    今年から始まり、先日第一回目の会議が開催されました。
    国が進めている「医療DXの取組み」を、東京都は更に促進し、病院の電子カルテ導入100%を目指しています。補助金もかなり積極的に投入していますし、都の担当者は各医師会を回って精力的に説明しています。
    課題は、電子カルテの導入は必要条件ですが、十分条件ではないことだと考えます。国のDX化は、データの共有、再利用に力点が入っています。勿論それは中長期的には大事なことです。ただ、補助金の出所はつまるところ税金なので、電子カルテを入れた場合、患者さんや医療者にどういう実利があったのか、を説明できないといけないでしょう。
    電子カルテが入った結果、ドクターがPCに向かって患者さんの顔を見る時間がない、看護師さんはカルテ入力に時間を取られる、では本末転倒です。業務の効率化を通した働き方改革や病院収支の改善、患者さんがより良い医療を受ける医療の質やコミュニケーションの向上に繋げなくてはなりません。電子カルテが入った後に、どういうシステムを付加し、どういう業務にするのか、までを設計することが必要ではないかと思っています。
    また、そもそもデータの入出力や遠隔での操作を可能とするなら、電子カルテと他のシステムの自由なAPI連携や電子カルテ自体のクラウド化が求められると考えています。


  • 経済同友会規制改革委員会(規制改革委員会副委員長)
    新型コロナの直前に誘われて経済同友会の会員になり、今年幹事に選出されました。同友会は経団連と肩を並べる経済団体ですが、会員は企業ではなく、個人になり、個人のネットワーキングを含め、比較的自由に活動します。

    規制改革委員会のテーマは自動運転等複数ありますが、私は医療介護担当です。まだ始まったばかりなので、動き方を分かってないのですが、同友会は企業の経営者の団体なので、保険者側を動かせると診療報酬にも影響を与えられるので、面白いのではと思っています。
    ちなみに過去にはライドシェアを扱ったことがあるようですが、政治的な動きもあり、難しかったと聞きました。別の政府関係の自費介護と行政を連携させたサービス開発の会議に出たことがあります。「地方における高齢者のモビリティ」の課題解決を目指して、多くの取組が試みられていることを知り、課題の重要性を再認識しました。ライドシェアは諦めないで、また数年後になるかもしれませんが、取り組んで欲しいと感じています。


  • 国の補助金事業の審査(審査委員)
    毎年幾つか審査委員を引き受けています。(どれを担当しているかはマル秘です。すみません。)
    国の補助金事業はどれも、事務局が付きます。事務局は総研系の会社が担っています。大体は応募数が多いので、事前に事務局が公募要項に則って採点し、そのコメントも参考にしながら、審査が行われます。あまりにも応募が多い場合は、その採点で振り分けられ、上位のものがプレゼンに呼ばれます。

    このため、応募者は、公募要項に載っていることを真面目に読んで、それに合わせて提案書を書くことがとても重要です。思いのたけを綴っただけでは審査は通りません。チェックリストを作るくらいの気持ちで対応してください。ちゃんと教科書を読み込み、出題者の意図を把握し、答案を書くような「傾向と対策」が必要になります。
    また下らない話かもしれませんが、もう一つアドバイスです。審査会はオンラインで行われます。Wi-Fi環境が悪く、何を言っているか分からないと、それだけで落ちることはないですが、ただでさえプレゼン時間が限られている中で審査員の理解が深まらないリスクがあります。モバイルWi-Fiのバックアップも用意しておくなど、万全の対策をお勧めします。


  • MEJ (Medical Excellence Japan、副理事長)
    一昨年に引き受けたMEJの副理事長職は、相変わらず務めています。
    理事長が渋谷先生に代わってから、猛烈な勢いでMEJの取組み改革が進んでいます。元々は理事長の代打で会合に出席して挨拶をする程度のボランティア的役割と思っていましたが、渋谷先生の変革を実現するために、かなり実務的なことまで入り込んでお手伝いしています。
    初年度はインバウンド委員長を兼ね、今まであまり興味もなかった医療インバウンドの課題に取り組みました。

    最近は、インドと組んで抗生剤を作るなどの面白い計画もあります。抗生剤は臨床的には非常に重要な薬ですが、開発されてから時間が経っているので、今の薬価制度下ではどんどん値段が下がります。一方、製造上厳格な管理が求められ、メーカーとしては採算性が取れません。生産工場が閉じられ、欠品が相次ぎ、臨床現場では大きな問題となっています。この現象は日本だけでなく、世界中で起こっています。

    今、MEJで考えているのは、日本の技術を用いて、よりコスト効率が良いインドで生産し、世界の市場を共に狙う構想です。まだ机上のスタディが始まったばかりですが、実現すれば臨床現場の大きな課題解決に繋がります。

以上、最近の主な公的な仕事です。
社外取締役も上場企業は資生堂、江崎グリコ、マルホなどは変わらず引き受けています。過去にはアスクル、アステラス製薬、参天製薬を務めていました。
未上場会社では、アルファフュージョンの創業社外取締役です。同社はアスタチンという物質を使い、アルファ線を用いた癌の治療方法を開発している創薬ベンチャーです。かなり有望な結果も出ていますので、ご興味がある方がいらしたら、またご連絡ください。

寂しいビアガーデンの会場跡