現場レポート

アーカイブ

2025/12/25/木

事例紹介

障がい者福祉施設の支援事例|社会福祉法人「葦の家福祉会」

生活介護事業「葦の家」

社会福祉法人「葦の家福祉会」について
生活介護事業(2施設)・グループホーム・短期入所・ホームヘルプ・相談支援・放課後支援を運営する社会福祉法人。
設立は昭和60年、たった一人の養護学校卒業生の進路を保障するための小さなプレハブからスタートし、「どんなに重い障がいがあっても一人の人間として地域や社会でふつうの生活を送ってほしい」という願いのもと、有志の親が無認可の作業所を立ち上げ。以後、現在に至るまでご家族、ボランティア、地域の方々と共同で事業を運営している。
▶葦の家福祉会サイト:https://ashi.sakura.ne.jp/

理念
障がいがあっても 地域の中でふつうの生活の実現をめざします

わたしたちが大切にしていること
 ・常に障がいのある人の立場に立った実践と経営を行います
 ・地域にねざし、幅広い福祉問題に目を向けた事業を行います
 ・関係者一人ひとりの意見を大切にし、開かれた経営を行います


はじめに

メディヴァの支援は今、医療・介護事業に加え、福祉の領域にも広がっています。
本記事では、2年前に「葦の家福祉会」の理事長、法人本部長に就任されたお二人へのインタビューを通して、障がい福祉施設が抱えるリアルな課題と、その解決に向けたメディヴァの支援内容についてお届けします。
設立から40年が経ち、事業規模の拡大とともに経営体制も変わる中、社会の変化にどのように対応したらよいのか、大事にしてきた法人の理念をいかにしてスタッフに浸透していけばよいのか。先の見えない不安があるところからの支援スタートとなりました。

話し手:
葦の家福祉会・末次恵一様(理事長)、 藤環様(法人本部長)

当初抱いていた課題

これから法人がどこに向かうか、方針を明確に示せていなかった

我々経営陣を含む管理者が事業を維持することで手一杯になっており、先の見通しが持てていないことに大きな課題感がありました。
元々は通所支援だけで事業が小規模だったこともあり、何か新しい取り組みをする際も、みんなで一緒に形にしていく感覚があったのですが、ショートステイやホームヘルプ、グループホームなど、地域のニーズにあわせて事業が拡大していくことで、異なる事業所の職員たちがみんなで同じ方向を向いて進んでいくということが、難しくなっていったんですよね。今後、法人がどこに向かっていくのかという方針を明確に示せていなかったことで、スタッフも不安に感じていたように思います。

メディヴァからの提案・その感想

職員と一緒に方針を作り上げていくことが、組織風土の醸成につながる

まず、職員へのヒアリングや外部環境分析(市場規模・ニーズ等)・内部環境分析(収益・利用者、職員数推移等)を実施してくださいました。さらにそれらの結果を踏まえ、課題を「組織風土・生産性向上・業務改善」に整理してくださり、そのうえで、今後の方向性や具体的な取り組みについて提言をいただきました。

※メディヴァでは、案件に応じて計画策定後の実行支援も実施しております。

(メディヴァ報告資料より抜粋)

今回、中期計画についても提言いただいたのですが、数年前から作成できていなかったため、改めてその必要性を認識できました。
職員へのヒアリングの中で印象的だったのが、中核を担う職員からも「事業運営に関わっている実感を持てていない」という声が上がったことです。我々と話し合う場を持ちたいという職員が多いことを聞き取っていただき、〝スタッフの話を聞く〟という、当たり前のことをする機会が少なかったことを反省しました。
職員と話し合いながら今後の方針を一緒につくり上げていく。その過程自体が、組織風土の醸成にもつながるというアドバイスは「なるほど!」と、新たな気づきでした。

改善に向けての現在の取り組み

「法人が変わろうとしているときに、自分もそこにいたい」
前向きな職員の声に気づくことができた

まずは中期計画策定に向けた専門部会を立ち上げることを提言いただいていたので、法人を横断する形で職員を集め、組織検討チームと事業検討チームという2チームを組成しました。この2チームから出た意見を吸い上げたものを、中期事業計画策定委員会で検討していこうと思っています。最終的には理事会で方針決定をし、来年度には「中期事業計画」の三年版を完成させていくイメージです。
また、中期計画に反映していくために、我々で職員と仲間たち(=利用者)へのアンケートも実施し、今は集計段階に入っています。

当初は専門部会への参加などで業務負担が増えることを懸念していたのですが、職員アンケートでは「法人が変わろうとしているときに、自分もそこにいたい」と言う声も伺え、みなさん前向きだったことがうれしかったです。

令和7年7月開所 えーる油山(生活介護)

今後の展望

仲間たちと職員の声を大切にしながら、今の事業や取り組みを継続していきたい

今回、数年ぶりに仲間やその家族の皆さんへのアンケートを取りましたが、以前と比較すると前向きなコメントが多くなっているんですよね。通所支援だけではなく、生活支援もしているため、「何かあった時に安心して任せられる」というところに、ご家族は魅力を感じてくださっているようです。ただ、生活支援自体は赤字事業ではあるので、法人全体をトータルで見たときにどうなのかを考えながら、バランスを取っていく必要があるとは思っています。

仲間たちからは「外出や旅行」への要望も多く上がっており、コロナ禍以降に縮小せざるを得なかった社会参加・余暇支援への取り組みも、徐々に復活していきたいと思っています。
たとえば、中学校の敷地をお借りして年に一度、大規模な施設祭りを開催していて、コロナ前は地域の方々が1,300人ほど来場してくださっていました。今年は700人程に落ち込みましたが、ほぼ元通りに近い形になってきています。
こうした地域活動にやりがいを感じている職員も多い一方で、業務負担が増えるのも事実なので、活動の意義を丁寧にお伝えしていくことも大切だと思っています。


「守る」のではなく「広げる」支援の魅力を伝え、人材確保を

職員の声としてやはり大きいのは、人材確保の問題です。業界の中では、うちは離職率が低い方なので、今の職員を大切にしつつ、新しい職員をどのように確保していくかが課題だと思っています。

障がい者施設の仕事は、利用者さんの今の状態を〝どう維持するか〟ではなく、〝どう伸ばすか〟の支援なので、できなかったことができるようになったり、笑顔が増えたり、前に進むサポートができる魅力があります。特にうちの場合は、通所支援だけでは見れなかった仲間の顔を、生活支援の場で見られたり、放課後支援から成長した先の支援もあり、ライフステージ全般に寄り添えるんですよね。様々な事業をしているからこその魅力もあり、守るのではなく広げていくという支援の良さを、伝えていきたいですね。

>>福祉事業コンサルティングについてのご相談はこちらより