2023/12/19/火

事例紹介

広域医療圏をカバーする在宅医療モデルの構築

今回の事例のポイント

課題
訪問診療のスタイルが確立されていたなった2000年初頭。世田谷区・杉並区・横浜市・鎌倉市の広域医療圏の在宅医療を提供するために、24時間365日の診療体制をどのように構築するか、また業務効率と患者満足度をいかに上げるかという課題があった。

解決策
●医療法人社団プラタナス在宅医療部を立ち上げ、法人全体の夜間休日をカバーする当直体制を確立
●ドライバー体制を整え、医師の診療をサポートする看護師・事務が同行
●院外で情報共有できる仕組みの設計と、診療記録の標準化

結果
法人全体で年間患者数約3,000名、看取り数約400名の診療体制を構築。

外来診療と訪問診療は仕組みを分ける

全国的に在宅医療がほとんど知られておらず、訪問診療の診療スタイルが確立されていなかった2000年初頭。世田谷区・杉並区・横浜市・鎌倉市の在宅医療を提供するため、医療体制構築の支援が必要でした。

医療法人社団プラタナスでは在宅医療部を立ち上げ、まずは「診療の現場へ持っていくもの」「訪問件数」「外来と在宅を兼務すべきか」等について、対応する医師と日々、議論していきました。その中で、例えば都内では道が細く駐車場も少ないためドライバー体制を作ったり、診療補助と家族対応も出来る同行看護師の体制を整えました。現在はこのような体制が、訪問診療の一つのスタイルとして広く認識されるようになっています。

夜間休日の往診体制づくり

訪問診療は24時間365日の診療体制の構築が必要で、多くの在宅療養支援診療所でオンコール負担の課題ありました。主治医以外の医師に緊急コールや緊急往診の対応を依頼できず、24時間の対応を主治医だけで行っている診療所は多くあると思います。医療法人社団プラタナス在宅医療部では働きやすさの実現のために、法人全体の夜間休日をカバーする当直体制を整え、診療する医師が負担なく環境を整備しました。

この夜間休日をカバーする当直体制は在宅医療部スタート時にはありませんでした。診療記録の整備やお互いのチームワークを気づいていく中でまずは土日の当直体制の整備からはじめ、トライ・アンド・エラーを繰り返しながら夜間休日をカバーする診療体制を整備していくことで出来上がっていきました。

院内外での業務を円滑にする

訪問診療は診療を院外で実施するため、2004年の在宅医療部の起ち上げ段階から電子カルテや情報共有が院外で使用出来る仕組みを設計しています。
また、チーム医療を前提するため診療記録の標準化を実施し、誰が見ても患者の病態や背景がわかるようにしています。

在宅医療体制の普及のために

医療法人社団プラタナスの在宅医療部では、積極的に取り組み内容を学会等で共有しいます。在宅医療連合学会やプライマリ・ケア連合学会学会へ毎年演題を10以上の演題発表。また、書籍「在宅医療 経営・実践テキスト」等の執筆や講演を通しながら、知見の共有を行い、在宅医療体制の普及を目指しています。

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