現場レポート

2024/05/24/金

医療業界の基礎解説

病院コンサルとは?知見を活かした幅広いサポート内容について

【監修】取締役 小松大介

病院経営を行う中ではさまざまな課題が生じます。安定的な経営を行うためには日常的な課題発見と改善のための施策を実施することが必要不可欠です。しかし、院内の人材不足や、専門的な知見がなければ実行できない場合もあります。
そのような際に頼れる存在が病院コンサルティングです。今回は、病院コンサルティングの具体的なサポート内容や、サービスを選ぶ際のポイントについて解説します。

病院コンサルティングとは?

病院コンサルティングとは、病院などの医療機関が経営において抱えている問題に対し、課題発見や改善支援などを行うサービスです。医療機関特有の業務に対する理解と、経営をサポートする知見の両方を活かし、現場だけでは解決が困難となった課題に対し、網羅的なサポートを行います。

病院コンサルティングの主なサポート内容

病院コンサルティングを頼る場合、実際にどのようなサポートが得られるのかを紹介していきます。

  • 経営上の課題発見と改善提案
  • DX化・システム導入による業務効率化支援
  • 新事業の立ち上げ支援
  • 病院の建て替え支援
  • 経営ビジョンや中期経営計画の策定支援
  • 人事制度や各種基盤整備の作成、改善支援

経営上の課題発見と改善提案

経営の中でどこに課題があるのかをさまざまな角度から発見し、具体的な改善提案を提供します。

経営不振に至るにはさまざまな理由が考えられますが、病院経営において特に多くの院が抱えているのは、「人手不足」「稼働率が上がらない」「採用や教育体制が整えられない」「人件費がかさんでいるが人手は減らせない」といった課題です。
まずはその課題を洗い出し、原因を究明します。そのうえで、病院としての戦略や戦術が正しい方向に向いているのか、適切な予算はどれくらいか、といった第三者の視点を持ち、根本にある課題と向き合いながら改善策を作成・提案します。

DX化・システム導入による業務効率化支援

病院コンサルティングのサービスには、DX化・システム導入による業務効率化支援も含まれています。
DX化とは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の頭文字をとった言葉で、主にデジタル技術を活用してビジネスの変革を目指すことです。
例えば、病院の中でも以下のような技術やICT機器を導入し、DX化が進んでいます。

  • 自動受付
  • 電子カルテの作成
  • オンライン診療
  • オンライン予約・問診
  • 研修・研究資料のペーパレス化

DX化が進めば作業効率が向上するほか、従来負担になっていた業務の手間が省け、離職の防止や人件費の削減にもつながります。病院コンサルタントは、予算にあわせて課題解決につながる適切なシステムや機器を紹介します。

新事業の立ち上げ支援

近年、病院のM&A(合併・売買)が活発になり、病院事業だけでなく健診センターや在宅サービス、介護サービスなどの新しい事業に着手する病院も少なくありません。

しかし、新事業を始める際には場所の選定や集患・マーケティング、事業全体のプランニングなどやらなければならないことは多岐にわたります。その際に、地域の特性や新事業展開の専門的知識をもったコンサルタントが、上記の課題に対して本格的な支援を行います。

病院の建て替え支援

施設の老朽化や変化する医療ニーズに対応するため、建て替えを検討する病院は珍しくありません。その際、コンサルタントは新しい病院の設立前から将来の構想を練り、施工や事業計画の立案を支援します。

また、建て替えにおける資金調達の方法や金融機関に融資を依頼する際の交渉術をアドバイスするなど、手広くサポートを行います。 

経営ビジョンや中期経営計画の策定支援

医療を取り巻く環境は絶えず変化してきており、今は経営が安定していたとしても持続可能な組織を作るためには「経営ビジョン」や「中期経営計画」が必要となります。病院コンサルティングではそれらの策定支援を行うケースもあります。

「経営ビジョン」の策定支援では、病院の長期的な目標や理念を明確にし、それを実現するためにどうしていくべきかを示します。このプロセスには、ステークホルダー(医療スタッフ、患者、地域社会など)の期待やニーズを理解し、それに応じたビジョンを作成することが含まれます。

「中期経営計画」の策定支援では、通常5年程度の期間を対象とし、安定した経営を図るための方針や戦略を策定します。この計画には、具体的な経営目標、必要な資源の配分、戦略的イニシアチブ、リスク管理などが含まれます。

いずれも専門のコンサルタントがプロセスをガイドし、病院のリーダーや管理者と密接に連携しながら、計画の策定と実行を支援します。また、これらは病院の経営効率化、サービスの質の向上、新しいサービスや技術の導入、患者満足度の向上等にもつながります。

人事制度や各種基盤整備の作成、改善支援

医療サービスは「人」に依存するため、優秀な人材の確保と育成は病院にとって重要な位置づけとなります。そのため、人事制度や各種基盤整備の作成、改善を行う必要があり、病院コンサルタントはそれらの支援を行います。具体的には、職務評価システム、報酬体系、昇進・昇格制度など、病院の目的と戦略に合った人事制度の設計や導入支援などです。

上記を通じて、病院はより良い医療サービスの提供、職員の働きがいの向上、そして組織全体の持続可能な成長を目指すことができます。

病院コンサルティングのメリット

病院コンサルティングサービスを利用した場合、主に以下のようなメリットが得られます。

  • 医療従事者が業務に専念できる環境を作る
  • 専門的な知見をもつコンサルタントから支援してもらえる

順番にみていきましょう。

医療従事者が自分の業務に専念できる

病院経営においては現場の医師や医療従事者が経営を担っている場合も少なくありません。どちらも一人または少人数で対応するには限界があり、使える時間も有限です。
もし、病院コンサルティングに頼る部分が増えれば、経営における細かな戦略を立てたり事務手続きを行ったりといった負担を軽減でき、医療従事者が業務に使える時間を増やせます。
自院の医療サービスを保つ観点からも、医療に専念できる時間の確保は病院にとってメリットだと言えます。

専門的な知見をもつコンサルタントによる支援

経営改善には、以下のように幅広い知識が必要不可欠です。

  • 経営マネジメントの知識
  • 医療業界に関する法律や条例に関する知識
  • 新事業や建て替えに関する法律や不動産に関する知識

特に、法律や条令については改正が行われると、大きな手続き変更や病院内のシステム変更などが必要になる場合もあります。情報を早めにキャッチアップし、対応策を備えておけばスムーズに移行できますが、医療サービスを提供している中で情報収集や体制変更の準備を行うのは非常に難しいでしょう。
病院コンサルティング会社には、各分野のスペシャリストが在籍しているため、幅広い課題にも適切なアドバイスを行うことができます。

メディヴァの病院コンサルティングの特徴

相談内容に応じた幅広いコンサルティングサービスの提供

弊社では経営改善はもちろん、建替え支援、機能転換、集患対策、業務改善など、幅広いコンサルティングサービスの中からご相談内容に応じて最適な支援を行います。また、施策や計画は策定して終わりではなく、PDCAを回しながら確実に推進していくことが重要です。弊社では提案からその後の実行まで、お客様と一緒に進めていきます。

病院の規模や地域を問わない豊富な実績

弊社には病床規模や、急性期・慢性期などの機能、都心部や地方などの地域を問わない豊富なコンサルティング実績があります。特に中小病院は多くの経営改善実績があり、事業者はもちろん、融資を行っている金融機関からの信頼も得ています。また、増え続ける西日本案件に対応するべく、福岡支店、北九州支店も有しております。

>>弊社の病院コンサルティングの実績はこちらよりご確認ください。

様々なバックグラウンドを持ったメンバーの在籍

弊社は幅広い分野の知識・経験・スキルを有したメンバー(ジェネラリスト)もいれば、診療報酬・財務・介護・DX・労務などに精通したメンバー(スペシャリスト)もいます。
また、医師、看護師、セラピスト、放射線技師など医療ライセンスを持つコンサルタント、病院事務業務経験のあるコンサルタントも多数在籍しています。そのため、医療現場のスタッフの思考や感覚を理解し、実現性の高い、現場の納得感ある改善提案を行うことができます。

こうした多様なバックグラウンドを持つメンバーから、、相談内容に応じて適正な人員をアサインできることも、弊社の特徴の一つです。

現場で得たノウハウを活かしたコンサルティング

弊社では現在もハンズオンで支援している病院、クリニック、健診センターを有しており、現場経験も豊富です。様々な課題に向き合い、経験してきたからこそ提示できる考え方や施策があります。現場で培ったノウハウを活かし、クライアントの状況にあわせて支援します。

コミュニティホスピタル事業による地域社会全体を含めた支援

弊社では近年「コミュニティ&コミュニティホスピタル事業」にも注力し、医療機関だけにとどまらず、地域社会全体を含めた支援にも力を入れております。

少子高齢化に伴う医療ニーズの変化に対応し、中小病院が地域における中核的なポジションを存続していくためには、「病気」を診るだけではなく「患者」を診て、「社会」を診て、「治し、支える医療」を提供する「コミュニティホスピタル」への転換が求められます。
弊社はそのような「コミュニティホスピタル」を全国に広め、地域の人々が安心して過ごせる地域社会の実現を目指しています。

>>コミュニティホスピタルについて詳しくはこちらよりご確認ください。

まとめ

病院経営には幅広い知識が求められます。

弊社は、ヘルスケア領域に特化し、20年以上にわたり医療・介護機関の事業継承や経営サポートを行ってきました。積み重ねた知見とネットワークをもつコンサルタントが担当につき、外的・内的環境分析から要因を洗い出し、施策実施のシミュレーションを作成します。
また、弊社のコンサルティングサービスは提案だけでなく実行支援も可能であり、提案後の施策実施状況・施策効果をモニタリングすることで、経営改善の実現までサポートします。

コンサルティングサービスの内容や相談をされたい方は、問い合わせフォームよりぜひお気軽にお問い合わせください。


監修者

小松 大介
神奈川県出身。東京大学教養学部卒業/総合文化研究科広域科学専攻修了。 人工知能やカオスの分野を手がける。マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントとしてデータベース・マーケティングとビジネス・プロセス・リデザインを専門とした後、(株)メディヴァを創業。取締役就任。 コンサルティング事業部長。200箇所以上のクリニック新規開業・経営支援、300箇以上の病院コンサルティング、50箇所以上の介護施設のコンサルティング経験を生かし、コンサルティング部門のリーダーをつとめる。近年は、病院の経営再生をテーマに、医療機関(大規模病院から中小規模病院、急性期・回復期・療養・精神各種)の再生実務にも取り組んでいる。
主な著書に、「診療所経営の教科書」「病院経営の教科書」「医業承継の教科書」(医事新報社)、「医業経営を“最適化“させる38メソッド」(医学通信社)他

病院経営に強いメディヴァの医療コンサルティングについて