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2024/11/07/木
コラム
メディヴァには、他部署に一時的な異動や、正式な転属の希望を出せる「キャリア支援制度」があります。また、それらについてまずは相談を申し出たり、キャリア形成全般について相談できることもできます。今回はこの制度について、その背景や内容、意義などについて考えてみたいと思います。
制度の概要は以下です。
○社内留学制度
所属部門でより高い成果を出すために、1~2年の期限付きで他部署に異動する制度です。
一定期間他部署で経験を積んだ後、元の所属に戻ります。
○キャリアチャレンジ制度
所属している部署以外で自分の実力を試すため、異動を自己申告する制度です。
○キャリア相談制度
メディヴァでどのようにキャリアを築けばよいか迷ったとき、いつでも相談できる制度です。
制度の狙いとしては、
・社員がより多様な経験を積むことで価値を高めること
・組織を跨って人材が流動化することで、横の連携が促進されて組織がより強くなること
・個人が進みたい方向が変化したり、よりクリアになった場合に路線変更ができること
などですが、もう少し深くこの制度の意味を考えてみたいと思います。
ーキャリアとは?、より良いキャリアとはどんなものなのか?ー
そもそもの話ですが、「キャリア」とは何でしょうか?
キャリアという言葉自体は、ニュートラルに仕事の変遷といった意味でしょうが、キャリア形成とか、キャリア選択といった言葉になると、良いキャリアとそうでないキャリアがあるのだろうという響きになってきます。
良いキャリアとはどんなものでしょうか?
より高い地位にステップアップする、給料が上がる、資格や安定したポジションを確保して仕事を失いにくい状態にある、といったことをイメージする方もおられると思いますが、私は良いキャリアとは、
・価値観に則して”自分のやりたいこと”、”意味を感じること”に取り組めている
・実力の向上、人間的な成長を果たし、”自分ならでは”の貴重な成果を出せている
・その結果としての実績、成果も自分の価値観に合っており「やってよかった」と思える
といったような、かなり内面に関わるものだと思っています。一般的に言われている自己実現という言葉で表現しても良いように思います。
もちろん、はじめに記したような経済的なことや安定性なども大事な要因だと思いますが、それだけを条件として、自分の内面との関わりを軽視したことが先々モチベーションを失うことにつながり、却って長く働けなくなった方とこれまで多く会ってきました。
逆に、内面との関わりをしっかり捉えることで、長期に渡ってやる気を維持し、スキル開発や経験の蓄積も進み、結果として経済的なことや安定性の確保に繋がる可能性が上がるのではないかと思います。
ー良いキャリアを作るために必要なことー
上記のように自分の内面や実力、成長といったことが重要だとすれば、やるべきことは、
(1)自分が本当に望む(価値観)や、適性(向いていること、足りないこと)をしっかり掴むこと。
(2)それらを前提として、自分を成長させてくれる方法や環境は何なのかを考えること。
の2点だろうと思います。
どちらも文字で表せば数行で済んでしまいますが、取り組んで実現するとなるとかなり手間や時間、精神的な労力がかかるものです。ここでは、取り組むにあたっての重要なポイントをあげてみます。
(1)については、深く自分の内面を見つめることですが、色々な方と話をしていて、実は意外と価値観の中身以前に、「自分の価値観とは?」というところが意識されていない場合が多いと感じます。人生において価値があると感じ、各人が何かを選択・判断するときの基準にするものが価値観ですが、人それぞれにある程度固定した基準があり、それに従っているということを意識できていない場合には、まず自分には固有のそういった基準があると意識し、それがあるとしたら何だろう?と考えてみることから始めると良いと思います。
そして、漠然と考えてもなかなか分からないことも多いようです。私が有効だと思うのは、過去に自分が重要な判断を下した場面を思い返してみることです。
・その時に自分は何を重視して、どういう論理でその判断を下したのか?
・そこから論理的に逆算してみると、自分の価値観とはどんなものなのか?
・その判断の結果は現在にどのように繋がっているか?
といったことです。
もしかしたら、自分の価値観より世間の常識や周囲の人の意向などを反映したと感じられるかもしれませんが、その場合に、その結果まで追いかけて「それで良かったか?」と考えて見ることでより自分というものが見えてくると思います。
価値観の類型方法などは調べてみればたくさん出てくると思いますので、それらを参考にするのも考えるときの助けになると思われます。
(2)自分を成長させてくれる方法や環境とはどんなものか?についてはどうでしょう。
専門的な知識やノウハウを効率よく得ることが実力を伸ばすと考える人が多いと思いますが、経験上から、人が一番成長する場面というのは、何かに真剣に取り組み、自分の力で切り拓いて結果を出した時だろうと思います。
教えられたことを行なって結果が出るというのではいけないという訳ではないですが、それでは次にまた異なった場面で別のことに取り組むときに、その方法を求めなければならず、本当の自分の実力には繋がりにくいと思います。
多くの場合に対応できるように、多くの知識やノウハウを身につけようと考えている人が多いと思いますが、個別に対応するマニュアルのようなものをいくら身につけてもキリがないと思われます。
自分の力で物事を達成したり問題を解決するためには、次のような汎用的な力を身につけることが必要ではないでしょうか。
・原理に則して考える力
・新しい原理を発見する力
・複雑な状況を理解する力
・不確定な状況で踏ん張る力
・人を動かす力
、、、これらは教えられたことをそのままやっていては身につかず、何かを達成するために、その時々の課題について調べ、考え、試行錯誤しながら道を見つける経験を何度も何度も行うことだと思います。
例えば、書店に行けば、スポーツの上達の仕方や試合の勝ち方を解説した本が山ほど出ていますが、それを読んで頭に入れても一流の選手になって秀でた結果を出すことはできません。まずはやってみて、試行錯誤しながら上達し、真剣勝負の中でレベルアップをしながら一流を目指すことが必要でしょう。仕事や研究なども同じことだと思います。知識は役に立つでしょうが、それは今の時代なら簡単に手に入りますし、知っておけば良いことは手早く頭に入れて実践に取り組むことが必要です。
以上のことから、私が思う「自分を成長させてくれる環境」とは、以下のような条件を満たすものです。
・目指すものがあること
・個人に裁量が与えられ、個人が考えたことを実行してみることができる
・結果を自分で受け止め、修正が必要であればそこまで取り組める
・しんどい時にサポートがあること(励ましやサジェストがある)
一言で表せば、実力を発揮して伸ばすための実践の「場」があることです。
自分を深く見つめ、実力を伸ばして良いキャリアを築くのは自分の力で行うことですが、そのための場を自分でゼロから作るのはかなり骨の折れる作業です。もちろん、自分で起業するなどして場を作るところから出来る人もいますが、万人に向いていることではないと思います。多くの人にとっては、良いキャリアを作るための場を見極めることが必要となります。
ーキャリア作りの観点からみたメディヴァのキャリア支援制度ー
上に記したように、自分の実力を伸ばすための「場」を得ることが重要ですが、メディヴァのキャリア支援制度はその「場」を得ることのサポートをする制度だと思います。
ただし、メディヴァの評価や配属などの仕組みは、もともとその考えに基づいていると私は思っていますので、キャリア支援制度がなくても、個人のやりたいことに沿って所属を変えたり、実践の場を得ることはできます。半期に一度の評価をフィードバックする面談で、自分の希望や長期的なキャリアヴィジョンを伝えることができますし、上司や経営陣はその希望を重視して各人の成長やキャリアづくりを考えています。
そういった中で、この制度はもう少し明確に希望を伝えることや、自分の思うタイミングで伝えることができる、などの意味で、キャリア作りの後押しをするというか、少し促進する仕組みだと思います。評価のフィードバックの場面の他にも、自分の意思で動けるという選択肢があるということや、会社として自ら場を選ぶ意思を持つことを肯定していることを伝える意味もあると思います。
ー制度運用の実際についてー
これまで数年にわたって運用をしてきましたが、実際にこの制度を活用して部署を異動している事例が出ています。制度運用の実際のところをイメージしていただくために、いくつかの視点から実情を紹介します。
(1)まず、数的なことを言えば、部署異動する人数が劇的に増えたとか、何割もの人が部署を移動したというほどではありません。
もともとメディヴァは入社するまでの採用プロセスの中でも、各人の価値観とやりたいことを重視して入社時の配属を決めていますので、異動を希望する人がそれほど多くないという事情もあると思います。また、考えたとして、慣れない部署にいきなり変わって仕事が充分に出来るだろうか?と不安に思う人が多いようにも感じます。
これらについては、社員が年々増えている中で、これからより多くの人が長く勤務するようになると思いますので、より多くの人がキャリアチェンジを求める可能性が高いと思いますし、社員が多様な経験をすることが会社としての価値を高めるのであれば、会社として不安に思っている社員の背中をもっと押すようなことを考えても良いと思っています。
(2)希望を表明してから実際に移動するまでの時間的なことを言えば、やはり現在の部署で活躍している人が異動するのですから、それなりの準備が必要になります。別の誰かが他の部署から異動してくるのか、新規に採用した人を後任とするのか、仕事の引き継ぎも必要となりますので、短くとも数ヶ月、場合によっては1年くらいかかることもあります。本人が緩やかな変化を希望する場合などもあります。例えば、当該の部署の仕事に少し関わって感触を得たり、予備知識を充実させるなどです。そういった場合には、さらに長期の準備を行うことになります。
(3)希望が伝えられた後のプロセスですが、まずはヒアリングから始めます。ヒアリングの担当は私(岩崎)です。採用の時に全員とお話ししており、入社後の評価内容も把握していますので、希望の内容を理解する土台ができているということと、特定の部署に偏らない立場にいるのでフラットに話を出来ること、人事に関わるデリケートな内容を聞いても問題ない立場である、ということなどが理由です。
希望の内容や、異動までのプロセスの希望などはケースバイケースなので、ヒアリングの進め方も、その後のプロセスも場合によってかなり異なります。本人の希望がより的確に叶えられるように、所属部門/ 受入れ部門とも大きな混乱がないように、その都度進め方には気を遣いながら一件ずつプロセスを相談しながら決めています。これまでのところ、所属部門/ 受入れ部門とも本人の希望についてきちんと受け入れて協力体制を取ってくれているので、うまくいく場合が多いと感じています。
また、希望を聞いていくうちに、真意が少し異なるところにあるようなこともあります。このような場合には異動が本人や会社にとって良いことなのか?という疑問が出てくる場合もありますが、より本質的な問題解決になるように、制度の範囲外であっても出来る限り相談に乗り、より良い形になるサポートができるように心掛けています。
ーまとめー
まだそれほど多くのキャリアチェンジの実現者が出ていないことは、希望の部署で仕事をできている人の割合が多い表れだと理解していますが、このような制度を活用することでもっと個人個人が成長できるポテンシャルはあると思いますし、会社としての価値向上も果たせると思っています。制度がより活用されるように、また、より良いものにしていけるようにこれからも取り組んでいきたいと思っています。(岩崎克治)
筆者プロフィール
岩崎克治 Katsuji Iwasaki 株式会社メディヴァ取締役
大阪大学大学院 情報工学分野 修士課程修了。
マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントを経て、1997年に(株)インクス入社。ITによる高速金型事業の立上げ、クライアント企業の製品開発プロセス改革等に従事。2002年メディヴァに参画。
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