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2024/04/19/金

コラム

 すべての発言には意図がある

今回は私がいつも仕事の中でも、その他の場面でも重要だと思っていることを紹介します。

それは、20年くらい前に私にとっての恩人の一人から教えてもらったことなのですが、「誰が何を発言するにしても、そこには”必ず”意図が込められている」ということです。

”意図”は、発言をしている人がその発言に込めた”果たしたい望み”ということであり、それを知ることはとても重要です。

パッと聞くと当たり前のことですが、かなり深いことだとその時も思いましたし、今も思っています。

どういうことか?順に説明します。

例えば、「Aさんが〇月〇日にxxへ行った」という話しをBさんがしたとします。この発言内容自体は”事実”ということになります。そして、そのことには”意味”が付随します。「ということはどういうこと?」という意味です。例えば、「ということは、その時に△△にはいなかった」ということかもしれないですし、「Aさんはxxというお店で売っている何かを買ったかもしれない」ということも有り得ます。何にせよ、その事実が意味することが、事実に付随して何かあるはずです。

そして大事なのはここからですが、さらにBさんはなぜこの場でその話をしたのか?ということです。
そこには、
・Aさんが嘘を言ったということを訴えたかったのか、
・Aさんの趣味について話をしたいと思ったのか、
・Aさんの話を切り出すことでBさん自身の話の前振りにしたかったのか、
・ただ単に会話の空白を埋めたかったのか、、、

何にせよ(意識していない可能性も含め)”意図”というのがあるということです。

もう一つ例を出せば、Bさんが急にAさんに「指輪のサイズは?」と聞いたときに、どんな意図があり得るでしょうか?

・BさんはAさんに指輪をプレゼントしようと思っているのか?
・誰か他の人に指輪をプレゼントしようと思ってAさんのサイズを参考にしたかったのか?
・自分(Bさん)自身が指輪を買いたいので、Aさんのサイズを参考にしたいのか?
・Aさんが指輪のサイズに関心があるかどうかを確認して、何か他のことを推測する材料にしたかったのか?(例えば、Aさんが最近指輪のサイズを気にしているか?そこから、Aさんが婚約間近なのか?とか。。。)
・指輪のサイズで口火を切って、何か指輪に関する面白い話をして、この場を盛り上げようとしているのか?

ここに列挙したものは私がいまパッと思いついたものをランダムに書いただけで、もっと色々とあり得るでしょうが、いずれにしても事実と意味と意図はそれぞれ独立に存在するということで、さらに、意図というのは事実からはかなり離れたところに存在するものだと思います。

「すべての発言には意図がある」と教えてもらったときに私はなかなかの衝撃を受けました。おそらくそれ以前の私も意図を察するということは自然な感覚として持っていたとは思いますが、「必ず」意図があるということついて納得がいき、自分を顧みてみれば、それを常に意識してきた訳ではない、ということに同時に気付き、それなりの衝撃を受けました。

それ以来、常に意図を推測しながら対話をするようにしています。それが何かの役に立つのか?ということですが、非常に役に立ちます。あらゆる場面で役に立つと言ってもいいと思います。

最初に書いたように、意図というのは、言っている人が発言に込めた”願い”であり、当然重視していますので、それを理解することはとても重要になります。

望みを必ず叶えられるわけでもありませんし、叶えることが良いことだとは限りませんが、まずは理解することから始めるとプラスになることは間違いないでしょう。

そして、意図に関連してその後に私が気付いたことは、人というのは(日本人は、かもしれませんが)意図を言わないことの方が多い、ということです。さらに、意図を言わずに推測して、叶えてもらうことを非常に強く望んでいる、ということにも気付きました。ついでに言えば、意図を推測してもらえなかったときには怒ることが多いということも。。。

言われていないことを推測しなくてはいけなくて、推測できなかったり、意図を満たせなかったら怒られる、、、やっかいなことです。

それでは、どうしたら良いでしょうか?

今のところ私の対応方法は、意図が分からなかったらほとんどの場合は直接相手に聞いてしまう、というシンプルな方法です。

ある程度推測して選択肢を思い浮かべたうえで、「こうしたいっていうことですか?」と聞きます。いくつかの可能性を上げることもあります。

もう一つ、意図に注意して対話をする中で、特に面接での対話で気付いたことがあります。

それは、人がキャリア選択をするときには、それぞれ自分の長期的で根源的な「意図」に従っていることが多く、さらに、その割にはその「意図」についてご自分では意識できていないことがかなり多い、ということです。

もう少し詳しく言えば、意識はできていないものの、具体的な選択肢に対して、YESやNOを出すときには、無意識と意識の間くらいで、その意図に照らし合わせているものだと思います。ただし、明確に意識出来ていないので、複数の意図が混在していたり、優先順位が定まっていないことも多くあります。複数の意図が矛盾しているケースも非常に多くあるように感じています。

そして、その意図について意識できると、矛盾を解消するために色々と検討出来たり、自分の選択に際して強い意志と自信をもって判断が出来るようにもなると思います。

でも、そういうメリットより何よりも面接の中で感じることは、それに明確に気付くと、ものすごくスッキリするということです。お互いにスッキリしますが、ご自分について意識出来ていなかった場合、ご本人が非常にスッキリされるように思います。「長年なんとなく感じていたことはそれなのか!」とか「これとこれがバッティング(矛盾)していたからモヤモヤしていたのか!」というような感じです。

面接における私の重要な目的も、その方の長期的で根源的な意図を理解することにありますので、これはお互いにとって非常に有意義です。

これからも様々な方々と対話してお互いにスッキリできることを楽しみにしています。(岩崎克治)

【過去ブログ発掘シリーズ】(初出2017年7月)

筆者プロフィール
岩崎克治 Katsuji Iwasaki 株式会社メディヴァ取締役
大阪大学大学院 情報工学分野 修士課程修了。
マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントを経て、1997年に(株)インクス入社。ITによる高速金型事業の立上げ、クライアント企業の製品開発プロセス改革等に従事。2002年メディヴァに参画。

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