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2023/09/22/金

コラム

限界とは何か?限界を超えるにはどうすればよいのか?

人事ブログのテーマ決めをするときに、採用チーム内でアイディアを出し合う時もあります。先日、「限界を超えることについて書いてほしい」と、要望を受けました。「仕事上の悩みでもあるのか?」と少々気になりつつも、メディヴァは仕事の中に新しい挑戦がある環境なので、自分を成長させたいという前向きな意味だろうと(希望を込めて?)解釈しました。

若い頃に仕事で行き詰まった経験から、最近ではフルマラソン、ウルトラマラソンへの挑戦のために、限界について調べたり、考えたり、実践したりといった体験をもとに書いてみます。

限界を越えるとは?

仕事、勉強などで、私たちはいつも限界を超えたいと願っているように思いますが、
そもそも「限界」とは何でしょう?

限界とは、今の時点での自分の発揮できる最大限の成果であり、限界を超えるとは、今の自分では発揮できないライン以上の成果を求めることであろうと思います。

「限界を超える」と言葉で表現すると、何か「不可能」とか「非現実的な努力」などの悲壮な雰囲気もつきまといますが、よく考えてみると「限界を超える」というのは「自分が今より向上する」ことに他なりません。
では、今の自分の最大限を決めているのは何でしょうか?

「限界」には脳がかけるブレーキが関わっている

まずはわかりやすく、スポーツの分野、その中でも比較的自分の能力をストレートに発揮してタイム等の記録を競うようなもの、走ることや泳ぐことなどを考えて、その次に仕事や勉強などについて類推してみようと思います。(スポーツにはあまり興味がないという方は、中程の「スポーツの観点からのまとめ」以降を読んでもらっても良いと思います)

限界というと、一つの要因で決まる究極の状態のように響きますが、自分が発揮できる最大限というのは、実際には以下のような複数要因の兼ね合いで決まっているようです。

(1)肉体的な限界(本当の限界)
(2)本当の限界に対する安全率
(3)能力を記録に結びつける技術
(4)その時々の(肉体的、精神的)コンディション

それぞれについて考えてみましょう。

(1)は筋力、心肺能力など、純粋な肉体的な限界で、これはトレーニングによって向上するしかありません。もちろん、トレーニング方法の優劣はあると思いますが、基本的にはトレーニングの強度や時間といった量的なものから決まるものだと思います。

(2)の安全率についてですが、肉体的に本当の限界を迎えることは死に近づくことを意味するので、人間は必ずその手前で脳がブレーキをかけると言われています。痛みや苦しみといったシグナルを下に、脳が「もう限界だ」と判断してブレーキを掛けます。それも、本当の限界のかなり手前でブレーキをかけると言われています。

これは私もランニングの中で何度も経験しました。ブレーキは痛みや苦しみという形で現れ、同時に「この負荷はもう維持できない」「このまま続けると大きく崩れてしまう」といった恐怖心が募ってきてスローダウンしたり止まってしまったりします。

しかし、脳がブレーキをかけるラインは常に一定なのではなく、「学習」によって変化するとされています。脳が危険を感じるレベルの負荷をかけた結果、実際には大丈夫であることを体験し、「このラインなら大丈夫なのだ」と脳が知り、徐々にブレーキを掛けるラインが上がっていきます。

この学習のために、ブレーキがかかる付近、できれば少しだけ超えるくらいの負荷をかける必要があります。ただし、これはキツいことなので、一人では取り組む気になれなかったり、どのラインで行うのが適切なのか分からない場合などがあります。

これを助けてくれるのが、コーチからの叱咤激励や、仲間と共に頑張るなど、一人ではできないことをサポートしてくれる要因です。

限界を超えるための意外な要素

(3)(4)は知識、ノウハウといった面であり、「限界」という、悲壮な響きもある言葉に対して雰囲気が異なるために、人によっては考慮に入っていない可能性もあると思います。

出来る限り原理に叶った方法論を学ぶことが重要ですが、世の中には情報が溢れていてどれが成果に結びつくかの判断が難しくなりがちです。原理が正しいかどうかを意識しつつ、自分にとっての成果に結びつくかをしっかり見つめて、試行錯誤することも必要となります。この時に、過去の自分のやり方や成功体験への固執が邪魔をします。向上、成長とは過去の自分からの変化であり、アンラーンやそれまでの自分を否定する覚悟も必要だと思います。

(4)についてもう一つ思うことは休息の大切さです。限界を超えるといった時には肉体や精神に強い負荷をかける場面もありますが、コンディションを考えると適度な休息が重要です。また、負荷をかけた後の休息時に肉体が向上するという原理や、習得した動作が脳に定着するための時間も必要であることからも、休息に意識を向けることは重要です。

そして、限界を超えるためには(1)ー(4)を向上させる取り組みを継続して行うことが必要となります。

継続を妨げるもの、助けるもの

継続して行うことに苦手意識を持つ方も多いと思いますが、継続を妨げるものや、継続を助けてくれるものがあるのでしょうか?

まず、継続を妨げるもの、と考えるときに真っ先に思い浮かぶのは「諦め」です。
・能力は才能によって最初から決まっている
・少しやってみたけど大して変わらないからやっぱり無理そうだ
・このまま続けて行って、もし出来なかったら?失敗したらがっかりするかもしれない

〜だから、最初から諦めた方が良い、という訳です。

これに対して、どうすれば良いでしょう。
人間の体(筋肉、神経、脳など)は、繰り返し働きかけることによって必ず変化します。それも、働きかけの内容と量に対してかなり忠実に変化することは科学によって明らかになっています。使わなければ衰えるし使えば発達します。人間の根本原理と言っても良いでしょう。

この原理を信じることが、諦める気持ちを和らげ、継続を助けてくれると思いますし、人間の体に変化が現れるには、2、3日程度ではなくもう少し長いサイクル、大抵は数ヶ月単位、が必要なことに思いを馳せれば、目先のことですぐに諦めることも減るかもしれません。

その他に、継続を助ける要因は、

・それを行う目的に対して強く共感できること
・向上することが、自分が望むことに繋がることをイメージする
・向上できたときの自分の姿をイメージしながら取り組む

などが挙げられます。挫けそうになった時や、継続した先に向上があるのか不安になった時にこれらが支えになると思います。

また、人が諦める時には、上記のような「できない理由」を考える瞬間があるはずで、その瞬間を捉えることも重要だと思います。その瞬間に、継続を助けるものを思い浮かべ、自分を支えることができれば、漠然と「諦めてはいけない」「継続力が重要」と思っているよりも諦めから逃れられると考えます。

限界を越えるには? スポーツの視点からのまとめ
ここまでの内容を列挙すると、以下のようになります。

・本当の限界は概ねトレーニング量により向上させるもの。
・本当の限界より手前に脳がブレーキをかける「限界」が存在する。

・脳がブレーキを掛けるラインは限界付近の負荷を経験することで高められる。
・指導者や仲間のサポートによって一人では難しいことにも取り組める。
・技術面は原理を意識し、成果を基準にした試行錯誤が必要。
 その際に過去の自分に固執しない意識が必要となる。
・コンディションのため休息も重視すること。肉体は休息の間に向上する。
・人間の体は働きかけに対して必ず変化する。それを信じることが継続を助ける。
・目的をもち、望む姿、向上した姿をイメージすることが継続が助ける。
・諦めそうになる瞬間を捉えることで諦めを超える可能性が高まる。

ーー
仕事や勉強における限界とスポーツにおける限界の比較

駆け足でスポーツにおいて限界を超える=今より向上する、ことについて考えましたが、仕事や勉強についてはどうでしょう?
大袈裟に命題をたてましたが、答えはごく簡単に「仕事や勉強でもスポーツと同じ」だと思っています。
勉強や仕事の場合には、筋力、心肺能力などの替わりに、
ー理解力
ー集中力
ー発想力
ー表現力
ー構成力
ー共感力
ー傾聴力
、、、、

といった、思考や対人面に関する能力を想定してみれば、同じことが言えると思います。

仕事や勉強における脳のブレーキ

脳がかけるブレーキは肉体的な苦しさや痛みではなく、頭脳や精神的な面での苛立ち、不快、不安、退屈、物足りなさ、あるいは、より安易で心地良い何か(手軽な娯楽など?)への抗い難い誘惑など、形としては別のものになりますが、原理としては同様だと思われます。

仕事における自分の体験を思い返してみると、前職で社運をかけた大きなプロジェクトの責任者となり、非常にプレッシャーのかかる中で仕事をしていたことが思い出されます。課題が山積している中でトラブルも発生している。トラブル対応もしつつ、チームが進むべき方向性を打ち出し、クライアントに約束した結果を出さなければならない状況でした。

何から手をつけて良いか分からない、そもそも自分に対処できるのか?とても無理ではないか?不安や恐怖が襲ってくる。疲労や睡眠不足で、体調も怪しくなってくる。。このような場面が、先ほどのスポーツの場合の、限界に近い負荷がかかっている状況に当てはまると思います。

スポーツと仕事・勉強における類似ポイント

この時、私は一人の力だけで乗り切ることができず、社内の上下左右、あらゆる方面からの助けを得ました。大きな方向性や具体的な業務について相談に乗ってもらったり、ほんの一言の励ましの言葉や、チーム内での愚痴に至るまで、自分の支えとなったものはたくさんあり、なんとか乗り切ることが出来ました。これらは、スポーツにおける指導者や一緒に頑張る仲間に相当すると考えています。

また、仕事においても、自分が共感するもの、賛同できる理念・目的、自分が憧れる姿、望む姿をイメージすることが継続を支えるのは同様で、このときは、会社の行く末はもちろん、自分のキャリアヴィジョンにおいても、ここをクリアすることが将来につながるという道が見えてたことが自分を支えていました。

スポーツにおける正しい技術は、仕事や勉強における正しい思考方法と同様の位置を占めると思いますが、これについては前々職のコンサル会社で習った手法や経営に関する知見に助けられた場面もありつつ、実は実戦ではあまり役に立たないようにも思いました。どちらかというと実戦における試行錯誤から、より理にかなったやり方を探り出したという感覚の方が印象に残っており、アンラーンの重要性が頭に強く残っています。

限界を超えることと職場環境の関係

理念、仲間の存在、現状の最大限を少し超えた負荷=仕事におけるチャレンジの機会、などを考えていくと、これらは会社・職場の環境とも強い関連があると思います。業種、会社、職種などを選ぶ時にも、そのような要素を考慮に入れると自分を絶えず向上させていけるのではないでしょうか。

メディヴァに思いを移すと、そのように個人の向上につながる環境でありたいし、それを果たすことで社会的価値を発揮できる会社でありたいと思います。

実際のところどうだろう?と(出来るだけ客観的に)考えてみましたが、メディヴァは「患者視点の医療変革」を目指してスタートし、それに共感して集まってきた仲間がいて、一緒に難しい局面を乗り越えるることができると思いますし、自分の限界を広げてくれる未知への挑戦となる仕事が常に進行しています。また、自分の裁量で物事を進めて結果を受け止められるような企業風土があると思っています。

こうしてみると、メディヴァは社員それぞれが限界を超えるのに悪くない会社ではないかと思えます。

「限界を超える」というお題から考えを進めていったことで、会社として有りたい姿に思いが至りました。自分を向上させたいと思う方々に少しでも参考になれば幸いですし、メディヴァに少しでも興味を持っていただければ嬉しく思います。(岩崎克治)

筆者プロフィール
岩崎克治 Katsuji Iwasaki 株式会社メディヴァ取締役
大阪大学大学院 情報工学分野 修士課程修了。
マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントを経て、1997年に(株)インクス入社。ITによる高速金型事業の立上げ、クライアント企業の製品開発プロセス改革等に従事。2002年メディヴァに参画。

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