現場レポート

2024/02/29/木

診療報酬改定

2024年度診療報酬改定(急性期入院・DPC編)

執筆・町野/監修・取締役 小松大介

はじめに

2024年度診療報酬改定に伴う答申が厚生労働省から公表されました。
今回はその中の「急性期入院及び・DPC」について、改定のポイントを解説します。

概要

高度急性期病院及び急性期病院は、主に対象とする患者の状態や診療行為がさらに具体化し、かつ絞り込まれる改定となりました。特に重症度、医療看護必要度の大幅な見直しにより、急性期一般入院料1からの転換を余儀なくされる病棟の増加が予測されます。転換先として新設された地域包括医療病棟入院料は、特定入院料としては出来高算定できるものが比較的多くなっています。

DPC/PDPSでは、症例数の少ないDPC病院の退出、機能評価係数Ⅱの効率性係数の計算式が見直されることとなりました。
入院早期からのリハビリ、栄養等の関与も引き続き推奨されています。

急性期入院における診療報酬改定ポイント

  • ICUでは、特定集中治療室管理料はSOFAスコアが一定以上の患者を受け入れることとする。また、医療・看護必要度1からは、輸液ポンプの管理が削除され、A得点3点⇒2点に変更となる。
    特定集中治療室管理料1、3の施設では、配置医師は宿日直勤務は不可
  • 急性期一般入院料1の平均在院日数要件が18日⇒16日となり、重症度、医療看護必要度の基準から、A2点・B3点が削除され厳格化が進む見込み
  • (新設)高齢者の救急搬送受入と、3次、2次救急からの高齢者下り搬送を受入れる新しい入院料として地域包括医療病棟入院料が新設(10対1)。PTOTや管理栄養士の配置が求められるが投薬及び注射が包括される一方で、リハビリをはじめ、手術や麻酔、また一部の医学管理料やカテーテル、内視鏡及び穿刺等の検査、処置なども出来高で算定可。
    ※特定機能病院は✕、急性期充実体制加算、専門病院入院料も併算定不可
  • 急性期充実体制加算について、小児科、産科、精神科の対応を評価
  • 総合入院体制加算、急性期充実体制加算、救命救急入院料は救急時医療情報閲覧機能の導入が要件となる
  • 【新設】リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算を新設。入院後48時間以内の評価、計画が必要。施設基準はセラピスト2+管理栄養士1など、かわりにADL維持向上体制加算は廃止
  • 【新設】疾患別リハに手術等から早期にリハを行った場合、急性期リハビリテーション加算を新設
  • 【新設】感染及び個室管理の評価として特定感染症入院医療管理加算(一般病床が対象)が新設
  • 【新設】救急患者連携搬送料が新設、下り搬送(外来又は入院3日まで)をする場合を評価、送る側の看護師、救急救命士が同乗
  • 救急医療管理加算の算定患者が厳格化し、その他重症な状態の割合が多いと減算される
  • 認知症ケア加算に身体拘束減算が導入され、またせん妄ハイリスク患者ケア加算との併算定は不可となる

DPC/PDPSにおける診療報酬改定ポイント

  • データ数90件/月をDPC対象病院として明確化

    【基本的な考え方】
    ①DPC/PDPS を安定的に運用するとともに、適切な包括評価を行う観点から、
     DPC 対象病院の基準を見直す。また、医療の標準化・効率化を更に推進する観点から、
     改定全体の方針を踏まえつつ、診断群分類点数表の改定及び医療機関別係数の設定等、
     所要の処置を講ずる

    【具体的な内容】
    ①診療報酬改定に関連した見直し急性期入院医療の評価の見直しに伴い、必要な見直しを行う
    ②DPC対象病院の基準の見直し
     ・データ数について急性期入院医療の標準化という制度の趣旨を踏まえ、適切な包括評価を行う
      観点から、「調査期間1月当たりのデータ数が90以上」であることをDPC対象病院の基準と
      して位置づける
     ・適切なDPCデータの作成について適切な提出データに基づく安定的な制度運用を行う観点
      から、機能評価係数Ⅱにおける保険診療係数において評価を行ってきた適切なDPCデータの
      作成に係る基準について、DPC対象病院の基準として位置づけを見直す
     ・DPC制度への参加等の手続きについてデータ数及び適切なDPCデータの作成に係る基準の
      運用については、令和8年度診療報酬改定時よりDPC制度への参加及びDPC制度からの退出
      に係る判定基準として用いることとする
  • 機能評価係数Ⅱから保険診療指数が削除、効率性指数は患者構成を踏まえた平均在院日数で評価
    保険診療係数による評価は廃止し、一部の評価項目について体制評価指数での評価に移行する。
     救急医療係数については医療機関別係数における位置づけを見直す
     既存の4つの評価項目(地域医療、効率性、複雑性、カバー率)について、項目間での重み付け
     は等分とした上で、評価項目の再編を踏まえ、地域医療係数において体制評価指数を重点評価す
     るよう見直す
    ・効率性係数は当院平均在院日数の全DPC対象病院の患者構成比へ置き換えから、全DPC対象病
     院の平均在院日数を当該医療機関の患者構成比へ置き換えすることになった
    ・地域医療指数における体制評価指数については、実績分布等を踏まえ、大学病院本院群及びPC
     特定病院群における実績評価手法を見直すとともに、「感染症」の項目において、医療計画に
     おける取組等を踏まえ、評価内容を見直す。また、新たな評価項目として、「臓器提供の実
     施」、「医療の質向上に向けた取組」及び「医師少数地域への医師派遣機能」(大学病院本院群
     に限る)を追加する

おわりに

高度急性期及び急性期病院には極めて厳しい改定となりました。特に急性期一般入院料1の重症度・医療看護必要度は、評価項目、該当基準の割合及び該当患者の基準の3つが見直されるため、見通しを立てにくいですが、内科系の患者が多く、かつ該当患者の基準A2点+B3点の患者が多い医療機関では、基準を満たすことが難しくなると想定されます。
当該医療機関では、まずは転換先候補となる新設の「地域包括医療病棟入院料」を検討すべきでしょう。本体報酬の3050点に加え、初期加算150点、看護補助体制加算、救急医療管理加算(1=1050点、2=420点)及び新設された協力対象施設入所者入院加算等の入院基本料等加算を初め、リハビリや、カテーテル、内視鏡、穿刺等の検査・処置なども出来高で算定できるものがあるため、平均単価4000点も期待できます。
救急搬送や施設からの受入れを含め、高齢者が中心となるため、看護補助者の確保が重要となりそうです。


監修者

小松 大介
神奈川県出身。東京大学教養学部卒業/総合文化研究科広域科学専攻修了。 人工知能やカオスの分野を手がける。マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントとしてデータベース・マーケティングとビジネス・プロセス・リデザインを専門とした後、(株)メディヴァを創業。取締役就任。 コンサルティング事業部長。200箇所以上のクリニック新規開業・経営支援、300箇以上の病院コンサルティング、50箇所以上の介護施設のコンサルティング経験を生かし、コンサルティング部門のリーダーをつとめる。近年は、病院の経営再生をテーマに、医療機関(大規模病院から中小規模病院、急性期・回復期・療養・精神各種)の再生実務にも取り組んでいる。
主な著書に、「診療所経営の教科書」「病院経営の教科書」「医業承継の教科書」(医事新報社)、「医業経営を“最適化“させる38メソッド」(医学通信社)他