株式会社メディヴァ

REPORT

現場レポート

22.01.17 mon

大石佳能子のヘルスケアの「明日」を語る

医療はDXで変わる!(第1部 DXの波に乗り遅れる日本) 

2022年1月、寒い日が続きますが、皆さまはお元気にお過ごしでしょうか?
ワクチン接種のおかげで克服できたかと思っていた新型コロナ禍も、オミクロン 株で振出しに戻った様相もあります。ただ、段々人間側も新型コロナとの付き合 い方、戦い方が分かってきたので、この2年間の経験を活かして「賢く」戦いた いと思います。まずは、この2年間を振り返って、本当に意味のあった政策や活 動は何であったのか?という振り返りが必須です。有識者による予測は当たったのか?緊急事態宣言や各種自粛は本当に意味があったのか?医療の供給量は何故 増えなかったのか?等々、きちんと検証すべきです。
 さて、今回はDXについて書きます。結構書きたいことが多いので何回かに分け て書かせてください。
 昨今、新聞を初めとして各種メディアは「DX」という用語で溢れています。一 方、医療業界では「DX」という言葉はあまり使われません。使われるのは「ICT 化」や、「デジタル化」ではないでしょうか。「DX」と「ICT化」、「デジタル 化」は同義でしょうか?そもそも「DX」とは何であり、今、何故「DX」が重視さ れているのでしょうか?
 背景には日本経済の低迷があります。バブル崩壊以降、日本経済は低迷し続 け、世界経済の伸びに大きく後れを取りました。失われた20年とか30年とか言わ れていますが、この30年間の間に日本の株価はほぼ上がっていません。この間に 欧米諸国の株価は6-7倍に成長しています。時価総額で言うと、日本株は30年 前、世界の時価総額合計の約3割だったのが、今では6%程度の寄与率しかなく、 存在感を失いつつあります。
 何故、このように後れを取ってしまったのか?一つの大きな原因としてデジタ ル化の流れに乗り遅れたことがあげられます。30年前のトップ企業はトヨタを初 め伝統的な産業でした。今のトップ企業はMicrosoft、Apple、Google等のデジタ ル業界の新産業です。日本には非常に優れた技術力を持つ企業は今でも多くあり ますが、デジタル技術を十分に取り入れ、効率化することは十分できていません。
 日本経済の低迷を背景に、2018年に経済産業省は「DXレポート」を発表しまし た。DXとはデジタル・トランスフォーメーションの略で、デジタルを使うこと と、それを用いて仕組みを抜本的に変えることを意味します。DXレポートでは企 業だけでなく、政府のトランスフォーメーションも求められていて、これを受け てデジタル庁が創設されました。日本企業の多くも、政府の呼びかけに呼応する ようにDX化に向けて動き始めています。独立行政法人情報処理推進機構(IPA) による2020年の調査によると従業員1001人以上の企業の78%弱がDXに取り組んで います。
 では企業のDX化は果たして成功しているのでしょうか?実際のところ成果は十 分に上がっているとは言えません。新型コロナ禍での慌てぶりを見ても、政府や 企業のICT化、デジタル化が進んでいるとは思えません。ましてやDX化はまだ まだ道半ばでしょう。前述の調査で取り組んでいるで成果を出している内容を見 ても、業務効率化や生産性向上、既存商品・既存サービスの付加価値向上で 38.3%、現在のビジネスモデルの根本的な改革に取り組め、成果が出ているとし ている企業は7.6%しかありません。
 そもそもDXとICT化、デジタル化はどう違うのでしょうか?マッキンゼーが分 かりやすく解説しているので、それを解説しながら説明します。
 ①アナログ(Analog):情報は紙に印刷されて、情報交換は口頭や手作業でお こなわれる。  
  情報はそのままでは利活用は出来ない。例)紙、ファックス、電話
②デジタイゼーション(Digitization):情報をデジタル化。利活用は簡単に。
 例)Eメール、デジタル音楽
③デジタライゼーション(Digitalization):デジタルデータを用いる。利便性 を高め、新しいサービスを創造。例)カーナビ、YouTube、ECサイト
④DX(Digital Transformation):データとデジタル技術(クラウド・AI等)を 用いて、新しい仕組みやビジネスモデルを新しく構築。例)ECのサブスク、ビッ トコイン
「DX」は、単にICTを便利に使うことや、情報をデジタル化して利活用するだけ でなはく、新しいテクノロジーを駆使し、考え方を変え、全く新しいやり方を設 計・実行し、今までにない付加価値や効率性を生み出すことを指しています。
 分かりやすいDXモデルにAmazonのサービスがあります。2019年12月期において Amazonのサイトには190万社の中小企業が出品し、その割合は60%を占めていま す。年額4900円(日本の場合)払うPrime会員は全世界で2億人を越えました。過 去の検索や注文履歴に基づき「おすすめ」が出てきて、つい注文してしまった人 も多いと思います。また、良く買うものは「定期的に購入」しておくと、注文し 損ねても届きます。これらのサービスやAmazonが得ている売上・利益はデータや デジタル技術が無ければ存在しえません。
次回は医療におけるDXについて書きますので、また読んでくださいね。