現場レポート

2024/01/22/月

大石佳能子の「ヘルスケアの明日を語る」

内閣府「規制改革推進会議」③

皆様、今年もどうか宜しくお願いします。
2024年はお正月から能登半島地震、羽田での飛行機事故と大きな災害、事件の連続で落ち着きませんでした。亡くなられた方々のご冥福と、被災された方々が一日でも早く元の生活に戻れられるよう心から祈っています。

さて年末から規制改革推進会議の運営事例として「オンライン診療を受けることができる場所」の拡大についてご説明してきましたが、本稿で最終回です。新型コロナ期を経て規制緩和がかなり進んだオンライン診療ですが、幾つか残っている課題がありました。そのうちの一つが「患者がオンライン診療を受ける場所」です。元々診療は医療機関か居宅しか受けられなかったものが、職場や学校まで拡大されましたが、デイサービスや公民館は相変わらず不可でした。健康医療介護WGではこれを取り上げて議論してきたことは、今年度からYouTubeで配信されるようになったので、ご存じの方もいらっしゃると思います。そして、結論から言うと、先だって厚生労働省の通知が出て、両方とも可となりました。

まず、デイサービスについて厚労省のQ&Aからの抜粋です。
「オンライン診療は原則として、個々の患者の居宅において受診していただくものであるところ、個々の患者の日常生活等の事情によって異なりますが、居宅と同様、療養生活を営む場所として、患者が長時間にわたり滞在する場合には、オンライン診療を受診できる場所として認められます。職場については、居宅と同様に長時間にわたり滞在する場所であることを踏まえ、療養生活を営むことができる場所として、個々の患者の所在と認められる場合があることを示したものです。学校や通所介護事業所などについても、個々の患者の日常生活等の事情によって異なりますが、居宅と同様、療養生活を営む場所として、患者が長時間にわたり滞在する場合には、個々の患者の所在として認められます」。

付帯条件として、オンライン診療の責任については原則当該医師が責任を負うことが記載されています。患者の所在がプライバシーに配慮した、安全で適切な場所であるかについて確認する必要があること、患者の急変時などの緊急時の体制確保等を含めて、オンライン診療について原則当該医師が責任を負うこと等に留意しなくてはなりません。
利用者やご家族への周知や事業所等の職員による機器操作のサポートも可能とされました。

但し、通常では医療機関のみで行われる行為(例えば看護師の採血)や医療機関のみにおいてある機器を使用するためには医療機関としての届け出を出さないといけません。また補助行為や診療時間は介護保険サービスと明確に区分した保険外サービスとなります。

次に公民館を活用した場合ですが、こちらは医師が常駐しなくてもいいですが、診療所もしくは巡回診療所を開設しなくてはなりません。
オンライン診療を行いたい医療機関は、自宅でのオンライン診療の受診又は患者が必要とする医療機関の適時の利用が困難であること、オンライン診療の受診を希望する住民が存在すること、住民の受診機会が不十分であると考えられる理由を都道府県知事に提出しなくてはなりません。また、患者の急変時の対応について連携可能な医療機関を確保することも必要となります。
都道府県は、地域医療に与える影響やその可能性について、地域医師会等、診療に関する学識経験者の団体等と連携して把握し、概ね1年毎に、指針を遵守可能な体制を整えているか確認するとともに、オンライン診療の実施件数について報告を求め、地域医療に与える影響やその可能性について、地域医師会等、診療に関する学識経験者の団体等と連携して把握することを求めています。ここまでの手間を掛けてまで都道府県や医療機関が公民館オンラインに踏み切るかは分かりませんが、道筋を作ったという意味では、一歩前に進んだと評価しています。

このような議論をしている中、能登半島地震が起きました。東京首都直下型や南海トラフ沖を初めとして、日本各地、いつどこが災害に見舞われるか分かりません。思いがけない時に、思いがけない場所で地震は発生し、大被害を残します。
災害が発生すると、被災地にいる方々の医療が大きな問題となります。東日本大震災の時には、メディヴァが連携している亀田総合病院では、亀田信介院長(当時)が透析の必要な患者さんを福島から鴨川まで運びました。規制もありましが、強権発動し、隣の旅館を接収・治療をしたと聞きました。

今回の能登半島地震でも、DMATやNGOの方々は現地入りをして、懸命な救出作業に尽力されていて、頭が下がります。現地の病院も頑張ってらっしゃる様子が伝わって来ています。規制改革推進室の方々と話をしたのは、規制を変えるともっと出来ることは無いのだろうか、そのための早急な規制緩和が必要ではないか、ということでした。

薬をドローンで飛ばせたら、困っている人に届けやすくなるのではないだろうか?倒れてきたヤカンによる火傷を軽症と判断された結果、感染して幼児が亡くなったという痛ましい事例がありました。現地のお医者さんもどんどん患者が運ばれてくる中、手一杯でしょう。AIが診断支援をすればもっと多くの患者さんを正確に対応できたのではないだろうか?看護師さんも、救援のために現地入りしています。その方々に、もっと権限を与えたら仕事がしやすくなるのでは?

新型コロナ期は平時ではなかったので、2020年の所謂「0410特例」では時限措置としてオンライン診療が完全解禁になりました。今は平時であっても、地震災害によって、いつ平時で無くなるか分かりません。その時を睨んで、規制を緩め、特にDXやタスクシフトを進め、いつでも最善を尽くせるように準備するべきではないでしょうか。従来にも増してそう強く思っています。