2023/07/28/金

医療・ヘルスケア事業の現場から

介護ロボットとは?種類や導入メリットなど最新の情報をご紹介

1.はじめに

少子高齢社会が進む現状において、介護人材の不足は深刻な課題となっており、介護従事者の負担や時間外業務の増加が深刻な問題となっています。この問題を解決する方法として、ICT機器や介護ロボットの活用が有効な手段ですが、実際には導入・使用が依然としてあまり進んでいない施設が多いというのが現状です。このままでは、今後介護サービスの質や量を維持することが困難となることが懸念されます。そこで、本記事では「介護ロボット」について詳しく解説します。本記事が介護ロボットの導入をご検討の皆さまの参考になれば幸いです。

2.介護ロボットとは?

介護ロボットの定義は下記3つの要素を持ち、知能化した機械システムのことを指します。

・情報を感知する(センサー系)
・判断する(知能・制御系)
・動作する(駆除系)

そして、上記に加えて、ロボット技術が応用され、利用者の自立支援や介護者の負担軽減に役立つ介護機器を「介護ロボット」と呼びます。

3.介護ロボットの種類

介護ロボットは3種類に分類可能

介護支援型ロボット

移乗や入浴、排泄などの介護業務の支援を目的としたロボットで、介護施設などで導入されていることが多いです。
介護スタッフの身体的、精神的負担を軽減し、利用者も安心して介護を受けることができます。

自立支援型ロボット

利用者の歩行や食事、リハビリの補助を支援してくれるロボットです。
例えば、膝の痛みで歩くことが困難な利用者が膝に装着することで、歩行する際の負担を軽減し、自立歩行などの動作をサポートしてくれます。

コミュニケーション・セキュリティ型ロボット

人工知能の搭載により、人とのコミュニケーションを取ることや、見守りセンサーによって利用者の様子をチェックすることができるロボットです。
コミュニケーションロボットは会話の他にもレクリエーションのサポートや声かけを行うロボットがあります。見守りロボットは利用者の異常を感知したらアラームで知らせてくれるロボットになります。

介護ロボットの重点分野

さまざまな介護ロボットがある中でも、経済産業省、厚生労働省が開発と導入を支援している重点分野は下記の6つになります。

移乗支援

利用者要介護者をベッドから車いすに、ベッドからストレッチャーに移すときなどの身体的負担をサポートする分野であり、装着型と非装着型の2種類に分類されます。

移動支援

利用者要介護者の歩行や立ったり座ったりする際の補助を行う分野であり、さまざまなシーンで活用されます。

排泄支援

排泄に関わる全ての動作をサポートする分野であり、トイレへの誘導や衣類の着脱、トイレ内の環境改善なども含まれます。

見守り・コミュニケーション支援

センサーや外部通信機能を搭載しており、施設や住宅の両方で活用されています。夜間も赤外線カメラが搭載されているため、介護スタッフの負担を減らすことが可能です。

入浴支援

入浴にかかわる支援をサポートする分野です。
浴室は転倒のリスクが大きく、介護スタッフの身体的、精神的負担も減らすことが可能です。

介護業務支援

介護業務に関する情報収集をサポートする分野であり、介護業務に関する情報の共有に加えて、さまざまな情報を蓄積することが可能になるため、介護サービスの計画作成や見直しなどを円滑に行うことができます。

4.介護ロボット導入のメリット

介護者の身体的・精神的な負担が軽減される

介護ロボットの導入により、介護者は身体的・精神的に負担が軽減されることにつながります。例えば、ベッドから体を起こすことや、抱きかかえて移動する際などの身体的負担が減ります。
また、夜間の見守りもセンサーにより異変に気づきやすくなり、施設での巡回の回数を減らすことができるなど、心理的負担が軽減されることにつながります。

被介護者の心理的負担が軽減される

利用者は介護される際に「申し訳ない」、「恥ずかしい」などの気持ちを抱いてしまう方も少なくないとされておりますが、ロボットの導入によってそれらのストレスを感じる機会の減少が期待できます。
また、見守りセンサーがあることで、夜間も安心して眠れるようになり、心理的負担が軽減されます。

人手不足の解消や業務の効率化につながる

今後、高齢化に伴い介護ニーズが増える中、介護人材の不足が懸念されています。現在でも人手不足に悩まされる施設は多く、業務の効率化が求められています。そこで、ロボットを導入することで、業務の効率化や人手不足の解消につなげることが可能になります。

補助金を活用できる

介護ロボットを導入する際は、都道府県単位での「介護ロボット導入支援事業」にて介護ロボットの導入支援を受けることができます。また、介護ソフトや通信機器等を対象にした「ICT導入支援事業」も合わせて活用することができるので、施設の負担を減らすためにも最大限活用すると良いです。

5.介護ロボット導入のデメリット

導入コストが高い

介護ロボットの普及率はまだまだ低く、生産量も少ないため、単価も高くなってしまっています。また、購入費やレンタル費に加えて維持費もかかるため、導入したいができない施設や在宅も多いのが現状です。そのため、業務改善に必要な最低限の機能を兼ね備えていて、費用対効果が十分に得られるシステムを選定する必要があります。特に時間短縮効果を試算しておくと良いです。また、上記のメリットでも述べましたが、補助金も活用すると良いです。

設置スペースの確保が必要

介護ロボットには小型のロボットから大型のロボットがありますが、移乗などを支援するロボットは大型のものが多いため、設置するスペースの確保がどうしても必要になります。購入を検討する際はロボットの規格も予め調べておき、施設内に設置するスペースはあるか確認し、現場スタッフの理解・協力が得られるか確認することが重要です。

機能の把握や操作方法を覚えなければならない

使用者は、介護ロボットに搭載されている機能を把握することや操作方法を覚えなければ、安全に使用できなくなることや、機能を持て余してしまうことにつながります。そのため、システム選定の際は、従業員が使いこなせるか、分かりやすいインターフェースになっているかも判断基準に加えると良いです。導入後もマニュアルを作成して業務の平準化を行うことで業務の属人化を防ぐことも重要です。その際は、個人のITリテラシーに依存しないマニュアルを作成することがポイントです。

6.今後の課題

介護ロボットは未だに導入率が低く、介護現場のニーズを汲んだ在宅の現場でも活用できる実用性の高いロボットの生産が求められます。
開発者は現場でのニーズを汲み取り、実用的なロボットを生産し、使用者はロボットの正しい知識を持ち、活用方法を理解する必要があります。

7.まとめ

国は介護ロボットやICTの普及を進めていますが、コストが高い、設置場所がない、使いにくいなどの理由で介護現場での導入が進まない現状です。この問題に対して、弊社では、介護ロボットを活用した生産性向上の支援サービスを提供しています。
このサービスでは、以下のような特徴があります。

– 介護ロボットやICT機器の設置場所や使い方を現場のニーズに合わせて最適化するために、現場の職員と協力してオペレーションの設計や改善を行う。
– 介護ロボットやICT機器の導入効果を定量的に評価するために、ケアの質や生産性、職員の満足度などの指標を定義し、データ収集や分析を行う。
– 介護ロボットやICT機器の定着化を促進するために、現場の職員に対して研修やフォローアップを行う。
– 介護ロボットやICT機器の購入やレンタルの費用を低減するために、補助金や助成金の活用方法をアドバイスする。

弊社のサービスは、単に介護ロボットやICT機器の導入だけではなく、それらを業務オペレーションに組み込んで定着させ生産性向上を図ることで、ケアの質の向上や職員の負担軽減などの効果を実現することを目指しています。その成果として、介護の質・働き方を変えるところまでを現場の方と一緒に進める伴走型支援を提供しています。弊社のサービスに興味がある方は、ぜひお問い合わせください。

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