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2026/09/07/月

医療業界の基礎解説

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診療報酬改定で変わる「外来データ提出加算」

【執筆】コンサルタント児玉/【監修】シニアマネージャー林佑樹

はじめに

令和8年度の診療報酬改定において、生活習慣病患者の診療データの提出を評価する「外来データ提出加算」が再編され、「充実管理加算」が新設されました。データ入力の負担は一部軽減されたものの、治療実績に応じた3段階評価の導入や手入力項目の追加など、現場には新たな実務対応が求められます。

まずは、生活習慣病管理料や地域包括診療料などを算定する医療機関に向けて、今回の診療報酬改定による影響と制度変化の全体像を見ていきましょう。

※実務上のポイントを解説する【実践編】は後日公開予定です。

「充実管理加算」への移行と新しい「外来データ提出加算」

そもそも外来データ提出加算は、生活習慣病患者の診療データを毎月提出する医療機関を評価する仕組みとして、令和4年度診療報酬改定で生活習慣病管理料に設けられた加算です。提出されたデータを集約し、医療政策の立案や医療の質の向上に活用することを目的としています。

令和8年度の診療報酬改定では、この生活習慣病管理料(Ⅰ)・(Ⅱ)で算定できた「外来データ提出加算(50点)」が廃止され、新たに「充実管理加算」が新設されました。実質的には名称変更ですが、最大のポイントは診療点数が一律50点から「治療実績に応じた3段階(10〜30点)」に変更された点です(詳細は後述)。

さらに複雑なのは、「外来データ提出加算」という名称自体は残っている点です。かかりつけ医機能を評価する項目である地域包括診療料・地域包括診療加算を対象に、同名の加算が別枠で新設されました。これらを算定する患者について、充実管理加算と同様に診療報酬の請求状況や診療内容に関するデータを継続して提出している場合に、「外来データ提出加算(月1回10点)」を算定できます。また、初診時に算定する「機能強化加算」については、施設基準に「地域包括診療料や生活習慣病管理料などに伴う外来データ提出加算の届出を行っていることが望ましい」という要件が追加されました。ここまでの再編の全体像を図1に整理しています。

<図1:加算の再編と名称の変遷>

外来データ提出加算の再編と名称の変遷

令和8年度診療報酬改定における変更点

今回の改定における重要なポイントは、①名称の変更と対象の拡大、②外来様式1(FF1)の入力項目の大幅な変更・簡素化、③3段階の評価設定 の3つです。

①名称の変更と対象の拡大
前述の通り、従来の外来データ提出加算は「充実管理加算」という名称に変わり、新しい「外来データ提出加算」が設けられました(図1)。新しい「外来データ提出加算」を算定する場合は、「充実管理加算」の対象となる高血圧・糖尿病・脂質異常症に加えて、慢性心不全・認知症・要介護等まで対象が広がるため注意が必要です(図2)。

<図2:データ作成の対象範囲>

外来データ提出加算データ作成の対象範囲

②外来様式1(FF1)の入力項目の大幅な変更・簡素化
従来の加算で大きな業務負担となっていたFF1は大幅に見直され、入力項目が約70項目から約35項目へ簡素化されました(約40項目が削除、5項目が新設)。これまで手入力が求められていた身長、体重、血圧、採血データなどが削除されたことで、入力時間が短縮されるだけでなく、人為的な入力ミスが少なくなり、その後のエラーチェックにおけるエラーや警告が減少するため、ファイル修正にかかる工数も削減できると考えられます。

※充実管理加算・外来データ提出加算におけるFF1の項目の全体像は【実践編】で解説します。

③充実管理加算における3段階の評価設定
今回の診療報酬改定で最も大きな影響が及ぶ変更は、これまで一律50点であった診療報酬に代わって、疾患(脂質異常症、高血圧症、糖尿病)ごとの管理実績に応じた3段階の加算(充実管理加算1〜3:30点・20点・10点)が導入されたことです。

一定期間内に提出されたデータをもとに、定期受診を継続している患者の割合、ガイドラインに準じた採血の実施割合、特定健康診査を受診した患者の割合などが疾患別に実績値として算出されます。そして、その実績が充実管理加算の届出を行う保険医療機関全体の中で上位何%に位置するかによって、加算の段階が判定されます(図3)。

<図3:充実管理加算の3段階評価と実績指標>

充実管理加算の3段階評価と実績指標


外来データ提出加算・充実管理加算の今後

今回の診療報酬改定における外来データ提出加算の再編は、単に「体制を整えてデータを提出すれば評価される」時代から、提出されたデータから読み取れる「診療の質」や「治療の成果(アウトカム)」が評価される時代への転換を示唆しています。

充実管理加算では、定期的な検査の実施、受診の継続性、多職種や他科との連携が評価指標として求められています(図3)。これらは標準的な治療としてガイドラインに定められている内容ですが、ここで注意すべきは、「充実管理加算の実績として求められているからといって不要な・過剰な検査は、決して質の高い医療とは言えない」という点です。外来診療においては、図4のような一連のサイクルが機能する状態をつくることが医療の質の向上につながると考えます。

<図4:診療のサイクル>

外来診療のサイクル

このサイクルが回ることで、患者自身が自分の「治療の現在地とゴール」を理解し、チームで支えられている実感を持つようになります。この「納得感」と「信頼関係」こそが、医療における最大の課題であるドロップアウト(治療離脱)を防ぎ、結果として高い継続受診率という「実績」につながります。

次回の実践編では、診療報酬改定における変更点に対応して、算定を開始・継続するための「5つのステップ」と、現場担当者が直面しやすい「実務上の障壁」への具体的な対策を解説します。

※本文は2026年8月31日時点の情報をもとに記載しております。