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2022/02/18/金

コラム

臨床とコンサルタント、より患者さんの役に立てるのはどちら?

これまで医療に関係する採用の仕事を20年続けてきて、ずっとモヤモヤしていることがあります。

面接の中で、「一つの病院で臨床をやっているだけでは、貢献できる患者さんの数が限られる。コンサルタントになって、多くの病院を良くすることで、より患者さんの役に立ちたい」と志望動機を話される方が多くおられます。この話を聞いて頭に浮かぶ以下のようなことが私のモヤモヤの源泉です。

・臨床と医療経営コンサルティングは、違う性質なので比較できないのに、関係する患者さんの数だけで貢献を比較できるのか?

・それでも、貢献をなんらかの数値に置き換えられるとしたら、臨床で患者さんに深く関わり貢献することができれば、人数は少なくても、トータルの貢献度はそのほうが大きい可能性もあるのではないか?

・本当に患者さんに貢献できるレベルの仕事はどんな立場でも難しいことであり、関わり方を変えたら貢献度が増すとは限らないのではないか?

、、、

20年間、モヤモヤを解消しよう、皆さんの真意を理解しようと様々な対話をしてきて、かなり理解できたところがあります。皆さんがそう言われるときには、実は以下のような状況をなんとか打破したいという思いがまずあるということです。

・今の病院では、「こうした方が良い」と思っても意見すら聞いてもらえず、自分の思いは業務に反映されない。

・一つの部門で業務改善には関われたが、病院全体の経営にはタッチできず、情報もないので、フラストレーションが溜まる。

・病院の中でポジションを上げていけば経営改善する立場になれるかもしれないが、気が遠くなるくらい先で、それまで耐えられると思えない。

・経営状態が悪いとやりたい医療もできないので、臨床をやっているだけでは不十分ではないかと思う。

そして、打破するための手段として病院経営コンサルタントになることを想定されているということです。もちろん「より多くの患者さんへの貢献」ということも思っておられるでしょうが、それは、どちらかというと面接で言いやすい表現であるか、もしくは、今よりも意味のあること、より良い医療の実現のために頑張れているご自身の姿を、そう表現されているのではないかと思います。

メディヴァに入社して、多くの病院でコンサルティングを行い、良い医療と良い経営状態の実現を多くの病院で果たすことが出来れば、大きな充足感と、実際に大きく患者さんに貢献することは可能だと思いますが、そのためには、いくつか条件があると思います。

一つ目は、コンサルタントにキャリアチェンジして臨床から離れることで失うものを想定して、それに対して覚悟ができているか?ということです。

臨床を離れることで、一人一人の患者さんと深く関わり、直接的に貢献できる機会は失われるでしょうし、チームの一員、当事者として良い医療を提供する仕事は出来なくなるでしょう。ご自分の将来の選択として、それが納得できているかどうか、一度深く考えてみることをお勧めします。

二つ目は、資格の裏付けがある仕事から、それが無く、実力と実績にしか頼れない立場への転換を想定して、覚悟を持って受け入れられているのか?ということです。キャリアを作っていく中で、これはかなりの大転換であり、真剣に考えた上で判断する必要があるだろうと思います。

三つ目は、コンサルタントとして高いスキルや知見を持ってより良い医療、より良い医療経営を実現できる実力、少なくともそのポテンシャルをご自身が持っているかどうかの見極めが出来ているか?ということです。

コンサルタントへのキャリアチェンジは、現状の問題点を解決する可能性はありますが、それはあくまでも可能性であり、それを果たすことはたやすいことではありません。

これらが明確であり、メディヴァに飛び込んできてくれる人はもちろん大歓迎なのですが、現実問題として、一人で確信を持って言い切れる方は稀だと思います。

メディヴァに応募していただくと、面接で私とお話しする機会もあると思いますが、面接でここまで書いたようなことを一緒に考えて確かめていくことがよくあります。一人では見極めが難しいことも、誰かと一緒に考えることで見通しがよくなることもよくあると思います。自分のことは言いにくいですが、20年もの間、常に真剣に応募者の方と向き合って一緒に考え、判断し、入社後の方々とともに会社を作ってきましたので、キャリアについて考えるディスカッションパートナーとしてはかなりお役に立てると思います。

これを読んで、興味を持たれた方はぜひご連絡を下さい。応募を迷われている場合でも、その旨を伝えて下されば、状況に応じて柔軟に対処します。

ちなみに、タイトルの「~より患者さんの役に立てるのはどちら?」という問いに対する答えですが、臨床とコンサルタントは患者さんへの役に立ち方のタイプが違いますので、やはり比較自体が難しいと思います。まずは上記のような状況は打破できるとして、その先に自分がどういう形で役に立ちたいか、感じたい貢献の実感はどういうものなのかを見極めることが大切だと思います。

どちらであっても長年にわたって真摯に取り組めば、キャリアの終わり頃には大きな満足感を持つことができるのだろうと思います。

それでは、新たな出会いを楽しみにお待ちしています。(岩崎克治)