Profile
2023年入社。介護福祉士・介護支援専門員として30年近く介護現場で実践とマネジメントに携わる。現在は福岡市認知症フレンドリーセンターのセンター長として、認知症当事者の声をもとに共生社会のしくみづくりに取り組む。現場視点と制度をつなぐ実践者として、社会変革に挑み続けている。趣味は洗車、模型作り。
こんなことが知りたい方へ💡
-約30年のキャリアを離れ、新たな挑戦に踏み出した理由
-センター立ち上げプロジェクトの舞台裏
-メディヴァというフィールドで得られる、本当のやりがい
「君の人生だ。やりたいことは堂々とチャレンジしなさい」
これは、約20年勤務した前職の理事長が、転職を伝えた私にくれた言葉です。
私は長年、介護保険の現場に従事し、直前には7つの事業所を統括する立場で経営にも携わっていました。困難な時期も多くの仲間とともに乗り越え、「この法人に骨を埋める」と決意していたほどです。
しかし、介護業界全体を見渡すと、認知症当事者の意思が置き去りにされている現実があり、私は強い違和感を覚えていました。「帰りたいのに帰れない」「やりたいことが制限される」——そんな業界の矛盾を、現場だけでなく社会全体の仕組みとして変えたいと考えるようになったのです。
そんな中で出会ったのが、福岡市が全国に先駆けて取り組む「認知症フレンドリーシティ・プロジェクト」。その拠点となる「福岡市認知症フレンドリーセンター」の開設と運営にメディヴァが携わると知ったとき、これだ!と思いました。認知症になっても、これまで通りの暮らしを続けられる社会をつくる——そんな私のライフワークと深く重なり、意を決してメディヴァの門を叩きました。
転職にはもちろん迷いもありましたが、思いを理事長に打ち明けると、この上ない励ましの言葉をくださいました。あのときの一言があったからこそ、今、私は新たな挑戦を楽しめていると思います。
背中を押してくださった理事長には、今でも感謝しかありません。
<福岡市認知症フレンドリーセンターとは?>
認知症になっても安心して暮らせるまちを目指し、福岡市が立ち上げた拠点です。
認知症当事者が社会に関わり活躍できる機会づくりや、企業・地域と連携した“認知症の人にもやさしい”サービスの開発支援などに取り組んでいます。私が所属するメディヴァは、このセンターの開設および運営を福岡市から受託し、プロジェクトを推進しています。
私の入職は7月。目前に迫った9月のセンターオープンに向けて、本プロジェクトは最終局面を迎えていました。
採用、施設準備、研修設計など、すでに進行していたプロジェクトに加わり、まさに短期決戦で準備を加速させていきました。当時はリモート会議にも慣れておらず、PC操作にも四苦八苦。「会議URLって、どうやって送るの!?」と、まるで未知との遭遇でした(笑)
そんな、PC操作もおぼつかない私を、九州や北海道から集まったメディヴァの立ち上げメンバーが的確にサポートしてくれて、本当に心強かったですね。
また、一緒に働くセンターの仲間集めには特にこだわりました。私が求めていたのは、「開拓・挑戦する気持ち」「向上心」「調和力」という、この事業に不可欠な資質です。 全員の入職が決まったのはオープン直前でしたが、まさにその資質と高い志を持つ、最高のメンバーが集まってくれました。オープンから2年経った今も、誰一人欠けることなく同じ目標に向かって走っているこの仲間たちと出会えたことは、私の誇りです。
そんな最高のチームで走り出したセンターは、すぐに私たちの想像を超える反響を呼び始めました。地域の方々はもとより、新しい社会のあり方を模索する企業や全国の行政、さらには海外からも視察が絶えません。私たちの挑戦が、社会から大きな期待を寄せられていることを肌で感じる毎日です。
私の活動の原点には、忘れられないご夫婦の姿があります。
重度の認知症を患う奥様と、二人で暮らす旦那様。家の中は物であふれていましたが、旦那様は決して奥様を責めることなく、「家内はもともと働き者ですから」と優しく笑っていました。
元・料理教室の先生だった奥様は、今も楽しそうに台所に立ちます。その姿を見つめながら、旦那様は「家内が楽しいと思える時間が、何よりの薬なんですよ」と仰ったのです。
このご夫婦を通して、私は確信しました。——温かい環境があれば、認知症になっても人はその人らしく笑顔でいられるのだと。
この確信は、私が理想とするケアの在り方にもつながっています。
介護支援専門員として働いていた頃、ある精神保健福祉士からこんな言葉をいただきました。
「介護サービスを提供することが目的ではなく、その人の“生き方”に寄り添うことがケアなんだ」
この言葉が、現場で感じていた“本人の意思が置き去りにされる”という矛盾への答えを示してくれました。「その人らしい最期」から逆算して「今」を支えることこそが、ケアの本質だと腑に落ちたのです。
現場で培った「一人ひとりに寄り添う視点」と、メディヴァで得た「社会課題を構造化し解決する力」。
この二つが掛け合わさり、約30年の介護経験が新たな力となりました。
当事者の声や想いを社会の仕組みへと昇華させる——それこそが、介護畑出身の私だからこそ提供できる価値であり、最大のやりがいです。
現在、フレンドリーセンターでは、認知症当事者が“ハタラク”場を持ち、企業とともに製品開発に携わっています。これは、彼らが社会とつながりながら「自分らしく生きる」ことを可能にする挑戦であり、“認知症になっても笑顔で暮らし続けられるまち”への大きな一歩です。
この実践を日本全国へ、そして世界へと広げていく——それが、私の次の目標です。
正直、最初は「コンサルの会社って何をしてるんだろう?」という印象でした(笑)。
でも実際に入ってみると、全国各地にプロフェッショナルが点在し、それぞれが自分のテーマに真剣に向き合い、常に“本質”を追求している。それがメディヴァです。
「無人島にまちをつくる」という理念のもと、ゼロから社会課題にアプローチする姿勢には、ただただ共感するばかりでした。思いを共有できる仲間が一気に広がったことは、本当に嬉しかったですね。
センターの立ち上げを通じて、物事を多角的に捉える力や、柔軟な思考も自然と身についてきたと感じています。
介護畑一筋だった私にとって、当初はコンサルティングの考え方やPCスキルに戸惑うこともありました。
それでもメディヴァには、多様な専門性を持つ仲間を尊重し、助け合う文化が根付いています。だからこそ、業界未経験の方でも安心して飛び込める環境だと思います。
メディヴァは、自由さとしなやかさ、そして“問い続ける”ことを大切にする会社です。
自分のやりたいことに本気で向き合い、社会に良い変化を起こしたい人にとって、これ以上ないフィールドがあります。
あなたもぜひ、夢に向かって一歩を踏み出してみませんか?
(2025年11月掲載)