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2022/11/16/水

働く人たち

【コンサルタント体験談】事務長を経験して感じたこと、そして学んだこと

こんにちは。コンサルティング事業部の楠井です。
私は大学卒業後に医療コンサルティングの会社に就職し、その後メディヴァに転職しました。
通算すると7年ほど医療コンサルタントとして勤務していますが、その中でも印象深いのが今年の春まで約2年間担当していた「事務長」の仕事です。
今回は、在宅医療や家庭医療を中心とする診療所の副事務長や、看護小規模多機能型居宅介護事業所の運営支援の経験から感じたことや学んだことを紹介したいと思います。

■「事務長を経験したい」と思った背景

これまでは主に、病院建替えを含む中長期事業計画作りや経営改善など、医療コンサルタントとして業務に取り組んできましたが、提案したことが現場ではどんな形になっているだろうか、また大きな視点での事業計画に、さらに現場の困りごとへの考慮や現場から良い医療を作っていくための考え方を取り入れることで、もっと良い経営が出来るのではないだろうか、といった疑問を心のどこかに持っていました。

徐々にその気持ちが大きくなり、医療機関の組織内の人として仕事を行い、企画から実務まで一通りの業務を経験したい、そうすることでもっと本質が掴めるのではと考えるようになりました。そこで、上司とも相談のうえ、キャリア自律のための制度を利用し、事務長としてクライアントである医療法人の2か所の施設で現場運営の経験をさせてもらうことになりました。

■事務長の業務内容とは?

「事務長職ってどんなことをするのか?」と疑問に思われる方も多いと思いますが、一文で表すならば「現場の運営や改善の未来を明確化し、実現のネックになるものに対応しながら組織を進めていくこと」と考えています。

事業計画や取り組む方針の策定といった経営寄りのこともあれば、施設を利用される方々の送迎やワクチン処理業務というような運営実務まで、経営企画、人事、情報システム、経理、用度、その他総務・事務の何でもやりました。業務の中では、他の現場職員と重なる部分は多くあり、明確な切り分けがあったというより適宜協議しながら実施しました。

■経験して感じたこと、そして学んだこと

まずはじめに、私が事務長として取り組み始めてすぐに感じたことや学んだことなどを順を追って記述いたします。業務を行う中で学んだことは数多くありますが、代表的なことをまとめました。
皆さまも自身が事務長職になったとイメージしながら読んでみてください。

①日々発生する問題対応に対しての考え方
事務長業務にあたり始めてすぐに分かったのは、現場には無数の改善点が落ちている、かつ、問題は毎日新たに発生するということでした。日々の運営に関わることもそうでないことも、どんどん発生します。

当然、すべてのことを同時に対応することは不可能なので、優先順位を常に考えながら取り組まないといけません。また、問題を解決するだけではさらなる改善に取り組めないので、解決するときには少しずつでも良いから変化させて同じ問題が生じないようにすることが重要と考えて取り組みました。

②組織マネジメントで重要なポイント(意思決定の方法)
組織活動を円滑に進める上で内部職員の納得感がないと前には進めません。前に進んだように見えても何かのときに問題として噴出してしまうことを経験しました。意思決定のプロセスや体制はかなり重要で、曖昧なものになっていると実行や浸透定着の段階で苦労します。

③チーム全体で協力し合うための心構え
医療現場では、管理職活動や委員会、コロナ等の新規プロジェクトといった多職種の職員が一つのチームとして取り組む場面が多くあります。協力しあって取り組むためには、3つの努力が重要でした。

事務長としていろんなチーム活動を経験しましたが、上手くいくときはこれら努力が実現できているときだと私は感じました。

④改善するための具体策の考え方
何かを改善しようとするとき、進むべき方向性については、分析と課題の整理によって導き出すことができますが、具体的に何をどうやって進めるかを論理的に導き出すことは幾つかの理由により難しかったと感じています。

そのため、方向性についてはなるべく明確に答えを出しつつも、具体的な取り組みでは判断の間違いが常にあるものと捉えてながら、トライ&エラーを繰り返しました。

⑤組織マネジメントで重要なポイント(職員が積極的に活動できる状況の確保)
これまで書いた①~④のような活動を自分のみ、また少人数のメンバーだけで進めることには限界があり、様々な方に積極的に協力、活動してもらうことが重要だと思いました。

ここで言う「積極的に協力、活動してもらう」とは、お願いしたときに労力を投じてくれるということもそうですが、誰かの関与がなくても良いと思ったことを各自で判断して実行してくれることまでを含みます。その段階まで到達して、はじめて組織力が向上したと言えると思うのですが、実現するためにはいろんな手を講じる必要があると思います。参考までに私が実施したことを記載します。

・進むべき方向性の全体共有
・意思決定権限の明確化、現場移乗
・期待役割の伝達
・提案事項の多くには賛成する(少なくとも賛成できる点を示す)
・感謝を示す
・可能な範囲で疑問や質問に詳しく答える、などです。

このテーマは不断の努力をし続けないといけないことだと思いますが、重要な考え方としては「すべての人は互いに異なっていて、自分の考えとは違う取り組みをする。それが自然である」ということだと私は思いました。

■コンサルティングと現場運営の違いについて思ったこと

次に、コンサルティングと現場運営の業務を比べると、以下のような特徴があると私は思いました。どちらの業務も進め方は多様なので、代表的な場合のこととして捉えてください。

●コンサルティング
・業務範囲は狭い。戦略・計画策定、課題整理、コアな課題の改善実行支援などが中心。
・限られた時間のなかで、課題の全体像と大きな方針や成果を示す必要がある
・論理的に考えることができる範囲を取り扱う。

●現場運営
・業務範囲は広い。基本的に臨床業務以外は何でもあり。
・早い段階で課題の全体像と大きな方針を示す必要はあるが、成果については実行する中で何度も周知したり、必要なら修正することもある。
・論理的には決められない(どの選択肢もありうる)取り組みを進めていく。

総じていうと、論理的な分野を主なフィールドとして成果を出していくのがコンサル業務、その他の分野までトータルで取り組んでいくのが事務長が行う現場運営業務と考えています。どちらからも学ぶべきことは非常に多くあり、本当の経営が分かるようになるためには、両方を習得する必要はあると思いますが、どの順番で学ぶか、最終的にどちらに足場を置くかは各々の志向やキャリアプランに応じて経験を積めることができればと良いと思います。

私の場合は、データ分析や構想策定などの医療コンサルタントとしての専門性を高めたいと考えていたので、現在はコンサルティング業務に戻り勤務しておりますが、事務長を経験したことで自信をもって提案できる内容が増えた点は非常に大きく、両方の業務を経験できたことは今後の人生にとって重要だったと感じています。

メディヴァには、能動的に自分のキャリアをつくれる環境があります。
今回のブログが皆さまのお役に立てると嬉しいです。

以上

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