2019/08/02/金

医療・ヘルスケア事業の現場から

NDBオープンデータ等による全国・都道府県別胃瘻造設件数に関しての調査 <追補版>

コンサルティング事業部 久富 護

2019年3月に「NDBオープンデータ等による胃瘻造設数に関する調査」をリリースし、75歳人口あたりの胃瘻造設件数がここ数年で大幅に減少していることや都道府県ごとに造設数に差があることをご報告させて頂きました。リリース後に多くの方々から、それらの一因は「こういったことがあるのではないか?」といった貴重なご意見を頂きました。今回は頂いたご意見をもとに、あらたに中心静脈注射用植込型カテーテル設置件数なども分析致しましたので、追補版としてご報告させていただきます(全国の胃瘻造設数および中心静脈注射用植込型カテーテル設置件数推移は本年6月発表の社会医療診療行為別統計(平成30年6月実績分)を反映)。

全国での算定件数年次推移をみると、平成23年と比較し、平成30年では人口あたりの造設数は約半数になっている(ただし、調査期間で最も算定件数が少なかった平成28年と平成30年を比較すると造設数は増加)。
都道府県別での算定件数をみると、沖縄県が人口あたりの造設数が最も多く、静岡県が最も少なくなっている。

<以下、追加分析>

75歳以上人口あたりの中心静脈注射用植込型カテーテル設置件数はこの数年おおよそ横ばいで推移しており、都道府県別では鳥取県が最も多く、山形県が最も少なかった。
75歳以上人口あたりの胃瘻造設術算定件数と中心静脈注射用植込型カテーテル設置件数の合計をみると、鳥取県が最も多く、熊本県が最も少なかった。
都道府県別の胃瘻造設術算定件数と医療療養病床数、特養定員数(すべて75歳以上人口あたり)については、強い相関は認められなかった。

上記のことがわかりました。
以上より

栄養経路として中心静脈栄養法への考え方は大きな変化が見られないものの、経腸栄養法への考え方は徐々に変化しており、加齢性変化等により経口摂取が困難になった際、新たな栄養経路は造設せずに、そのまま看取りに至る方が増加している可能性がある。
栄養経路として胃瘻を造設する/しない、中心静脈栄養点滴を実施する/しないへの考え方は、地域ごとに特徴がある。

ということが示唆されました。
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