ミャンマー乳がん検診普及プロジェクトのその後│GLOBAL

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メディヴァ海外事業部  松永絵葉

 ミャンマーの乳がん検診普及プロジェクトについてご報告します。その前にまず、私がこのプロジェクトに関わることになった経緯をお話させていただきます。
 私は大学卒業後、タイの田舎町で日本語教師として働いたのち、特許事務所に勤めるなど医療とは関係のない分野で働いてきました。しかしタイの田舎町でみた病院の前に寝泊まりする人々の光景が忘れられず、日本の医療を海外に広めることをミッションとした団体に入職し、経済産業省の委託事業などの管理を行ってきました。
 その頃にメディヴァの乳がん検診普及プロジェクトに少し関わることがあり、重ねて医療の現場に近い仕事をしたいと考えていたことから、2015年5月にメディヴァに入職し、メディヴァ海外事業部発足のきっかけとなった、ミャンマーの乳がん検診普及プロジェクトに携わることになりました。
ミャンマー乳がん検診JPの経緯
 メディヴァのミャンマー乳がん検診PJは、2012年にはじまりました。当時ミャンマーでは、医療者の間でもマンモグラフィの有用性が理解されず、乳がん検診にほとんど使用されていませんでした。そのため日本の医療機関、医療機器メーカー、経済産業省など多くの方の協力を得て、マンモグラフィの有用性を広めるセミナーの開催にはじまり、マンモグラフィの設置、そして撮影を行う放射線技師や読影を行う放射線科医のトレーニングを実施、さらにトライアル検診を重ね、2013年12月、ヤンゴンの公立婦人科病院にて乳がん検診をスタートしました。
 ヤンゴンでの成果が現地でも認められると、2015年2月には、多くの皆様の協力を得て、同国マンダレーでもマンモグラフィ・エコーの設置、医師・技師のトレーニングを行い、乳がん検診をスタートさせることができました。現在では、担当医師・技師は、検診以外の多くの業務も行いながら、ヤンゴンは月に100件以上、マンダレーでは60件の検診を実施しています。

ミャンマー乳がん検診、次の課題は育成
 ヤンゴン、マンダレーで検診をスタートする中で挙がってきた課題の一つは、医師や技師の育成があります。これまでは、各施設につき医師2名、技師1名の計3名を検診スタートの度に日本に招聘し研修を行ってきました。しかし、これから他の施設でも検診を普及していくことを考えると、毎回日本に招聘することは、現地側の送り出し医療機関、日本側の受け入れ医療機関の状況を考えると難しく、コストもかかり現実的ではないのです。そこで、現地医療者による現地医療者への教育の確立が必要であると考えました。

現地医療者と講習会を開催
 こうした考えのもと、昨年度は岡山大学病院の先生方にご協力いただき、現地研修のトライアルを実施していただきました。これまでも、先生方には現地で講演や指導など行ってきてくださいましたが、今回は、よりハンズオン型・かつ現地医療者を指導者として巻き込んだ形での講習を企画しました。
実施概要は以下の通りです。
期間:2016年2月16日(火)・17日(水)
対象者:医師9名、技師約20名
場所:Central Women Hospital, Yangon 
内容:1日目 セミナー
   2日目 ワークショップ&修了式

読影教材で勉強中のミャンマー人医師たち。(C)MEDIVA
マンモグラフィを用いた撮影練習の様子。(C)MEDIVA

 1日目は、日本医師団から、日本における検診~治療の流れ、読影のアルゴリズム、撮影技術などについて発表があったほか、富士フイルム社による精度管理の製品説明が行われました。さらに、日本で研修を受けたミャンマー人医師・技師にも講義を行ってもらい、「現地医療者が現地医療者を教育する」という意識づけを目指しました。1日目の最後には、服部裕昭先生が開発されたiPadを用いた読影教材「mhFiles(R)」で、参加者の読影能力チェックを行いました。
 2日目は、医師と技師の2つのグループに分かれて、ハンズオン形式のワークショップを行いました。医師の研修には、日本人医師から各項目について説明を行ったあと、日本で研修を受けた医師から研修生にさらに説明を行い、前述の教材で読影練習を重ねるという形で進めました。その日の最後に行った最終試験では、全員がB判定以上となりました。
 技師の研修では、日本人技師から撮影方法やポイント、注意点などの講義を受けた後、ファントムを用いて実際にマンモグラフィで撮影練習を行いました。予定よりも参加人数が多くなってしまったのですが、皆少しでも良い角度から見よう、先生の説明を残らず聞こうと、身を乗り出して他の人の撮影練習も観察していました。最後に研修生が研修前にとっていたフイルムを見ながらディスカッションを行うなど、自分たちで評価をするためのトレーニングを行いました。

研修のふりかえり
 今回のトレーニングは、2日間という非常に短期間の研修でしたが、日本で研修を行おうとすると、受け入れ機関は臨床を行いながら研修をしなければならなくなるため、研修のためにまとまった時間をとることが難しいという現状があります。もちろん、可能であれば、時間をかけて教育を行えるに越したことはありません。しかし短期間でも集中して行えば効果は挙げられるということを確認できた研修になったと思います。今後、こういった講習が現地の団体・医療者で企画され、そして運営されていくように、サポートを行っていければと考えております。
 他の取り組みにもご興味をもっていただけましたら、メディヴァ海外事業部のページをご覧ください。

<関連記事>
2014年3月 メディヴァの「ミャンマー乳がん健診」プロジェクトについて
2013年9月 ミャンマーにおける「日本式乳がん診療パッケージ」実証プロジェクトプレスリリース※確認
2013年8月 激変するミャンマー
2012年10月 ミャンマー報告
2012年8月 ミャンマーってどんな国?
2012年7月 日本の医療技術/サービスの海外展開について
2012年7月 ミャンマーでの医療展開調査事業をはじめます

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