2019/07/05/金

大石佳能子の「ヘルスケアの明日を語る」

メディヴァの「自立支援介護」への取り組み(3)居宅介護vs施設介護

2025年に向けて各基礎自治体で地域包括ケア・システムの整備が進められています。地域包括ケア・システムは高齢者が「住み慣れた地域で、自分らしく過ごすこと」を支えるための各種の仕組みの集合体です。
その中で、第1回でご紹介したデイサービス、第2回でご紹介した看多機などは、「居宅」で過ごす方をサポートするサービスです。しかし、すべての人が終生「居宅」で過ごせるわけでありません。
これからは独居高齢者や老々介護、認々介護など、家族介護力を欠く高齢者が多く発生します。そういう方々の行先は、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホーム等の「施設」です。
居宅介護vs施設介護

地域包括ケア・システムは、「施設」介護を選んだ場合も「住み慣れた地域内」で移住でき、施設がコミュニティをオープンに交流することを目指しています。
理想形は、「戸建て」に住むか「マンション」に住むか、という選択の気軽さで、「居宅」で過ごすか「施設」で過ごすか、を選択できることでしょう。しかしながら、実際はそうはいきません。住み慣れた地域内に適当な「施設」がないこともありますが、現実の「施設」では、ほとんどの場合、「居宅」に比べると「自分らしい」暮らしを過ごすことは難しいようです。
典型的な「施設」は4~5階建ての大きな建物で、50名を越える高齢者が集合して暮らしています。各階には個室と共同スペースがあり、10名前後の高齢者により構成される「ユニット」別にケアが提供されます。効率的にケアが提供されるよう設計され、病院のナースステーションと病室に似た雰囲気のも多くあります。リハビリルームや、屋上庭園やアクティビティが有っても、日中訪れると多くの高齢者は共同スペースに集まって、無言でテレビを鑑賞しています。

もちろん、工夫し、活き活きした空気が漂う施設もあります。今まで見学した施設で、「ここは入りたい!」と思うところもありました。でも、残念ながらそう多くはないようです。(それに加えて、入居費が高かったです、、。)
介護保険が効率性を求めているからでもあるのですが、自分のやりたいことを、やりたい時間に、気の合う人と、やりたいようにする、という「居宅」の自由度は「施設」では得にくいようです。「施設」の安心感や安全性を取るか、「居宅」の自由を取るかは難しい選択になります。
どういう「施設」ならば「自分らしく」過ごせるか?
その参考に海外に目を向けてみたところ、それぞれ、高齢者が「自分らしく」過ごせるよう、工夫を凝らしています。次回のブログでは、その中でも「これは参考になる!」と感じた、オランダのDe Hogeweykという高齢者施設についてご説明します。
アメリカのシニア向け施設に関しては、過去のブログがあります。是非ご覧ください。
(1)高級老人住宅のSequoias
(2)恵まれない層向けのデイサービスON LOK
(3)シニアタウンのRossmoor
(4)米国の高齢者住宅事情(4)類型の振り返りと総括【最終回】