2020/01/17/金

大石佳能子の「ヘルスケアの明日を語る」

新年を迎えて

2020年、令和の最初のお正月をどうお過ごしになりましたか。
今年もどうか宜しくお願いします。

今年はオリンピックがありますね。
2020年はメディヴァにとっても20年目の節目の年になります。
正式な会社のお誕生日は6月ですが、創業のきっかけともなった用賀アーバンクリニックを開設日した12月4日に併せてお祝いをしたいと思っています。
20年間の間にメディヴァは、小松さんと私の2人の組織から、約100倍に育ちました。割といい感じの青年(?)に育ったのではないかと思っています。
コンサルティングとオペレーションの会社としては、医療・介護業界ではそれなりのポジションを築けました。

ただ、世の中の状況をかんがみると、「壊れたものを治す」コンサルだけではできることに限度があり、「新しいものを創る」ことにもっと比重をかける必要があると感じています。
昨年末に私は規制改革推進会議の委員に任命され、医療介護ワーキンググループの座長をしています。医療介護関連の問題は、いわゆる法律や規則による規制だけではなく、規制に準じる診療・介護報酬、各自治体のローカルルール、保健所や厚生局による指導、古くからの慣習、周りへの忖度等、他の業界より多岐に亘ります。
これらが組み合わさって、身動きが取りにくくなっているのが現状ですが、一つ一つを深掘りしてみると、他国のように強力な権力者が私欲のために動いている訳ではなく、どちらかというと真面目な人達が精いっぱい真面目にやろうとしていることが分かってきます。
ただ、その真面目な人たちは視野が狭く、既存の枠組みのなかでしか考えていません。本当はどうあるべきか?そのために、どうするべきか?が考えられていないのです。

お正月休暇の間に、時間があったので映画やドラマを観ました。今回印象に残ったのは、BBCの番組で「Call the Midwife」(「助産師を呼んで!」)と、同じくイギリスの映画で「I, Daniel Blake」(「わたしは、ダニエル・ブレイク」)です。
前者は1950年代後半、ロンドンの貧民街での若い助産師の活躍を描いたもの。
後者は近年が舞台で、心臓病を患った初老の男性が、制度の狭間に落ちていきます。
「Call the Midwife」はちょうどイギリスの保険制度(NHS)が始まったころで、今まで医療を受けられなかった人たちが恩恵にあずかり、命が助かっていくのを描いています。「I, Daniel Blake」はそのシステムが制度疲労を起こし、とうとう人を殺すまでを描いています。
状況は異なりますが、日本でも起こっていることは、イギリスでも起こっているのです。
では、これをどう変えていくのか?
西洋の国と違い(必ずしもイギリスが上手く行っているわけではありません)、日本は政策を議論し、ロジックを展開し、そこから変わっていくことトップダウン・アプローチは難しいように感じます。
日本は、ボトムアップで現場からの発想を重んじます。まずは実例を作って、それを広めていくほうがまだ可能性があるのではないでしょうか。
メディヴァにはその力があるので、実例を作り、広げていく役割に力を傾けたいと思います。
そのためには、メディヴァの事業構造や組織能力をさらにパワーアップする必要があります。
昨年、ハーバードの同窓誌等に取り上げられたとき、「メディヴァはティール組織に近いね」と言われました。「ティール組織」論は色によって組織の特色を表しました。
「Red(赤)」 個人の力で支配的にマネジメントする
「Amber(琥珀色)」 ヒエラルキーの中で、それぞれが厳格に役割を全うする
「Orange(オレンジ)」 ヒエラルキーが存在するが、成果を出せば昇進可能
「Green (緑)」 主体性が発揮しやすく、多様性が認められる
「Teal(青緑)」 個々人が完全に自立していて、組織が一つの生命体のように
発展する
メディヴァは「Green(緑)組織」までは、ほぼ達成できていると思うので、それをさらに発展させ、さらに自立性を高めた「ティール組織」を目指したいと思っています。
次の10年、20年を視野に、メディヴァのMEDical Innovation and Value-added
(MEDIVA)理念を追求したいと思います。次の20年もどうか宜しくお願いします。