2023/11/24/金

大石佳能子の「ヘルスケアの明日を語る」

内閣府「規制改革推進会議」①

令和5年の規制改革推進会議が始まりました。規制改革推進会議には、医療介護だけでなく、地域産業活性化等複数のテーマ別のワーキンググループ(WG)があります。私はこれで5年目になるのですが、初めの2年間は医療・介護WGの座長として、その後は専門委員として参加しています。

WGを束ねる所謂「親会議」には総理も出席するのですが、こちらはかなり形式的な会議でシナリオも時間割もばっちり決まっています。WGには担当大臣は河野太郎氏です。WGの方は自由な発言が許されるので、委員もいろんなことを言いますし、河野大臣も時折吠えてなかなか楽しいです。今年からYouTubeでライブ配信されるようになったので、ご興味のある方はご覧ください。
 

さて、今年は諸事情により会議のスタートが遅れた関係で年内に片づけなくてはいけない議題が目白押しで、なかなか大変なスケジュールに。年内は11月16日、11月21日、12月11日とそれぞれ3~4時間開催されます。しかも、予定された時間内に収まらず延長することも多々あり、終わった後、座長も委員も規制改革推進室の事務方も、そして多分答弁している厚労省の担当者もぐったりです。

各回、大体3~4議題が討議されます。直近の第2回目会議(11月21日)は3時間で、「オンライン診療をデイサービスや公民館で受けることの可否」、「オンライン診療の診療報酬」、「介護人員配置を3対1より上げてもいいか」の3議題が掛かりました。
規制改革側はアカデミア、臨床家、患者、事業者等を呼んで「この規制を変える必要がある。何故ならば、、」ということを述べます。総時間が決まっていて、議題、演者が多いので、持ち時間は5分程度です。これを気にせず延々と喋る方もいて、座長が巻きを入れます。

厚労省側は医政局や老健局等の担当の部署が出てきて説明します。多くは「何故、この規制がこういう風に定められているのか」という理由や歴史の説明が中心で。大臣や委員からは「そんなことを聞いているのではない」と厳しい声が飛びます。たまに前向きの変更案が出てきますが、その案にも後述しますが落とし穴があるので、気を付けなくてはいけません。
日本の医療介護行政は、法律以外に通達、診療・介護報酬、各自治体のローカルルールが定められていて非常に複雑です。そもそも経緯を知らない人には「何故これが問題になっているのか分からない」ということも。しかも何か大きく変えたければ法律を変える必要もあるので、改革は容易ではありません。

例えば 先般掛かった「オンライン診療をデイサービスや公民館で受けることの可否」という議題です。新型コロナ禍においてオンライン診療は初診を含めて「解禁」になったと報道されています。正しくは、これは新型コロナ禍における「オンライン診療とは異なる臨時措置」であり、新型コロナが収まった後は臨時措置も終了したと位置づけられています。

一方でオンライン診療を完全に元に戻すかというと、それは国民が納得しないだろう、と規制改革推進会議も戦い、新型コロナ前よりはたいぶ制限条項が外されました。この結果、「初診は条件付きではあるがOK」、「個人宅に加えて、職場での受診もOK」となりました。
現在オンライン診療について残っている課題が「公民館、デイサービス等でのオンライン診療受診の可否」と「診療報酬」です。

何故職場では受診可能であるにもかかわらず、公民館やデイサービスでは不可なのか?普通は理解に苦しみますよね?公民館やデイサービスで受診することが可能になれば、デジタルに強くない高齢者でも、看護師や介護士の支援を受けながらオンライン診療を受診することが可能となります。家族の付き添いが無ければ来院できない高齢者が多い中、ご本人も家族も格段に楽になります。
なのに、何故ダメなのか?これについて、次回書かせてください。