正義の味方は正義なのか?

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何年も前にネットで見かけてとても興味を惹かれた表があります。

正義の味方と悪の組織を比較した表ですが、比較すると、悪の組織のほうがより良く見えてくる仕掛けになっており、正義の味方を揶揄する意図を感じました。

例えば、
【正義の味方】自分自身の具体的な目標がない
【悪の組織】大きな夢、野望を抱いている

【正義の味方】相手の夢を阻止するのが生き甲斐
【悪の組織】目標達成のために研究開発を怠らない

【正義の味方】いつも怒っている
【悪の組織】よく笑う
といった感じです。

確かに子供のころ見たテレビでは正義の味方は事件があると現場に駆けつけ、企みを阻止するとまた喫茶店のマスターと喋ったりカレーを食べたりしていました。それに対して悪の組織は阻止されても「覚えていろよ」と諦めず、また次の手を考えてなんとか目標を達成しようとしていました。

思わずクスッと笑ってしまい、これを思いついた人はすごいと感心しました。しかし、考えているうちに、これは非常に深い何かに繋がっている話だと思いました。

悪の組織の悪い企みは、人の欲、利己的な目的意識に根ざしており、悲しいかな人間にとって、こういうことの方がより強いモチベーションを与えることが多いと感じます。悪知恵の方が働くと感じることが多いし、悪だくみの方が長続きするように感じます。

それに対して、正義は、差し迫った悪事や不公平を即時に糾弾、阻止するときに強い力を発揮するように思います。端的に言えば怒りのパワーでしょう。

利己的な企み v.s. 怒りのパワー、という戦いの構図が見て取れます。

さらに考えると、どんなものでも、作り上げるプロセスは長く大変で、手応えや成果がその場で得られる場合は稀です。悪いとされる企みが、純粋に邪悪な目的意識に根ざしているのか?といえば、実は根から全て邪悪なものばかりではなく、長く大変なプロセスに耐えられず、「うそ」や「騙し」といったチートを使ってしまうところに問題があることも多いように思います。

チート v.s. 怒りのパワ、という構図も見て取れます。

これは悪でも正義でもない普通の企業でも、じっくり取り組むよりも目先の利益を優先するという形の中であり得ることで、現実の世の中はじわじわとそうなっている気もします。

世の中にそんな場面が多く、利己的な企みやチートに普段から憤りを感じたり、不利益を被っている人が、正義の鉄槌に溜飲を下げるという需要が多いので、テレビでも繰り返しそういう番組が制作されるのでしょう。

人は不公平やズルさには本能的に鋭い感覚を持っているようで、ある心理学の実験で、対象者に目の前で行われていることを見て瞬時に判別してもらうときに、「もし〇〇の数値がこうなったら指摘してください」と無味乾燥で複雑な説明の仕方をした時と、「もし目の前の人が〇〇をする時に、こういう風にズルをしたら指摘してください」という説明をしたときでは、目の前でまったく同じことをしていても、正答率がかなり違うという話を聞いたことがあります。

でも、考えてみれば、これらの構図の中には「良い企て」が見えません。世の中には悪い企みとそれを糾す正義という構図しか存在しないのでしょうか?もちろん、そんなことはないと思います。悪を糾弾するだけで、世界に良い企てが全くなければ、世の中はいま見ているよりずっと悲惨であり、現在のような文明も発達しなかっただろうと思います。

問題は、正義を目指したチートのない企ての方が、欲に根ざしたチートのある企てに勝るのは大変だったり、正義や善に対して、利己的な欲よりも強いモチベーションを持てるか?持ち続けられるか?
というところだろうと思います。

面接で色々な方とお話しすると、非営利的事業や公的セクターにおられる方で、利益を目指さないとなかなかパワーが出ない、統制が取れない、事業を持続させるのも難しい、と悩まれる一方で、利益を優先させると、顧客や世の中への貢献が疎かになる、誰かを踏みつけることになってしまう、自分のやっていることに誇りを持てない、といった話もよく聞きます。

多くの人は良い企みを成功させられる正義の味方になることを目指しているように感じています。そして、人は最終的には目先の欲よりも、正義や良い行いに対してのモチベーションの方が強いと私は信じています。

しかし、そのためには、かなりの高い実力が必要となります。

件の表には他にも
正義の味方】
・受身の姿勢
・常に何かが起こってから行動
・単独~少人数で行動
とありますが、これでは良い企みを成功させるのは難しいでしょう。

TVで見るようなステレオタイプの正義の味方になって満足することなく、主体性を持って企画・計画し、同じ志の仲間と助け合って良い企てをする人が増え、長い道を経てそれを成功させる実力を持つ人が多くなるほど、世の中は良くなっていくのだろうと思います。メディヴァも自分自身も、そういうものを目指していきたいと思っています。(岩崎克治)

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