お知らせ

2017/09/25/月

製品開発

スマホアプリ「診療圏調査」の機能や使い方について

「診療圏調査」とは

「診療圏調査」とは、その場所で開業した際に一日あたりどれくらいの外来患者数が見込めるのか(推定外来患者数)把握するための調査を指します。推定外来患者数は、周辺人口と受療率を掛け合わせることで算出します。周辺の範囲は、一般的には住民が通常利用する医療機関までの距離や時間、交通の便などに基づいて定義されることが多いです。

詳しくは「診療圏調査とは? 定性調査と定量調査」にて解説しておりますので、ぜひご覧ください。

当社ではクリニックの新規・承継開業を検討する、医師や関係者向けに診療圏調査が可能なアプリを開発しました。日本全国の外来患者の簡易市場調査を、住所の入力のみで気軽に実施できます。検索地域の周辺競合医療機関も見ることができます。クリニック開業向け物件・承継情報も確認できます。

アプリの機能

  1. 国内の任意の場所を指定すると、開業を検討している診療科での1日あたり推定外来患者数がすぐに調査できます。(他の診療科の結果も併せて表示されます。)
  2. 居住人口(夜間人口)、昼間人口を基に算出した、それぞれの推定患者数が得られるため、市街地にも郊外にも対応しています。
  3. 候補地近くのクリニック開業向け物件情報・事業承継候補施設もアプリ内のリンクを経由して調べられます。
  4. 個別相談フォームから弊社に各種問合せを送信できます。
  5. 調査した結果は、履歴として保存され、いつでも見られます。

利用するメリットとして、これまで業者等に別途依頼する必要があった診療圏調査をご自身のスマートフォンで手軽に行え、候補地を実際に移動、見ながら気軽に調査して開業立地を検討できます。また、検索地域のクリニック開業向け物件・承継情報も併せて確認できます。

利用方法

  1. 調査したい地点を選択します。検索画面で、調査したい住所・施設名を入力すると、移動できます。
  2. 調査したい診療科を選択します。
  3. 調査したい診療圏を3パターンから選択します。目安として、都心部は0.5km/1km/2km、地方都市は1km/3km/5km、郊外(人口が少ない地域)は3km/5km/10kmを選択します。
  4. 「この位置で調査する」のボタンをタップしますと、調査結果が出力されます。
  5. 「競合医療機関を表示」のボタンをタップしますと、周辺の競合医療機関の名称が表示されます。
診療圏調査アプリ画面1
診療圏調査アプリ画面2
診療圏調査アプリ画面1
診療圏調査アプリ画面2
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診療圏調査のコツ

夜間人口と昼間人口

診療圏調査においては、調査したいエリアが市街地か郊外かによって見るべき推定患者数が変わります。

市街地では、昼間に働きに来る人々によって人口が大きく増加します。それに伴い、職場や学校での怪我や病気、定期健診など、昼間に医療サービスを必要とする人も増えます。そのため、市街地では昼間活動している人口(昼間人口)をベースに算出した推定患者数を見る必要があります。

反対に郊外の場合、そのエリアに住んでいる地域住民がターゲットとなるため、そのエリアに住んでいる人口(夜間人口)をベースに算出した推定患者数を見るといいでしょう。

地域の世帯属性

世帯特性を見ておくことも、診療圏調査においては非常に重要です。世帯特性には、年齢構成、家族構成、経済状況などが含まれ、これらは地域の医療ニーズに大きく影響を与えます。

例えば高齢者が多い地域では、慢性疾患の管理や在宅医療、認知症などの専門的な治療に対するニーズが増加します。ファミリー層が多い地域では小児科のニーズが増加します。

診療圏調査アプリでは年少人口(15歳未満)、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)、老年人口(65歳以上)、後期高齢者人口(75歳以上)が算出されますので、ぜひご活用ください。その他にも市区町村などが発表する統計情報も参考にするといいでしょう。

競合

診療圏調査アプリでは、診療圏内の患者数を施設数で按分し、1施設あたりの推定患者数を算出しています。しかし、実際は競合の集患力は一定ではありません。また、診療圏調査アプリでは診療科で機械的に競合としております。そのため、競合の情報をご自身の目で見ることも、診療圏調査においては非常に重要になってきます。

クリニックにとって最も果的な競合戦略は、「強い競合に近づかず、自分が強い競合になること」です。クリニックは、意外と狭いエリアを診療圏として成り立っています。その狭いエリアで一番になれば、経営の安定度が高まります。

強い競合になるためには、競合が提供している医療サービスと自院が提供している医療サービスを比較し、どのような点で差別化できるかを考えます。特定の診療科や治療法、患者サービス等で独自性を持てるかどうかが鍵となります。同時にその地域で求められている医療サービスが何か、市場のニーズを把握することも大切です。

採算ライン

クリニックの一日あたりの外来患者数の採算ラインは、多くの要因によって異なります。

例えば一般的な内科のクリニックでは、一日平均40人の患者が診察されると採算が取れるとされております。院外薬局で単価5,200円程度の患者が40人来院し、かつ単価4,500円程度の健診を一日あたり0.5人受け入れている医療機関の売上は、月額525万円になります。この規模のクリニックの平均的なスタッフ数は、看護師1名、事務2名程度と考えられ、都心ならば坪15,000円で40坪の家賃(地方ならば坪10,000円程度弱だが、もっと広くなる)をみておく必要があります。この場合、院長の所得である「利益」が、月190万円程度となります。これは年収にして2,300万円程度に相当し、ここから税金を引いた上で借入金返済などを加味しても、リスクを取って開業した院長にとっても安心できる年収を確保できると言えます。

このようにクリニックの収支構造を把握したうえで、採算ラインを的確に捉えることが大事です。

アプリの注意事項

  • 出力される患者数、競合医療機関名は、厚生労働省をはじめとしたオープンデータや医療施設DB(ミーカンパニー株式会社 / SCUELデータベース)等を活用し、弊社独自のノウハウで算出しています。
  • 本アプリ使用の際には、端末の位置情報をサービスをONにする必要があります。
  • 本アプリは、あくまで選択された立地周辺の人口動態・医療機関数等から患者数を機械的に算出しているもので、実際の新規開業時における患者数を保証するものではありません。
  • 患者数密度は、調査する地点によって、多少のずれが生じることがあります。
  • 個別相談フォームからのお問い合わせは、5営業日以内にご返信いたします。
  • 使用する端末によっては、地図上で現在地(青丸)が正しく表示されないことがあります。ご了承願います。
  • 本アプリの著作権は、弊社に帰属します。弊社に無断で本アプリの画面の全部または一部を複製して利用することを固く禁じます。
  • 本アプリのご利用規約をご確認願います。
  • 調査結果は、調査を実施した端末内のみでの保存であり、現時点では機種変更時には引き継がれません。


スマホアプリ「診療圏調査」監修者

小松 大介
神奈川県出身。東京大学教養学部卒業/総合文化研究科広域科学専攻修了。 人工知能やカオスの分野を手がける。マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントとしてデータベース・マーケティングとビジネス・プロセス・リデザインを専門とした後、(株)メディヴァを創業。取締役就任。 コンサルティング事業部長。200箇所以上のクリニック新規開業・経営支援、300箇以上の病院コンサルティング、50箇所以上の介護施設のコンサルティング経験を生かし、コンサルティング部門のリーダーをつとめる。近年は、病院の経営再生をテーマに、医療機関(大規模病院から中小規模病院、急性期・回復期・療養・精神各種)の再生実務にも取り組んでいる。
主な著書に、「診療所経営の教科書」「病院経営の教科書」「医業承継の教科書」(医事新報社)、「医業経営を“最適化“させる38メソッド」(医学通信社)他