診療圏調査とは? 定性調査と定量調査

初出:2013年3月1日 更新:2020年5月30日
コンサルタント 山本桂子
ドクターがクリニックの開業物件を決定する際、一番気になるのは「その場所でどれくらいの患者数が見込めるのか?」ということでしょう。そのために行うのが診療圏調査です。
診療圏調査には、2種類の調査があります。競合や周辺の状況について実際に現地に足を運んで詳しく見ていく定性調査と、様々なデータから機械的に数字を出す定量調査です。定量調査の結果は、調剤薬局さんなどでもいろいろ出されていますが、算出方法によってかなり数字が変わってくるようです。今日はメディヴァが行っている定量調査について、どのような方法で数字を出しているのかをお伝えします。
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診療圏調査(定量調査)の算出方法
見込み患者数
患者数を見込む上で、最も基本的なデータは、厚生労働省が3年に1回実施している「患者調査」に基づく『受療率』という指標です。「患者調査」とは、全国の都道府県別、病院・診療所別に入院と外来のそれぞれについて、疾病小分類ごとの患者数をアンケートで収集したデータになります。ただし、調査は10月のある1日における患者数に限定されていますし、また疾病分類は厚生労働省の統計に対して、ドクターがアンケートで答えるという形式になるため、本来的な患者数そのものを表せているわけではありません。しかしながら、このデータ以上に網羅的に患者数を推定できるデータはないため、まずはこの情報をもとに受療率を算出し、それに物件の周辺人口を掛け合わせて、見込み患者数を計算します。
つまり「患者数 = 物件周辺人口×受療率」となります。
患者調査の受療率は疾病小分類ごとになっているため、たとえば消化器内科を標榜した場合に、実際にどれくらいの患者が来るのかについては、そのままではわかりません。なぜなら受療率の疾病小分類をよく見ると、消化器内科や整形外科といった診療科目と必ずしも一致しないためです。そのため、患者調査の結果を、各診療科目の受療率というわかりやすい数字に置き換えるための検討作業が求められます。その算出過程こそが、今まで培ってきた知識と経験を駆使した企業秘密(?)であり、それぞれで結果が違ってくる要因となります。

周辺人口の考え方
周辺人口は、国勢調査をもとに算出します。できるだけ詳しい、且つ最新のデータを使いたいのですが、如何せん国勢調査は5年に一度で、且つその結果が公表されるまでにまたかなりの時間がかかるのが悩みどころです。急激に人口が増加している地域などでは、国勢調査に人口動態統計を加味するなど、実際の人口に近くなるよう修正を加えることもあります。
『周辺』をどこまでと考えるかということも、大切な検討要因です。物件の場所によって、患者さんが来ることが見込まれるエリアは異なってきますが、一般的には都心で半径500m-1km、郊外で2km-5kmというところでしょうか。地域によっては半径10kmくらいは車で十分に通院範囲となる場合もあります。それらを的確に判断し、周辺人口を算出します。これらによって、まずは最も基本的な、物件周辺における患者数の見込みがわかります。

標榜科目ごとの競合と収入予測
しかしそれはあくまで地域全体での見込みとなりますので、地域における医療事情(競合となる医療機関)によって、そのうちのどれだけのシェアが取れるのかが変わっています。そのため、次に行うのが対象物件周辺の競合医療機関数の把握です。皮膚科や整形外科でも内科も標榜しているクリニックは数多くあります。それぞれのクリニックの標榜科目を詳しく調べて競合を知ることが必要です。
そして最終的には、物件周辺地域での見込患者数を、競合医療機関数+1(自院)で割った数が、その場所にクリニックを開設した場合の、推定患者数となるわけです。
以上のように、診療圏調査の定量調査では、「患者数= 物件周辺人口× 受療率÷(競合医療機関数+1)」で算出しています。これに、各科目の平均単価を掛け合わせると、収入予測も可能になります。

定性調査も欠かせない
ただし、定量調査だけでは十分でないことはもちろんです。
河川や大きな幹線道路、鉄道などがあると人の流れは変わり、通院可能なエリアの形も変わってきます。また、地域で評判のいい「強い競合」となる医療機関、あるいは、すでにほとんど診療を閉じているような医療機関もあります。これを明確に把握するためには、物件周辺を歩いたり、地元の住民の方の話を聞く必要があり、これが定性調査となります。
メディヴァでは、通常、クリニック開業をお手伝いする際に、まずは先生が気になっているエリアを片っ端から定量調査し、その中で見込みがありそうな場所をいくつかに絞り、詳しい定性調査を行い、最終的に開業場所を決定するという方法を取るようにしています。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。

執筆:山本桂子 Keiko YAMAMOTO
大阪府出身。大阪大学法学部卒業後、生保会社、シンクタンクにて業界調査及びコンサルティングの仕事に従事。出産を機に子育てと地域ボランティア活動に注力。夫の転勤で4年半インドネシア・ジャカルタで暮らす。帰国後、子育て情報誌の編集を経てメディヴァに。病院や健診センターの業務改善からクリニックの開業・移転支援、広報活動まで幅広く携わっている。

▼2020年5月追加▼
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