2018/12/21/金

医療・ヘルスケア事業の現場から

医療の質・安全 学会報告

取締役コンサルティング事業部長 小松大介

 少し前になりますが、11月24日(土)、25日(日)に名古屋国際会議場で開催された医療の質・安全学会学術集会にパネリストとして参加してきました。私が参加したパネルディスカッションは、次のような構成となっていました。

 医療安全の改善に明確に有効なフレームワークとは何か?
                ~マッキンゼー式手法から考える~
座長: 田岡 大樹 (鈴鹿中央総合病院外科)
基調講演
演者:
「『ゼロ秒思考』のA4メモ書きと2x2フレームワークによる医療
           事故の原因   探求、課題整理、解決策立案」
  赤羽雄二 (ブレークスルーパートナーズ株式会社)

「医療安全管理を活性化させる問題解決手法と組織マネジメントとは
        ~マッキンゼー流病院経営コンサルタントの視点から~」
  遠山峰輝 (株式会社メディカルクリエイト)

「健全経営に向けた、医療安全の積極的な活用」
  小松大介 (株式会社メディヴァ)

公開討論
赤羽雄二 (ブレークスルーパートナーズ株式会社)
遠山峰輝 (株式会社メディカルクリエイト)
小松大介 (株式会社メディヴァ)
 堤達朗 (エムスリー株式会社)
大嶋祥誉 (センジュヒューマンデザインワークス)
  
K-12(パネルディスカッション)
 公開討論のメンバーは、いずれも私の前職であるマッキンゼーのOB・OGでして、私から見ると先輩後輩にあたる皆様でして、なかなか始まる前は、どんな議論になるのか若干の緊張していたのが正直なところです。
 ただし実際にパネルディスカッションが始まると、かつての職場仲間ないしは同じ考え方・文化を経験してきたメンバーだけに、自由でかつ興味深い議論が展開されていきました。例えば、パネルディスカッションで話題になったテーマとしては、、、
・医療安全については、医療界は真摯に取り組んできていて、間違いなく一定の成果は上げている。しかし、今までのやり方に限界もある
・医療界はフレームワークに頼りすぎている。簡単な分析で十分。医療安全といえど、普遍的な分析アプローチでできることがたくさんある。 
・仮説思考が大事。結果だけを見るのではなく、原因について仮説を立て、それに基づいて分析や対策をすることが大事というようなところでした。

 また基調講演の資料準備やパネルディスカッションを通して、私自身が感じたのは、
・重大事故分析は大事だが、実はデータが豊富なのはインシデントやヒヤリハット。この部分の分析がまだまだ不足している。
・特に、起きてしまった事故の分析ではなく、同じ経過を辿りながら起きなかった事故を持ち出して比較検討をしたり、セグメントに分けた事故発生率の分析をする視点が不足している。
・また頻度と発生率の違いに着目すべき、転棟転落事故の頻度多い結果、学会でもテーマの中心となっているが、重大事故(死亡等)に繋がる発生率は転倒転落よりも手術や輸血などの方が高い。頻度と発生率の両面を見た分析設計が必要。
という点です。
 今後、こうした視点を経営支援においても活かしていけたらと思っています。