現場レポート

2018/06/27/水

大石佳能子の「ヘルスケアの明日を語る」

JCIセミナーを開催しました

 急に暑い日々が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
 私は今週、株主総会週間で、大阪に来ています。参天製薬と江崎グリコの株主総会です。昨年は株主様からの質問が当たりました。今年はどうでしょう。当たるかもしれないと思うとドキドキしますが、当たらないとちょっと寂しいです。

 さて6月7日に亀田総合病院のジョン・ウオーカー氏を招いて、JCIの講演を開催しました。JCIはアメリカ発の国際的な医療安 全の評価機構です。アメリカの殆ど病院は認証を取っていて、JCIの認証があると「安全な病院」として海外からの患者も安心して受診できます。このため、日本ではJCI=メディカル・ツーリズムのために必要という認識があります。実際のところ、JCIの認証を日本で初めて取った亀田総合病院には中国や東南アジアから多くの患者さんが訪れています。

 ただ、私たちがJCIに注目したのはメディカル・ツーリズムのためではありません。日本の病院の場合は、語学や文化の問題を初め、海外の患者を受け入れるには多くのハードルがあり、また、そもそも既に日々忙しく、海外からの患者誘致にそれほど熱心ではありません。JCIの認証を取るには、多大な労力と認証費用が掛かります。メディカル・ツーリズムのためだけであれば、割があいません。

 一方、JCIのチェック項目は、医療安全を確保する非常に有効はツールです。
患者の取り違え、薬剤・注射剤の間違い、症状の見逃し等、医療が高度化し、専門化する一方で、リスクは益々増えています。また医療の安全確保に対する世間の目は益々厳しくなっています。

 医療安全のチェックは日本医療機能評価機構の認証項目にもあります。
ただ、JCIは訴訟大国アメリカでスタートしたからか、聞き方や調査方法が徹底しているので、口先だけで誤魔化すことはできません。「実施している」と言った項目が、本当に行われているのか、実際のカルテの記載までチェックするのです。「記載がないということは、実施していないことと同じ」とウオーカー氏は言います。確かに、訴訟とかになれば「記載がない」こと自体が重大なミスになるでしょう。このようにして、「その場しのぎ」を防ぐのです。

 今までは地域中核と呼ばれる大病院は比較的安定して経営できていました。
しかし、医療を取り巻く環境が大きく変わり、地域中核病院に求められる役割も変わっています。今回の講演の前半では弊社取締役の小松大介より、地域中核病院の「戦略」について話しました。後半は、その「戦略」を実現するために重要となる「効率的なオペレーション」、「働き方」、「医療安全」の一項目としてJCIについてウオーカー氏よりお話を頂いたという流れです。
また資料等は共有できますので、ご興味がある方は弊社までご連絡下さい。