2022/06/07/火

医療・ヘルスケア事業の現場から

病院・クリニックのSEO対策について(2)

コンサルタント 田中 傑

この記事では、webマーケティング、その中でも特に重要と考えられるSEO対策に絞り、どのように行っていけばよいのかについて、以下のような項目で3回に分けて述べたいと思います。

1.SEO対策の重要性        病院・クリニックのSEO対策について(1)
2.SEO対策に関する基本事項
3.具体的なSEO対策の内容     病院・クリニックのSEO対策について(2)
4.MEO対策について        病院・クリニックのSEO対策について(3)
5.終わりに

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3.具体的なSEO対策の内容

 それでは、具体的なSEO対策の内容について、述べたいと思います。

SEO対策は大きく、次の図のように3つに分類されます。

(図3:SEO対策の分類と具体的な対策内容)

SEO対策の分類と具体的な対策内容

① 内部対策

 内部対策は、ホームページの内部構造に関する対策です。細かい対応や地道な対応が必要なものばかりですので、場合によってはホームページの制作業者さんと協力しつつ、一つずつ対応を行っていくことが必要です。

 今回は、特に数点に絞って、解説させていただきます。

タグの設定

 タグの設定については、大きくは、titleタグやmeta descriptionの設定と、altタグの設定の2点が考えられます。

 titleタグやmeta descriptionは、検索画面上に表示される内容を定めるためのタグです。クローラーや検索した方にホームページの内容を伝えるための対策ですので、自院の特徴を表すキーワードを盛り込み、適切なアピールを行いましょう。

また、altタグは、ページの中に存在する画像の内容をクローラーに伝えるためのものです。このタグに画像のキャプションを記載することで、クローラーがページの内容を理解しやすくなり、評価の向上が期待されます。

サイト構造の明記

 サイト構造の明記とは、XMLサイトマップの作成や、パンくずリストの設置により、クローラーやページの訪問者にページ構成を伝えやすくすることを指します。

 XMLサイトマップはクローラー向けの対策となり、マップを作成することでクローラーにサイトの構造が伝わるため、必要なページを過不足なく巡回してもらうことが可能となります。また、新規ページも把握されやすくなるため、評価にも早く還元されるようになります。

また、それと併せてrobots.txtを作成すれば、使っていないページをクローラーが巡回して評価が下がることを避けられます。

パンくずリストは、サイト上部に表示されるナビゲーションのことで、そのページがサイト内のどの位置にあたるのかを示したものになります。パンくずリストを設置することで、検索エンジンからの評価向上につながるほか、ページを訪れた人も関連ページへ遷移しやすくなり、よりサイトに興味を持ってもらいやすくなる効果もあります。

この項目については、いずれもゼロから対応するには少し複雑ですので、制作会社がいる場合には、そちらへお願いするのが良さそうです。

ページの高速化

 ページの高速化は、ページの読み込みスピードを上げるための対策を指します。ページの読み込み速度は検索エンジンの評価の要素にもなっており、ページの読み込みが遅ければ、それだけ閲覧者のストレスにもなるので対応が必要です。

 基本的な対策方法は、PageSpeed Insightsに自院のアドレスを入力すると、ページを重くしている原因が出てきますので、出てきた項目を一つ一つ潰すことになります。

 ページを重くしている原因は様々ですが、画像の最適化が課題となることが多いので、ファイル形式の変更や画像の圧縮を試してみていただくのが良いでしょう。

スマートフォン対応

 スマートフォン対応は、読んで字のごとく、スマートフォンに対応したページを作成することを指します。

 検索エンジンの評価基準も、PCサイトからスマートフォン用のページが重視されるように変化してきており、当然、患者さん目線でも、スマートフォンで表示した際に表示が崩れていると、困ってしまいます。そのため、スマートフォンに対応したページをきちんと作成することは重要です。

 具体的な対策としては、モバイルフレンドリーテストで自院のアドレスを入力し、指摘のあった項目について対応を行うことになります。

 また、検索順位には影響しないため、純粋なSEO対策からは外れてしまいますが、404ページをカスタムし、404ページで読み手が離脱してしまわないようなデザインにすることも重要ということで、内部SEOと併せて語られることも多いですので、こちらも対策を検討しましょう。

② 外部対策

 外部対策は、おもに第三者からホームページを評価されることで、検索エンジンからの評価を得るための施策になります。外部対策においては、特に被リンクの獲得が重視されています。

被リンクの獲得

 被リンクとは、外部のサイトに自院ホームページのコンテンツへのリンクを貼ってもらうことを指し、どれだけ関連性が高いサイトから被リンクをもらっているかという質と、どれだけのサイトから被リンクをもらっているのかという量の2点から評価されます。

 被リンクは第三者がどれだけ自院のコンテンツを評価しているのかという指標であるため、リンクの量を増やすために、リンク購入等によって不当に人工リンクを集めることは、ペナルティの対象として、検索結果から除外されてしまいます。適切なコンテンツを作成し、発信し続けることが、一番の対策です。

 ただし、協力医療機関のホームページに、病院の紹介やリンクを載せてもらう程度であれば、不当とはみなされないため、積極的な活用を検討しても良いかもしれません。

サイテーションの増加

 サイテーションとは、SNS上で自院に対して言及されることを指しています。Googleが基準として明言しているわけではないですが、サイテーションの数が増加することで、SEO対策に効果があるのではないかと言われています。

 サイテーションの数を増やすためには、自院のことをSNS上で共有してもらうことが必要です。そのため、自院のSNSからこまめに投稿を行ったり、ホームページの下部にシェアボタンを作成したりすることで、共有を狙うことが必要です。

 また、SNSで自院に対して好意的な内容を投稿してらうためには、接遇や診療の内容も重要です。接遇の向上は直接的なSEO対策ではありませんが、SNS上での良い口コミにつながりますし、ホームページを見て来院された患者さまが、かかりつけにしてくださるかどうかの基準にもなるため、決しておろそかにしないようにしましょう。

③ コンテンツSEO

 コンテンツSEOとは、患者さまが求めるコンテンツを継続的に発信することで、検索順位を向上させる対策のことを指します。コンテンツを良質なものにするためには、適切なキーワードを選定して、それに見合った記事を作成する必要があります。

キーワードの選定

 検索者にとって魅力的な記事を作成するためには、どういったキーワードにまつわる記事を作成するのかが重要になります。患者さまが検索するであろうキーワードや、自院の特徴を表すキーワードを設定して記事を書くことで、患者さまに対して訴求力のあるコンテンツにすることができます。

 キーワードの選定にあたっては、自院の患者さまのニーズをきちんと把握することが必要です。例えば、Google Search Consoleを用いて、自院ホームページに患者さまがどういったワードで検索してやってきているのかを分析したり、自院の患者さまに多い症例を基にしたりすることで、記事を書くためのキーワードの目星をつけることができます。また、キーワードプランナーで関連キーワードを調べて、テーマとなるワードを設定することも可能です。

 ただし、キーワードが一般的で抽象度が高くなるほど、検索順位上位を狙うことが難しくなってしまいますので、ある程度詳細なキーワードや3語以上のキーワードを狙うようにするのが良いでしょう。

記事の作成

 自院の受診者のニーズと考えられるキーワードを選定した後は、記事を作成することになります。

 記事を作成するにあたっては、まずは競合となる記事の分析が重要です。上位表示されるかどうかは、他の記事と比べて評価が高いかどうかという相対評価で決まるため、競合の記事の良い部分を取り入れつつ、オリジナリティのある記事に仕立てていくことが必要です。競合となる記事の記事構成や、記事の中で書かれている情報を参考にして、自院のコンテンツの構成案を検討しましょう。

 構成案を作成したら、それに基づいて内容を埋めていきます。この際、競合と比べてオリジナリティのある記事内容になっているか、EATを満たした記事になっているか、に注意しながら記事を書くと、より評価の高い記事になります。

 また、記事全体の文字数については、構成と同じく、競合の記事が参考になります。競合と同程度以上の文字数で記載するようにしましょう。

以上が、具体的なSEO対策の内容となります。

内部SEOや外部SEOはサイト全体の評価を向上させるのに役立ち、コンテンツSEOは特に特定キーワードでの検索順位の向上に寄与します。これは、どちらが欠けても成り立たないものです。どれかに偏ることなく、手広く対策を行うことで、より評価の高いホームページを作ることができるのです。


病院・クリニックのSEO対策について(3)

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