大変だった2020年も残すところ1週間となりました。急に寒くなりましたが、風邪を引かないように気を付けたいものです。今、熱を出すと、とても大変なことになりますね、、、。
さて、私が医療・介護WG座長をやっている規制改革推進会議ですが、12月21日に首相官邸に呼ばれて12月までの検討結果を菅総理にお伝えしてきました。内容自体の説明は事前に配られていて、ぞれぞれの座長から「自由に意見を述べて良い」とのお達しがありました。ただし、持ち時間は2分半(!)です。最初は、3分だったのが、総理の予定が押して、30秒縮まりました、、、笑。
2分半では大したこともしゃべれないのですが、下記のような内容を伝えてきたので、ご参考として共有します。
「医療・介護WGでは、新しい時代にあった医療介護を目指して、議論を行ってきました。特にデジタル化により医療介護の質と生産性が大きく変わる可能性があるにも関わらず、それを阻んでいる規制を見直すことが重要と考えます。
デジタル化に関連する規制改革の取り組み例をご説明します。
オンライン診療については、新型コロナ患者がまた増加している中、初診からの実施を可能とする現在の時限的措置を継続し、来年の夏までにはどういう形で恒久化するのかを取りまとめる予定です。その際には、初診の取り扱いや対象疾患だけではなく、報酬制度も含め検討します。
オンライン診療以外にも、重要な医療分野でのデジタル化の取り組みに、いわゆる医療機器プログラム(SaMD)があります。
例えば、今では、スマートウオッチのアプリで心電図や血中酸素が測れます。レントゲン、CT、MRIの画像を解析し疾患を発見するAIも開発されています。このような新技術が世界中で開発されていますが、日本はその動きに大きく後れを取っています。
最大の要因は、プログラムを扱うプロセスが従来の医療機器と同じ流れに乗っていることです。プログラムの場合、製造する工場や保管する倉庫は不要で、またOSがアップデートされるたびに再度承認を取る必要は本来はないはずです。
プログラム医療機器を開発・導入するための承認プロセスを見直すとともに、保険上の評価を求めています。また、来年は引き続き、AI開発に必要な教師データの取得について検討します。
これ以外にも、コロナ禍での「ステイホーム」の働き方に合った産業医の常駐義務の見直し、コンビニ等の営業時間の長い店舗における薬剤師の配置規制を見直し、ICTを活用した情報提供にすることなど、デジタルの時代にあった規制改革を求めています。
これらの規制を扱う中で共通の課題として感じたのは、構造的な問題の存在です。
(1)規制する法律の多くが昭和20~30年代に制定され、新しい時代のニーズや技術にあっていないこと。
(2)これを解釈や指導で対応するときに、安全性は大事なのですが、それに偏った議論になりがちであること
(3)それを検討する、厚生労働省の委員会などが医師等、安全性を最重視する専門職に偏っていて、利便性や医療経済等の他のメリットが十分議論されないこと
(4)また議論がデータにも続くものではなく、専門家の意見に基づくので一方的ななりがちであること
(5)さらには、診療報酬・介護報酬の議論は更に別途行なわれるので、規制は外れても経済的メリットが無いと活用されないリスクが常にあること
このような構造的な問題についても、具体的な規制改革の要求と共に指摘していきたいと考えています。
総理会談は全体で50分ほどでした。儀式的なところもあるのですが、最後にご意向を表明されることがとても重要らしいです。全部についてコメントされるわけではなく、押印廃止などの数個の項目の中にオンライン診療が下記の通り入っていました。
「オンライン診療・オンライン服薬指導については、現在の特例的な拡大措置を続け、将来的にも、今できることを引き継ぎできるよう、その基準よりも下げるべきではないということで実行したいと思います。オンライン教育についても、現在のコロナ措置を後退させることなく、特例の授業として認めるとともに、今後も教育現場でICTを活用した新たな取組をより幅広くできるようにする必要があります。河野大臣が中心となって関係大臣と調整し、早急に検討を進め、オンライン診療・オンライン服薬指導については来年6月までに、オンライン教育については本年度中に結論を出していただくようにお願いします。
厚生労働省のオンライン診療検討会では、安全性を最優先した縮小議論が中心なので、どこが落としどころになるか、今後の展開は注目すべきです。規制改革推進会議も厚生労働省のオンライン診療検討会も全て資料、議事録が公開されていますので、ご興味があればご覧ください。
ちなみに首相官邸には、国会議事堂のような特設お土産売店とかなかったのは、やや残念でした(笑)。