病院・クリニックのSEO対策について(3)

コンサルタント 田中 傑

この記事では、webマーケティング、その中でも特に重要と考えられるSEO対策に絞り、どのように行っていけばよいのかについて、以下のような項目で3回に分けて述べたいと思います。

1.SEO対策の重要性
2.SEO対策に関する基本事項    病院・クリニックのSEO対策について(1)
3.具体的なSEO対策の内容     病院・クリニックのSEO対策について(2)
4.MEO対策について
5.終わりに            病院・クリニックのSEO対策について(3)

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4.MEO対策について

 ここまでは、医療機関におけるSEO対策について、ご説明してきました。SEO対策は検索結果における上位表示についての対策ですが、同様に、地図サービス上での上位表示獲得に向けたMEO対策も存在し、SEO対策と同じ文脈で語られることがあります。特にクリニックにおいては、このMEO対策も重要となりますので、併せてお話しします。

 MEO対策とは、「Map Engine Optimization」の略称で、先ほども述べた通り、地図検索エンジン、とりわけGoogle Mapにおける検索上位対策を指しています。例えば、「地域名+クリニック/病院」や「地域名+診療科」などをGoogleで検索してみると、検索画面の上部に、地図とともに3件ほど医療機関がサジェストされます。この3件の中にリストアップされるように対策を行い、検索者の目に留まりやすくすることで集患対策につなげるのがMEO対策です。

 MEO対策は、SEO対策に比べて、手順が少なく、簡単に行うことができるため、コストをかけずに自院内で対策を行えることもポイントになります。

 具体的なMEO対策の方法は、大きくはGoogleビジネスプロフィールの活用という1点に集約されます。

 Googleが地図検索エンジン上での順位の評価を行う際には、「関連性」(検索ワードと事業内容の関連度合)、「距離」(検索ワードと事業所の住所までの距離)、「知名度」(インターネット上で事業所について言及された数)の3点が指標となりますが、このうち「距離」は住所を変えることはできないですし、「知名度」は前章で述べた「サイテーションの増加」と同様の対策となりますが、地図検索アプリ上で対策できることはほとんどありません。そのため、「関連性」の評価を上げるために、Googleビジネスプロフィールを用います。

 Googleビジネスプロフィールとは、会社や医療機関の情報を登録することで、地図上に表示する内容を管理できるサービスです(以前はGoogleマイビジネスと呼ばれていたため、そちらの名前だとなじみがあるという方も多いかもしれません)。このGoogleビジネスプロフィールを登録していなくても、Googleが自動的に情報を収集して地図上に情報を表示してもらえますが、登録を行うことで、Googleや検索者に対して、より正確かつ詳細な情報を提供できるようになり、関連性を正しく評価してもらえるようになります。

  • Googleビジネスプロフィールの登録

 まずはGoogleビジネスプロフィール(https://www.google.com/intl/ja_jp/business/)のページから登録を行います。この際、自院の住所や電話番号を入力することを求められますが、可能な限りすべて入力しましょう。NAP情報と呼ばれる、Name(医療機関名)、Adress(住所)、Phone(電話番号)の情報が、MEO対策においては特に重視されています。Googleが同じ情報と認識できるよう、ホームページに載っている表記と揃えて、必ず入力するようにしましょう。

  • オーナー登録

 基本情報を入力すると、その次にオーナー登録を行う必要があります。基本情報を入力し終えると、オーナー確認のオプションを選択する画面が出てきますので、「今すぐオーナー登録」から、登録を行ってください。このオーナー登録を行わなければ、詳細な自院の説明を記述することができないため、可能な限り早く行いましょう。

  • ビジネス情報の追加

 オーナー登録が終わると、詳細なビジネス内容を登録できるようになります。「ビジネスプロフィールを作成する」の割合が100%になるように、指示に従って項目を埋めていきましょう。

その際、特に大切になるのが、「ビジネス情報」欄です。この項目に書かれた内容が、診療内容と検索ワードの関連性を評価する基準になりますので、自院の特徴を表すキーワードを入れ込み、詳細な診療内容の説明を行いましょう。

 また入ってる情報が古い場合、Googleの関連性評価と実際の診療内容が結びつかなくなり、正しい評価を得られなくなりますので、情報は適宜更新してください。

検索順位の向上を狙ったMEO対策からは少し外れてしまいますが、次にあげる2点も、Googleビジネスプロフィールの活用の上では、大切なポイントになります。

  • 写真の投稿

 Googleビジネスプロフィールには、写真を投稿することができます。写真を投稿することで、院内の雰囲気や特徴がより伝わりやすくなり、検索した人に来院時のイメージを持ってもらいやすくなります。そのため、積極的に写真を投稿すると良いでしょう。ただし、外来の写真や、診療の様子などを投稿したい場合は、患者さまのお顔が映らないようにする、どうしてもお顔を映す場合は、ご本人の同意を得るなど、個人情報の取り扱いには十分注意しましょう。

 また、写真と一緒に、外来診療表の画像を投稿しているクリニックもあります。ホームページを見なくとも、地図上の検索だけで必要な情報が得られるため、地図検索からそのまま来院につながる可能性もあります。こうした、受診動機につながるちょっとした工夫を取り入れてみても良いかもしれません。

  • 口コミへの返信

 口コミに対する返信も、とても重要です。医療機関に書かれる口コミは良いものばかりではなく、時に厳しいご指摘をいただくこともあります。特に、Google Map上には、気軽に書き込みやすいこともあって、多くの口コミが集まってきます。

 星の数が少ない、いわゆる低評価の口コミの中には、いちゃもんのように思われる口コミがある場合もあります。しかし、こうしたいわれのない口コミも、Google側で適切に削除してもらえることは、ほとんどありません。実際、弊社の支援先から不適切なクチコミがあるとのことで相談を受け、削除依頼を出したこともありますが、Google側では口コミの正否を判断できないため、削除してもらうには至りませんでした。

そのため、こうした口コミに対しても誠実に対応することが大切になってきます。書き込まれた内容がどうあれ、まずは投稿された方の気持ちに配慮し、謝罪を伝えることが第一です。自院の対応に対して、何かご気分を害されることがあっての投稿ですので、その内容を誠実に受け止める姿勢を持つことが重要です。また、それと併せて、口コミの内容について院内で事実確認を行い、必要に応じて職員の接遇の見直し等を行うことで、至らない点については対策を行うようにしましょう。

悪い内容の口コミに対してもきちんと向き合い、誠実に対応している様子は、医療機関のイメージの向上にもつながります。

 MEO対策は、上述で説明した通り、手軽に対策ができます。もちろん、対策をしたからといって、簡単に地図検索エンジン上で上位に掲載されるというわけではありませんが、正確な情報の提供や接遇面でのアピールなど、副次的な効果も期待できますので、ぜひ取り組みましょう。

5.終わりに 

 ここまで、病院やクリニックにおけるSEO対策の重要性とその方法、そしてそれと関連して、Google Map上のMEO対策に関して述べてきました。SEO対策とMEO対策のどちらも対応をすることで、集患への効果はより高くなります。そのため、それぞれの対策の違いを踏まえたうえで、対策を行うようにしましょう。

 MEO対策は比較的簡単に対策ができますが、SEO対策は院内でも実施可能ではありますが、手数もかかる上に、複雑な部分もあります。詳しい人材がいないため、あるいはマンパワーがないために実施できないこともあります。そういった場合には、積極的にSEO対策業者を活用することも検討してもよいかもしれません。

費用は基本的に、クリニックで月に数万円~、病院で月に数十万円程度ほどですが、専門的な業者にお願いすることで、より細やかな対応ができるほか、Googleの評価基準アップデートへの対応など、自院だけでは手の届かない範囲の対策も可能となります。

 また、SEO対策自体は、相対評価のため、やったからといって必ず効果が現れるものではありません。そのため、外注化する場合には、特定のキーワードで順位が5位以内まで上がればいったん契約をストップする、半年たって効果がなければ契約を見直すなど、コストパフォーマンスを分析しながら進めることが大切です。

 加えて、SEO対策の中にもサイトの暗号化(常時SSL化)がある通り、ウェブサイトや院内セキュリティも重要になりつつあります。SEO対策に加えて、ホームページのセキュリティ強化も見直してみてもよいかもしれません。

 医療機関におけるwebマーケティング、あるいはSEO対策の重要性は、社会全体のデジタル化が進んでいくのに合わせて、着実に増してきています。そのため、適切に対策を行っていくことが、集患への確実な足掛かりになります。

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