株式会社メディヴァ

REPORT

現場レポート

22.07.14 thu

医療・ヘルスケア事業の現場から

『リハビリ部門の収益改善と生産性向上(後半)』

コンサルタント 長島花奈

【1.生産性向上】

 前半(『リハビリ部門の収益改善と生産性向上(前半)』)では、DPCデータ分析から見えてくる潜在的リハビリニーズについてお話ししました。今回は、リハビリ対象者や延べ単位数の増加に対応するための「生産性向上」について、ご紹介したいと思います。

【2.生産性向上施策がアプローチするポイント】

 そもそも、リハビリテーションサービスの提供にいたるまでには、3つのポイントがあります。まずは、「①対象となる患者がいること」、続いて「②対象となる患者に医師から適切にリハビリオーダーが出されること」、そして「③リハビリオーダーに対してリハビリスタッフが遅延なく、必要十分な量のリハビリテーションを提供すること」が挙げられます。①は、病院の機能や診療科によって変動しますので、リハビリ部門単体ではなく、地域の中での病院の在り方を検討する必要があります。②は、前回のDPC分析でも触れたとおり、リハビリ専門職以外に医師や看護師がリハビリ対象患者を漏れなくピックアップするために、意識づけとオーダー漏れを防ぐ仕組みづくりが必要です。そして、③は今回のテーマでもあるリハビリスタッフの生産性が大きく影響するポイントとなります。特に、リハビリスタッフの間接業務が多いと、全ての患者に毎日十分なリハビリテーションを提供する時間が確保できないため、2日に1回の介入になったり、本来必要な介入時間に満たない介入しかできなかったりといったことが起こります。

【3.生産性向上の課題と対策】

 下の図表は、支援先のとあるケアミックスの病院におけるリハビリ部門の直接業務と間接業務の割合を示したグラフです。職種によって差はありますが、間接業務に約4~5割の時間が割かれていることがわかります。生産性向上のプロジェクトでは、これらの間接業務を削減し、直接業務に充てられる時間を拡大することを目指します。

間接業務の内訳としては、情報収集、記録、移動(患者送迎を含まない)が上位に挙げられます。以下では、これまでのご支援の中で実際に見られた課題の要因と、その対策の一例をお示しします。

情報収集
《課題》
・新規患者の担当割り振りをするのが遅く、空き時間を活用した情報収集ができない。
・介入前に病棟の担当看護師と連絡がとれず、患者の状態を確認するまでに時間がかかる。

《対策》
事前の情報収集が朝の診療前や空き時間にできるよう、担当振り分けを当日朝のカンファレンスまでに行うことを徹底すると良いでしょう。ただし、急性期病院の場合は、急なリハビリオーダーも多いかと思います。当日朝以降のオーダーはチームリーダーが担当するなどのルールを設けることで、担当をなるべく早く決定できるようになり、情報収集を効率的に行うことができます。また、業務調査では、他職種から情報収集するために、「人を探す」時間も少なからず発生していることがわかりました。リハビリ部門、看護部門共にPHSの端末を増やし、タイムリーな連絡を可能にすることで「人を探す」時間をなくすことは、費用対効果も高く有効な対策です。

記録
《課題》
・スタッフによってカルテやリハビリサマリーの記載内容や量が異なり、人によっては毎日記録のための残業が発生している。
・定型化された文章にも関わらず、毎回、一から入力している。
・評価表や計画書等の文書に毎回、患者の基礎情報を手入力している。
・文書記録が可能な端末や場所が限られているため、診療の合間に空き時間が発生しても記録ができない。

《対策》
記録時間に個人差が大きい場合は、まず記録すべき内容の基準を定めることが有効です。特に新人ほど要点が絞れず記録の量が多く、多くの時間を費やす傾向にあるため、新人教育の一環として、記録すべき内容と目安となる所要時間を提示しトレーニングしていくと良いでしょう。また、初回カルテや評価表、計画書など、定型化された文書に関しては、テンプレート化や、基礎情報の自動反映機能などをもつ部門システム導入をすることで、大幅な効率化に繋がります。さらに、記録できる場所や端末の数も重要な要素です。リハビリ室でしか記録できないといった病院の場合は、病棟に1台リハビリ記録システムの入った端末を置くだけでも、患者のトイレ介助を待っている間に、記録できるようになるなど空き時間の有効活用が可能になります。

移動
《課題》
・病棟毎に介入時間をまとめてスケジューリングしていても、リハビリ時間に検査や入浴がバッティングし、スケジュール通りに介入できず結果的に移動距離が長くなる。
・リハビリ室が混雑しているため、到着後に別の訓練室に移動することがよくある。

《対策》
入浴や検査とのバッティングは、リハビリ部門の生産性を低下させる大きな要因の一つです。多くの病院が、リハビリ部門と看護部が双方に、リハビリスケジュールと入浴スケジュールを共有していますが、活用されず形骸化しているケースも見受けられます。というのも、お互いにスケジュール変更が頻繁にあったり、変更時に連絡を怠っていたりすると、スケジュールは作成しているけれど、結局見ていないという状態に陥ります。こういった場合は、スケジュール変更時の連絡や、更新頻度など細かな部分を双方の部署で相談し、実用的なルールの作成をすることが望ましいでしょう。また、リハビリ室のベッドがいつも満員といった病院をたまに見かけます。その場合は、病棟でも必要なリハビリができるよう、予め備品を配置しておくと良いでしょう。リハビリ室の面積は施設基準上定められていますが、リハビリを実施する場所自体は特に規定されていません。院内の様々な設備を使用することは、移動時間の短縮に繋がりますし、何より、患者にとっても自宅や外出先での動作を練習する機会にもなるため、検討してみると良いでしょう。

【4.まとめ】

 今回は、リハビリ部門の生産性を向上させる具体的な対策例をご紹介しました。リハビリ部門の収益改善と生産性向上に関しては、前半(『リハビリ部門の収益改善と生産性向上(前半)』)でもお伝えした通り、まずは、院内のリハビリテーションニーズを潜在的なニーズも含めて定量的に把握するこが重要です。その上で、ニーズに対応できていない要因がオーダーを出す医師側にあるのか、オーダーを受けるリハビリスタッフ側にあるのか見極めましょう。オーダーを受けるリハビリスタッフ側に課題がある場合は、今回のように間接業務の時間が、何にどれだけ費やされているのか調査し、コストと時間短縮効果を天秤にかけて施策を検討することで、具体的な課題の解決につながります。

 弊社では、病院のリハビリ部門での勤務経験のあるコンサルタントが、現場目線と経営者目線の双方からご支援させていただきます。リハビリ部門の生産性や収益に課題を感じられている場合は、ぜひ一度、弊社にお声かけください。