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メディヴァの人事ブログ
私たちの日常、仕事、仲間、価値観などを
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2020年12月18日(金)

独自の発想はどこから生まれるのか?

面接の中で、独自の発想が出来るかどうか?アイディアが出るかどうか?という話に時々なります。仕事をするうえでは独自の発想で価値を出したり、ピンチを切り抜けたりというのは大事なことですから、面接者としても知りたいところです。

ただ、発想豊かで、それを仕事に活かしてこられたかどうかは、ご経歴の中にも表れますし、面接で話をすれば大体わかりますので、それよりも「どうすれば発想豊かになれるのか?」「この方が今はそうでなくても、入社後に発想力を身に付けられるか?」といったところに私の関心はあります。

そこで今回は、これまでの体験と多くの人たちを見てきた経験から思う「発想豊かに仕事をする方法」について書きたいと思います。

ここでいう、アイディアや独自の発想というのは、世紀の大発明といったレベルも含みますが、どちらかといえば、もう少し普通の人に関係するレベル、仕事で大きな成果を出すためのアイディアといったレベルを想定しています。

多くの方は独自の発想、豊かなアイディアはどこから来るか?と考えたときに、
・特別な才能
・特殊な訓練やノウハウ
・偶然どこかから降ってくる
といったものことをイメージされるようです。どちらかといえば、地道なことよりもショートカットやラッキー、先天的なことなどに比重が置かれている傾向を感じます。

そして、独自のアイディアを出せる「発想力」を源泉として、その先に発明なり成功がある、という図を思い描かれている方が多いことも感じます。でも、私がこれまで見てきたものから感じているのはそうではありません。

【発想が出る状況とは?】

「必要は発明の母」と諺にありますが、まずはアイディアというのは、目的や目標がありそれを果たそうと壁をクリアするために出てくる場合がほとんどだと思います。もちろん、まず発明があり応用手段を後から考えるという場合もあるでしょうが、知っている限りはかなり少ないと思います。

発想というのは結局、何かを目指していて、それを実現するための壁にチャレンジし続けて、そのうちに良い手段にたどり着くといったものだと思います。

体験談を聞いたり、ノーベル賞受賞者の本を読んだりしても、発想が出てくる源泉は、人によってバラバラだったり偶然に左右されたり、理由は分からないけどなぜか思いついた、といった話が多く存在します。これは、何かに長く取り組む中では、多くの偶発的な出来事や試行錯誤があり、「そのうち」「何かが」成功に結び付く、ある面では「数打ちゃ当たる」といったことを意味するのだと思います。

【発想を阻害する要因】

上手くいった要因を明確にとらえるのが難しいのに対して、独自の発想、アイディアが出ない要因、理由は割とはっきりと見えます。以下のようなものです。

(1)そもそも何かの成果を目指していないと発想の必要性が薄く独自性の高いものが出ない。
(2)独自の発想、アイディアが出てくるのは特殊な才能や訓練体験を持った人に限られると想像して初めから諦めている。
(3)常識や体面を重視しすぎて普通と違ったものは浮かんだ瞬間に排除してしまう。
(4)「どうせ出来ない」と決めつけてしまい何かを思いついたとしても追究しない。
(5)多少の発想が出たとしても何度か失敗するうち上手くいく前にやめてしまう。

その根っこにある要因を言葉で表現すれば、
(1)目的・目標の欠如
(2)独自のアイディア出るプロセスへの誤解
(3)普通から外れることへの恐怖、不安
(4)自信の欠如
(5)レジリエンスの欠如(めげやすい)
などでしょう。

「独自の発想はどうすれば生まれるのか?」という命題に対しては、これらは必要条件でありますが、十分条件とは言えません。
しかし、独自の発想によって高い価値を出すことが出来ないという悩みを持つ人のほとんどは必要条件のところで躓いているように思うので、これらを考えることにより大きな意味があると私は考えます。

最近、野村克也さんが逝去され語録として話題になった「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」にも通じることだろうと思います。これをやったら必ず負ける、この準備を怠ったら出来るはずがない、というものをクリアしたうえで勝つための手段を追究するということだと理解しています。勝つには確率や時の運なども関係するでしょうし不思議の勝ちも多々あるのでしょう。(ちなみに、この言葉は野村監督のオリジナルではなくて、もっと昔の言葉の引用だそうです)

【阻害要因をクリアするには?】

それでは、個人として今悩んでいる人が、発想豊かでアイディアの力で価値を出す人を目指して、必要条件をクリアするにはどうすれば良いでしょうか?(1)(2)あたりは意識や知識が変われば大きく変化する可能性はありますが、(3)(4)(5)はなかなか難しそうです。自信やレジリエンスがないことを変えようと言われても「それが出来ないから困っているのに、どうしろというの?」と思うのが普通です。これに対しては、それこそショートカット的な答えはないと思っています。ではどうするか?

私はこれらの、一般的には性格とか性質、タイプという言葉で括られているものは、すべて思考のクセや思い続ける力の強い弱いなどから生じる、一つの能力、スキル、強さのようなものと考えるのが妥当だと、これまでの経験、知識から思っています。能力であれば、トレーニングすることが可能なはずです。逆に変わらない持って生まれた性質だと思うと諦めが生まれやすいでしょう。

思考や脳も身体、筋肉、運動能力と同様にトレーニングによって変えていくことが可能であると想定すると、長年研究されてきた「トレーニング理論」が参考になるはずです。トレーニング理論では、3つの原理と5つの原則といったことがよく言われます。

【原理】(なぜトレーニングが可能なのか?その原理)
1.過負荷の原理:現状を超える負荷により向上する
2.可逆性の原理:トレーニングをすれば向上し、しなければ後退する
3.特異性の原理:トレーニングの内容に応じて向上する能力が異なる

つまり、変化を起こしたい能力にターゲットを定め、現状より高い負荷をかけることによって人の身体は変化する。人間の身体のこういった性質がトレーニングが可能である根拠、原理だということです。

【原則】(どうトレーニングするのが効果的か?)
1.漸新性:負荷を少しずつ高めていくこと
2.個別性:個人個人の適性、能力レベルに合わせること
3.反復性:繰り返し行うこと
4.全面性:様々な能力全体を高めること
5.意識性:何を鍛えているかを意識すること

トレーニングを行う時にこれらを満たすことが、成功するため、効率よく訓練するために重要であるということです。

どれも一つずつは単純シンプルな話しなのですが、実際に行う場合には、なかなか難しいことだと思います。私の趣味であるランニングでも失敗例をたくさん目にします。
・いきなり高すぎる負荷で行って怪我をしてしまう
・継続、反復が出来ずなかなか能力が向上しない
・何のためか意識せず漫然と取り組んでいるためトレーニング効果が薄い
例えばこういったことです。

目的や大目標を意識しつつも、まずは無理なく取り掛かれるところからスタートして、鍛えるところを意識して、少しずつ高めていく、といった取り組み方が必要とされるところです。

この枠組みで考えるとして、独自の発想を出せるようになるためには、どのように設定をすれば良いでしょうか。

枠から外れる不安、自信の無さ、レジリエンスの欠如といったもののを起源までさかのぼり、小さく取り組めるところまで行ったところに何があるのか?それは、自分の考え、意見を持ち、それを表明することだと思います。

ほんの些細なこと、例えば次の食事で何を食べたいか?といったことや、仕事についても業務のやり方のちょっとしたところなどについても、考えを持つこと、そして表明することに勇気がいることが多いのではないでしょうか。これは「変に思われたらどうしよう」「間違っていたらどうしよう」「誰かの気分を害したらどうしよう」といった気持ちからくるもので、自分の発想を活かして仕事に取り組む、アイディアをもとに価値を出す、といったことを阻害する源流はこの辺りにあると思います。

それに対してどうするかですが、何も意見がない、考えがないという場合には、自分がその当事者として渦中に身を置いたと想像してみて、少なくとも心地よいか不快か、前向きに思うかどうか?そういった感覚はあるはずで、そこから始めるのが良いと思います。そして、その理由は何だろう?と考えてみるとスタートを切れると思います。

表明する段になって躊躇を感じる人の多くはその対処として、「正しい知識を身に付ける」「正しい考え方を身に付ける」「事前の下準備を入念にする」といったことをイメージされると思います。しかし、それよりもまず表明することに慣れることが大事だと思います。間違っているかどうかは誰にも分からないことも多いので、まずは何を思うのか、何故そう思うのか、場合によっては何故そう思うか分からない、といったことをありのままに言うことへの抵抗を無くすことではないかと思います。

自分にとって抵抗のある一番小さなところをスタートとして(個別性。まずは自分のレベルから)、少しずつ(漸進性)、何度も(反復性)行っていきます。考えたこと、表明したことは必ずしも上手くいくものばかりではなくて当たり前で、「正しくなければならない」という考えは捨てることです。

正しいかどうかではなく、最終的に成功するアイディアでなくても、表明して議論に参加して、結論を出すことに関わることが貢献であると考えることです。今発言するのは、正しさを求めるのではなくて、議論に参加するためだということ、何をトレーニングしているのかを把握することが重要です(意識性)。

常々信じていることですが、人間はほとんどの怖さには慣れることが可能だと思います。その方法が上に書いたような、少しずつ繰り返し行うことで慣れることだろうと思います。

これをスタートとして徐々に、発想→実行→結果を見る→修正をかける、といったことを行っていくことができます。まず何でも良いので発想→実行ということを行うことが大事です。発想を鍛えたければ、発想を何度もすることです。他の手段によって発想が鍛えられるということはほとんどありません。特異性の原理です。

さらに、取り組む内容を少しずつ難しくいていくことで、トレーニングの過負荷の原理によってレジリエンスや怖さへの耐性が向上していきます。

【阻害要因をクリアした後の話】

上に書いたことを続けていくと、自分の考えを持ち、それを進めて実行して結果を見るということを抵抗なく繰り返せるようになってきます。

そこから先は、本当にその発想が大成功を導けるようなものか、優れたアイディアなのか?といったことが問題となります。そこにはもしかしたら、才能が多少は関係しているのかもしれないですし、偶然に左右される部分もあるかもしれません。

真のクリエイティビティとは?という命題になるのでしょうが、私にはそれを完全に解き明かせるとは思えないので、重要だと思うポイントをいくつか上げることにとどめておきます。

・最終的に一つ上手くいくアイディアを得れば良いので、出来るまで繰り返すこと
・粘り強く継続するために、心から思える大きなヴィジョン、到達したいものを持つこと
・原理を意識すること(原理は応用できる範囲が広いし、理に適っている)
・世の中の広い範囲に興味を持つこと(ネタ、バリエーションの収集)
・成功する人は発想の勝ちパターンを持っている人が多い(得意なことは成功しやすい)
・実行面を強くすること(アイディアは実現できなければ良いか悪いか分からないし、はじめから実行できないと思うと、アイディアの創出は鈍る)
・人の集まりの中でアイディアが通っていく/抵抗を受けるプロセスにも強くなること。(剛腕ばかりでは実行は進まない。組織、社会の中で人の心理やコミュニケーションに長けることも重要)

【まとめ】

発想力豊かに独自のアイディアを出せるようになることについて考えましたが、主に多くの人が躓く阻害要因についての話になりました。

改めて思ったことは、めげずに成功するまで何度も繰り返すことが重要だということです。以前に採用チームの村上が書いたブログ「ひらめきは執念から生まれる。」というのは本当だなと思います。

朝ドラでもやっていましたが、安藤百福さんはカップ麺を発明する前にもたくさんの発明をしてこられた方ですから、発明の能力を長年にわたって向上してこられ、それが最大の発明としてカップ麺に結実したのだと思います。また、カップ麺を成功させるための一つ一つのアイディアを見ると、後から分かってしまえば何てことはないものも多くあります。身近な出来事や物からヒントを得て何度も何度も試行錯誤を重ねられることで発見したようです。

世界を変えたと言われる世紀の大発明も、少しずつの積み重ねから生まれたと思うと、自分にも何か出来るかも、と明るい気持ちになりませんか?(岩崎克治)