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メディヴァの人事ブログ
私たちの日常、仕事、仲間、価値観などを
理解していただくために綴るブログです。

2020年05月26日(火)

コロナ危機に思う
~マッキンゼーで習った3つのツール、そしてソーシャルネットワーク~

ここ数か月、世の中は新型コロナウィルスに関することですべてが動いているようです。ようやく緊急事態宣言が解除されましたが、まだまだ感染のリスクを踏まえて仕事と生活を組み立てていく必要があります。そんな中この数か月で私が強く感じたことが一つあります。

それは、マッキンゼーで教えられた基本的な考え方である、
・Fact base(ファクトベース)
・Logical thinking(ロジカルシンキング)
・Issue driven(イシュードリブン)
の3つが今回のような事態では非常に強力なツールであるということです。
個人として、仕事上の判断、意志決定、行動に最大限活用しています。それが無ければ判断の質や果たせる役割は相当小さくなってしまうだろうと思います。

3つはどれも世の中で知られた考え方なので説明は省略させていただきますが興味がある方はネットで検索していただけば山のように出てくると思います。

今回テレビとネットを通じて発信される内容について非常に感じることは、以下の3つです。
・事実が何なのか?が非常に不明確。嘘、間違い、不確定な情報がかなりある。
・なぜその結論になるか因果関係が不明な話、不安や不満を煽るだけの内容が多い。
・発信者の恣意的な目的、主張のために、事実も因果関係もスキップや捻じ曲げられたものが見られる。

その結果、ただ何となく、受け身でテレビ、ネットを見ていると、漠然とした不安、恐怖、パニックなどが引き起こされてしまうように感じます。

これらに対して、上記の3つはとても強いツールになります。当たり前なことも多いですが、以下に簡単に説明します。

・Fact base:
これは、結論を出す材料として「事実」を使うということで、ある情報が事実なのか、どの程度確からしいのかといったことをチェックすることも含みます。様々なリサーチ、数字を参照する場合も、背景、内容、精度をよく確認して使います。情報が 一次情報(直接的な情報)なのか、引用されたものなのか、いくつかの情報から導き出された推測なのか、といったことも注意深く確認が必要です。
コロナウィルス感染拡大に関して報道やネットで発信される情報は、出典や素性がかなり怪しいものが多いので、単純な話ですが常にファクトを確認する意識やスキルは非常に重宝します。

・Logical thinking:
事実の集積から一つの結論に至るには、場合分けや、適用範囲、因果関係などを積み重ねていくことになります。「なぜその結論が出るのか」にこだわることが重要です。これはコンサルティングやマネジメントに限ったことではなく、製品開発や学問の分野ではさらに厳密に求められます。
コロナ騒ぎについてテレビとネットで論じられている内容についても当然求められることですが、とてじゃないけどキチンと行われているとは言えないことが多いです。
私にはワイドショーの多くは、不安、恐怖、不満に火をつけることを目的として、それらしいものを材料として羅列してだけのように見えます。出演している専門家の方々は、懸命に事実と論理を説明されていると思いますが、番組全体を見ると結局は「怖い」「大変」「政府がけしからん」という情緒を醸し出すだけになっていると見えています。
見る側、読む側がしっかりと論理、因果を確認していくことが大事だと思います。

・Issue driven:
イシューというのは一般には聞きなれないかもしれませんが、「いまこの場合に考えるべき問題」といったような意味です。いま重大な関心事。争点、課題といった雰囲気でしょうか。企業で例えば経営者が全社の利益を上げようと思って出来ていないとして、本当にそこに対して重大な関係があり、解決すべき課題が明らかになれば、それがイシューということになります。
ただ漠然と利益につながっていることを推測して「シェアを上げろ」「いい製品を開発しろ」というのと、目的が設定されて、そのために重大な課題に目を向けることには大きな違いがあります。膨大な経営資源を費やしてシェアを上げても利益は上がらないかもしれず、それでは意味がありません。

コロナ騒ぎの中でも、何がイシューかは非常に重要です。
新型コロナ感染症による直接の死者を少なくすることなのか、国の経済を崩壊させないことなのか、オリンピックを予定通りに開催することなのか、、、、
イシューの設定によって考えるべきこと、やるべきことは相当に変わってくるはずです。テレビを見ていると、様々な人たちが自分勝手にイシューを立ててつつ、それを明示せずに自分の目的を達成するために都合よい言動だけしているように思えます。国としての最重要イシューは何か?自治体としてのイシューは何か?経済界のイシューは何か?医療界のイシューは何か?それらを共有することが出来ればずいぶんと事態は良くなるし、不安や不毛な議論も減るだろうと思います(おそらくそれが出来ていないことが大問題なのだと思います)

会社や個人にとってもイシューは何なのかを決めることは非常に重要です。クリアすべき課題と、今は重要ではない課題を分けなければ事態を乗り切ることは難しくなります。

個人でよくみられるのは「コロナに関連した自分にとってのすべてのリスクをゼロにするにはどうすればよいか」。これをイシューに設定してしまっていることです。感染のリスクをゼロにしたい、収入が減るリスクや失業するリスクもゼロにしたい、教育に影響が出るリスクをゼロにしたい、、、リスクだけでなく、それに対する不安もゼロにしたいという場合もあると思います。

これは不可能なので、パニックになったり、それが実現しないのは世の中が悪い、政府が悪い、会社が悪い、と責任転嫁をしたり糾弾したり怒りを募らせたりすることになります。
糾弾しても怒っても、直接的に事態が改善されることはありません。自分にとっての事態を変えるのは、思考、判断と行動でしか有り得ません。

3つについて書きましたが、もちろんすべてが事実、論理、イシュー設定によって間違いなく解決するなんてことはありません。今回のウィルスもそれによって引き起こされる事態も、そもそもの世の中も自然も分からないことだらけです。不明確、不確定なことが多いので完全に整然とした理解、判断、行動など有り得ません。

それでも、これらによってきちんと筋を踏まえることにより、漠然たる恐怖によって押しつぶされることや、考えれば避けられるような判断ミスを無くすことは可能だと思います。それによって、事態をサバイブする(切り抜けて生き延びる)確率を上げていけます。
また、分かっている部分をきちんと考えることで、不明確な部分を認識できますし、不明確が明確となったときに結論が変わることを認識できます。

きっと今回に限らず今後また同様なレベルのことが起きる可能性は高いと思いますので、出来る限り多くの人が、今からでもそれらを身に付けることでより多くの人がサバイブできるのではないかと思います。

もう一つ、今回強く感じたことは、いま述べたようなスキルや思考形態に長けた人たちとのつながりが非常にありがたいということです。 私がマッキンゼーで知り合った方々とその先のつながりには、私などよりもずっと優れた情報収集、吟味、判断、発信の能力を持っている人が多数います。 自分一人ですべての情報を集めて吟味して判断するのは無理ですが、SNSなどを通じて自分に繋がっている人たちのおかげで情報収集力、思考力、判断力は何百倍にも上がるように思い、このコミュニティによって相当な恩恵を得ていると痛感しています。

SNSは自分と似たような人としか接点を持てない構造なので、偏りをより助長するといった言論によく触れます。また人を攻撃する手段に使われることもあり、大きな危険も孕んでいるのでしょうが、優れたコミュニティーとの接点を持つことができれば大きな恩恵を得ることもあるはずです。

思考のツールと頼りになるコミュニティとのつながりは私にとっては自分を守る盾であり、道を照らす明かりのようにも感じます。

そしてメディヴァが、医療界とその先の世の中に対して、同様の恩恵をもたらせる存在に既になれている部分もあると思いますし、今後もっともっとなれるのではないかと思います。

漠然かつザックリした話で恐縮でしたが、私にとって若いころに身に付けさせてもらった思考の習慣が今回非常に役に立つと思ったことをお伝えしました。(岩崎克治)