MENU

メディヴァの人事ブログ
私たちの日常、仕事、仲間、価値観などを
理解していただくために綴るブログです。

2020年04月23日(木)

水海道さくら病院の復興と現在、これから。

採用チームの村上です。

新型コロナ感染拡大の影響により、世の中や医療界が厳しい状況に置かれているなか、ふと記憶に蘇る出来事があります。

2015年9月10日の鬼怒川堤防決壊で大きな被害を受けた『水海道さくら病院』(以下、「さくら病院」)。 2012年よりメディヴァが運営支援に携わってきた、茨城県南西部にある中堅の医療機関です。つくばエクスプレス「守谷」駅からローカル列車に乗り換え15分、のんびりした住宅地に建つ温かで落ち着いた佇まいの病院です。

被災した直後は、医療機関コンサル水海道チームのメンバーを中心にメディヴァ社内でもボランティアを募り、病院のスタッフの皆さんとともに水没した1階部分と地下の片づけや清掃作業にあたりました。1日も早い再開に向けて資金を集めるために立ち上げたクラウドファンディングでは、メディヴァ社員のみならず、多くのクライアント医療機関の皆さんが寄付にご参加くださいました。

水海道②

水海道③

水海道④

水海道⑤

当時、復旧の司令塔となった事務室の壁一面には、いろいろな表が張り出されていました。考えられる問題点、必要な作業をすべて書き出し、優先順位をつけ、進行状況を可視化しながら取り組むことで、早期復興への道筋をわかりやすく示しているのです。それをもとにミーティングで進捗を共有し、一日も早い全面復旧に向けて病院スタッフの皆さんとともに一丸となって取り組みました。⇒当時の様子はこちら

被災から4年半。
現在のさくら病院の様子について、≪コンサルティング事業部 山田智輝≫からのレポートをご紹介します。

 

***************

水害から約4年たちました。

昨今は、特に夏のシーズンにおける台風や、ゲリラ豪雨により、水害被害が全国的に多発しています。さくら病院は幸いなことに様々な支援を受けながら、早期の復旧を行うことができました。その経験を活かすことで他の医療機関等のお役にたてるのではということで、今でも積極的に情報発信すべく、学会発表やメディアの取材対応などしています。

復興直後

早期に機能の復旧を果たしたさくら病院ですが、患者様が被災前の水準にはなかなか戻らず、経営的には非常に厳しい時期が続きました。背景としては、さくら病院が被災したのと同様、当然ながら地域の住民たちも被災し避難している状況が続き、地域に人が戻ってくるまでに時間がかかったこと、またさくら病院が再び水害にあうのではないかという風評被害や、ネガティブな印象もしばらくあったのではと考えられます。

ただそのような苦しい状況の中で、改めてさくら病院が地域にとってどうあるべきなのか、どんな医療を提供すべきなのかということを考え続け、病院主要メンバーとも何度も何度も話し合いを行いました。

新たな方向性

そして、約3年前よりさくら病院の今後の方向性について、以下の2つの方針を掲げました。

透析医療の強化 ~透析医療を導入から外来・入院・お看取りまで一気通貫~
さくら病院は被災前より長きにわたり、透析医療を強みとしていました。透析患者様は、一度透析が導入されますと、腎移植をしない限り最後まで透析を必要とします。また、状態によって通院(外来透析)と入院透析を繰り返します。
その為さくら病院では、導入から外来透析、入院透析、そして最後のお看取りまで一気通貫で透析医療をより多くの患者様に提供できるよう、体制を強化することとしました。具体的には医師体制の充実、透析機器の更新、送迎の強化ならびに連携先への営業強化などを図ることにより、透析患者数の増加とともに、地域におけるさくら病院の「透析」というブランディングができてきたのではないかと考えています。

地域包括ケアの拠点病院へ!
高齢化に伴う医療のニーズがQOL<クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)>に変わる中で、身体や認知機能が低下しても、また病状が一旦悪くなっても、入院と在宅医療がワンストップで受けられ、住み慣れた地域で暮らし続けられるように、つまりは「地域包括ケアシステム」構築の必要性が全国的に叫ばれています。そしてさくら病院ではそのシステムの拠点になるべく、「地域包括ケアシステムの拠点病院」というキャッチフレーズを掲げ以下の新たな取り組みを行ってきました。

・在宅医療の開始
2年前に新たに医師を採用し、2018年5月より訪問診療を本格的に開始しました。当初は1名の患者様からのスタートでしたが、少しずつ着実に広がりを見せ、現在では約40名の患者様の訪問診療を行っています。(2020年3月現在)
当初、水海道さくら病院がある常総市では在宅医療があまり普及しておらず、在宅医療の啓発やニーズを発掘する必要がありました。その為、地域の居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、急性期病院等に対し、訪問を行う医師と一緒に地道な営業活動を行いました。

病院が訪問診療を提供することの一番の強みは、訪問診療を受けている患者様が急性増悪など緊急時にはすぐに受け入れる入院機能(バックベッド)が自院にあるということです。その強みをしっかり地域に伝えていきながら、一人一人の患者様にしっかり向き合った結果、少しずつですがさくら病院の訪問診療が地域に受け入れられるようになってきたと感じています。

現在では、看取り実績、緊急往診実績の評価として連携機能強化型の施設基準(最上位のランク)を取得できるまでになりました。ただ、まだまだ地域のニーズはあると考えており、今後さらに在宅医療の展開を広げていきたいと考えています。また、さらなる拡大に向け、ともに在宅医療を行う仲間(医師ら)の採用も強化していく予定です。【水海道さくら病院HP・医師募集要項

・地域連携の拠点
在宅医療を始めた当初から平行して意識をしていたのが、地域の多職種(訪問看護、訪問介護、薬局、居宅介護支援事業所等)との連携です。在宅医療は医療だけでなく、介護の要素も非常に強く、地域の多職種との連携が欠かせません。ちょうどさくら病院が在宅医療を始めようとしていた際、地域の多職種協働を支える情報共有基盤の整備を目的として行政(常総市)が「電子@連絡帳JOSOシステム」の運用を始めようとしていました。「電子@連絡帳」とは、名古屋大学医学部附属病院 先端医療開発部 先端医療・臨床研究支援センターが開発した、医療機関と介護サービス事業者等が多職種間の連携を支援する電子ネットワークです。

常総市が導入をした背景には医療機関と介護事業者との連携という目的の他に、さくら病院も被害にあった水害の経験をふまえ、災害時に、地域の病院や介護施設等の被災状況や利用の可否について医療機関、介護事業者が相互に入力、確認するためのセーフティーネットの整備という意味合いもありました。そのため常総市主導で、「電子@連絡帳」の導入が進められました。ただし、導入自体は行政主導で行われたものの、運用の取り決めはほぼなされていませんでした。そこで、さくら病院がリーダーシップを取り、行政を巻き込みながら、地域の多職種を集め、意見交換会を行い、電子@連絡帳の運用の取り決めを行ってきました。今では、電子@連絡帳というテーマのみならず、在宅医療における服薬の問題など、より具体的な問題などもテーマにし、定期的に多職種意見交換会を開催しています。

水海道⑥

2020年2月に開催した多職種意見交換会の様子(参加者は50名を超え、規模は回を重ねるごとに大きくなってきています。)

市民に向けた発信
市民向けの取り組みとして、定期的に病院主催の健康講座を企画するようになりました。過去の開催テーマとしては、「骨粗しょう症予防」、「フレイル予防」のような医学的な内容から、「疲れない在宅介護」などの介護者にフォーカスした内容まで、様々です。

会によって、地元の企業様から協賛をいただくなど、積極的に地域を巻き込むよう働きかけています。過去には、100名以上超える方にご参加いただいた会もありました。今後も定期的に健康講座を企画し、積極的に地域に出ていくような活動を行っていく予定です。

水海道⑦栄養セミナー管理栄養士による栄養セミナーの様子

水海道⑧手術デモ
腰の手術のデモ。実際の器械の展示も行いました。

水海道⑨理学療法士
理学療法士による腰痛体操の様子。我々が前に出て実演を行いました。

これからの展望

少しずつではありますが、さくら病院は地域包括ケアの拠点病院として、形をつくりつつあります。
常総市は人口約6万人と小さな町で、人口も減少、という地域です。そのような地域は全国で今後ますます増えていきます。常総市にはさくら病院以外にも急性期病院、慢性期病院、精神科病院の計4つの病院があります。それぞれ規模としては中小病院ではありますが、幸いなことに機能がそれぞれ異なります。さくら病院が拠点となり、常総市の4病院がさらなる深い連携を行い、常総市ならびに近隣の住民の方が、安心して最後まで地域で暮らせるような、ある意味での街づくりをおこなっていければと考えています。

今後は、地域における最大の透析施設として、また新たな地域包括ケアの拠点になるべく、引き続きしっかりと目の前の患者様に医療提供を行いながら、一方で積極的に地域に仕掛けを行い、医療・介護を中心とした街づくりまで発展させていきたいと考えています。そしてさくら病院の事例を地方病院のひとつの成功モデルとして確立し、常総市だけでなく、日本全体へ発信していきたいと思います。

 

水海道さくら病院HP・医師募集要項

********************
水海道さくら病院の復興からの道筋と着実な歩みの先にある展望に触れ、どのような難局においても、医療機関の皆さんとともに、知恵を絞り精神力も体も使って前に進んでいくメディヴァのエネルギーの強さを改めて感じました。

医療界においても、新型コロナ対策の一環として、時限的な措置ではありますが、オンライン診療の初診解禁など画期的なできごとがありました。

物事の悪い面のみにとらわれ過ぎて足踏みすることなく、状況に合わせて対処し、ときに変化しながら、前に進み続ける力を私個人も身に着けていきたいと思います。