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メディヴァの人事ブログ
私たちの日常、仕事、仲間、価値観などを
理解していただくために綴るブログです。

2019年12月27日(金)

アホは褒め言葉か?

突然ですが、関西、大阪では「アホ」が褒め言葉として使われることが多々あるのはご存知でしょうか?辞書にはもちろんそのような用法は載っていません。

もしかしたら、私の育った地域だけ、私の交友関係の中だけという可能性もありますが、私は幼稚園から24歳までずっと大阪の学校に通い、関西各地の出身者とかなり広く濃い交友関係を持ったうえでそう感じているので、おそらく間違いないと思います。

「アホ」がどういう褒め言葉なのか?ですが、「人前でアホなことが出来る」ことによって人を笑わせることができる人間である、とか「アホになって手段を選ばず」すごいことを成し遂げる奴である、というような意味です。また、冴えたボケとか、並外れた成果など物事や行動を称賛するときにも使います。

「あいつアホやな~」というときには凄いことをやったことへの驚嘆や尊敬の雰囲気が入っており、「お前アホか」と言ったら、さっきのボケはなかなか冴えていたとか、そういった意味になったりします。

具体的な場面を思い浮かべてみると、
・全校生徒が集まる場で、舞台の上に立ってネタ(どちらかと言えば恥ずかしい姿)を披露して大受け。怒っている先生も思わず笑ってしまい放免される。
・スポーツの場などで一見おかしな服装、装備、練習方法でも良いと思ったら貫徹して一番を取る。
授業中に変な質問であっても自分が気になったら臆せずに発言して最終的には大事なポイントを浮き彫りにする。

といったような感じでしょうか。

おそらく、その背景には関西、大阪の、
(1)「ウケる」ことがとても高い価値を持つ
(2)(そのためには)自分を捨てることも厭わない
(3)常識や権威を馬鹿にする、疑う。実質を大事にする
といったカルチャーがあるのだと思います。

こんなことを固い言葉で、大真面目に説明しても面白くないし、完全に無粋なのだと思います。それでもこれを書こうと思ったのは、この3つが仕事においてとても価値がある、もしくはこの3つがないことが良い仕事をしたい、良い人間関係を作りたいときのマイナスになることが多いと感じているからです。私が面接において人を理解するときの視点としても、けっこう重視、重宝しています。3つを順番に説明してみます。

(1)「ウケる」について
仕事においても、人間関係においても、相手がどう受け止めるか、相手に価値を感じてもらえるかどうかはとても重要です。常に「何がウケるか」という視点を持った関西人、大阪人はこの点に長けている人が多いように思います。新商売、新ビジネスは大阪発が多いということが言われることもあります。逆に、こういう視点を持たない人は、相手にとっての価値よりも、自分が何をしたいかだけを考えたり、間違いや失敗を犯さないかを気にしたり、といったことになりがちです。それでは、価値のあること、効果の高いことを実現できないでしょう。

ここで一つ注意したほうがよいのは、相手にとっての価値を考えることと、相手の意向や気持ちを気にする、ということは一見似ていますが、実はかなり違うことを意味する場合が多いと思います。もちろん、人間の基本として、相手に配慮することは大事ですが、誰かの意向に沿うこと、気持ちを害さないことだけを基準にしてしまうと違った話になります。そうなってしまうと、ただ遠慮するだけ、ただビクビクするだけで価値のあるものを作り出すことができません。そうではなく、相手が喜ぶこと、相手にとって価値があることを基準として、自分の工夫や努力でそれを実現する、ということが重要だと思います。

面接でお話ししていて、ご自分の強みを「相手の気持ちがわかること」「相手の意図をくみ取れること」と説明される方はけっこう多いのですが、そのときに私はもう一歩踏み込んで、その方が相手の価値を基準として、自分でそれを実現しようとしている人なのか、トラブルを恐れているとか物事を円滑にすすめることだけを考えている人なのかを確かめるようにしています。

(2)自分を捨てることについて
自分を捨てる、といっても完全に捨てるのではなく、つまらないメンツにこだわらないとか、自分を落とすことによって相手に受け入れてもらいやすくなる、目の前の恥ずかしさを乗り越えて最終的な成果を得る、といった行動や心持ちなのだと思います。

さまざまな場面で、つまらないメンツや、目の前の恥ずかしさにこだわったり、成果を出せない、チャンスを逃しやすい人がたくさんいるように思います。これは過度に自分を守ろうして失敗を避けようとすることや、人からの見られ方を過剰に意識することが原因だと思います。そうなると未知のことにチャレンジすることを避けることにつながり、その結果として成果はもちろんですが、自分が成長するチャンスも逃してしまうように思います。

(3)常識にとらわれないことについて
もし他には無いような成果を得ようと思ったら、普通を超えた、常識の範囲を超えた方法が必要だと思います。ここで常識や権威(世のなかで正しいと言われていることなど)にとらわれることは大きなマイナスになるはずです。世の中にはどちらかというと「正当な知識と方法論を習得することで成果に近づく」と考える人が多いように見えます。正しい原理や知識を踏まえることは重要ですが、やはり発想の飛躍は必須だと思います。

常識にとらわれないでいれば必ず成果が出るというものでもないですが、価値を目指して枠をはみ出した様々なことを試してみることが成果につながることが多いと思います。
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いかがでしょうか。
ちなみに、大阪でダメだとされることは「カッコ付け」です。しかも、大したことがないのに勘違いしてカッコ付けることが一番カッコ悪いとされます。それは論外としても、勉強やスポーツや外見が秀でていることよりも、アホが出来るほうが称賛されます。

私は自分が大阪で生まれ育ったことは本当にラッキーだと思っています。アホを称賛する大阪の文化がとても好きですし、とても役に立つと思っています。24歳から約30年東京で働いてきて、それがプラスになったことのほうが圧倒的に多いと感じています。ただし、私などは、大阪水準で評価すればアホになり切れない、自分を捨てきれないほうだと思います。吹っ切れたアホに憧れてもいます。そして、これからまだまだ成長したいと思っています。

もし大阪で育つことによってそれらが身に付くもの、つまり後天的なものならば、大人になってから自分を変えていくことも可能だと思います。幼少期に自然と習得するより時間や手間はかかるかもしれませんが、不可能とは思えず、余計なおせっかいですが、多くの人がアホになれると良いと思いますし、アホを称賛する文化がもっと普及するといいな、とも思っています。

色々なことが何だか上手くいかないと思っている方で、もし必要以上にメンツや人目が気になったり、常識の枠から外れられないと感じている方がいれば、思い切ってアホなことをやってみて、身近にいる関西人、大阪人に称賛してもらえば、自分を変えることができるかもしれません。(岩崎克治)