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募集職種・エントリー

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メディヴァの人事ブログ
私たちの日常、仕事、仲間、価値観などを
理解していただくために綴るブログです。

2018年11月01日(木)

緊張と付き合う方法

面接で多くの方とお会いしますが、相当高い割合で緊張しておられます。また、相当高い割合で「人前で話すことが苦手で緊張する」とおっしゃいます。

私自身も確率通り、かしこまった場で緊張し、人前で話すときも緊張します。
なぜ緊張するのだろう、どうしたら緊張せずにいられるだろう?これは私にとって大きなテーマで、何十年かのあいだ考えて、色々なことを試し、対応について工夫してきました。

もしかしたら、こういったことが誰かの役に立つかもしれないと思い、人事ブログに書いてみることにしました。

私は当初、人には緊張する人と緊張しない人がいると思っていましたが、色々と知識が増えるにつれ、そうではないことが分かってきました。つまり、すべての人は緊張するのです。まさに目から鱗でした。

そもそも、緊張とは何でしょうか?

人は、何か脅威に出会い、恐怖や不安を感じたときに、心拍数が上がり、血液は筋肉に集中し、汗が出ます。

これは何百万年も前から、人が自然の中で猛獣など脅威に出合ったとき即座に戦う、逃げるなどするための身体の反応です。筋肉に血液を集中させて爆発的な力を出し、上がった体温を下げるために汗がでます。

このように、人間の身体はもともと緊張するように作られています。ついこの前(数百年くらい前?)まで、人が生き残るために必須の機能でした。

しかし、現代では普段の生活で猛獣が突然襲ってくることは無くなり、昔と違ったものが脅威と感じられるようになりました。昔とは違うものに対して脅威を感じて、同じような反応をしている、これが現代の緊張です。

問題は
(1)何に対して脅威を感じて緊張状態になるのか
(2)どれくらい緊張状態になるのか
この2つです。

(1)のなかで比較的昔に近いのは、クルマがこちらへ向かってすごいスピードで走ってくるとか、なぜか近くにいる人が殴りかかってくる、目の前の人が強く非難している、といったことで、これらには実態があります。

一方で、現代においては実態が無い、想像、予想上の脅威がたくさんあります。
例えば、
・プレゼンテーションに失敗して自分の評価が下がる予想
・仕事で評価が下がり、いずれ解雇される予想
・自分の考えを言うと、それを否定されて自分が傷つくという予想
・面接で正しい答え、高いレベルの考えなどを言えず不採用になる予想

こういったことです。
何かが目の前にあるわけではないのに、その行く先を予想して、それに対して脅威だと感じているのです。

上記のような予測上の脅威に対して緊張状態は合理的ではありません。プレゼンテーションを行うために、筋肉に血液を集中させてもあまり役に立ちません。

(2)については、脅威の大きさに左右されますが、同じ大きさの脅威だとしても、身体の反応の大きさに個人差があります。

そして、緊張状態が非常に強くなると普通の緊張を超えて、パニックになります。一般的な言葉でいえば「あがる」といった状態です。これが頻繁に現れると不安障害といった医療の対処が必要なものだと扱われます。

これらをもとに、緊張に対処する方法を考えてみると、医療の範疇を除けば結局2つに集約されます。

A 脅威の見積もり方を変える
B 脅威に対する身体の反応を変える
この2つです。

ーA 脅威の見積もり方を変えるー

クルマが向かってきたら即座に逃げなければいけませんので、この場合は見積もりも何もありません。見積もりが問題となるのは「予想上の脅威」です。この見積もりはだいたい経験則や信念などをもとに無意識に瞬時に行われています。
これが本当に正しいかどうかが一番の問題で、多くの場合は正しくありません。問題でないことを脅威だと思いこんだり、低い確率のことを必要以上に心配して大きな脅威と感じたり、ということがほとんどだと思います。

まずは、目の前で起こっていることが心配している結果となったとして、本当にそれが致命的な脅威なのかを考えることは有効です。

・このプレゼンテーションの失敗→評価が下がるという予想がその通りになったとしても致命的なことか?と考えます。評価が下がることは、良くないことかもしれませんが、正当な評価を得て、向上するために努力して、自分が成長することが出来れば、それほど悪いことではありません。

・高いレベルの考えを披露できず、不採用になるのではないかと予想したときには、自分のありのままを出して不採用になることは、より自分に合った他の所を探すことが出来るので、良いことかもしれない。

こういったことを考えます。

そして次に、冷静に確率や、最終的な脅威が起こる道筋などを分析して、「そういった問題はほとんど起こらない」と理解することが大事だと思います。風が吹けば桶屋が儲かる、という小話がありますが、本当にそうなる訳はないと皆さん理解しています。因果関係の確かさや確率から言って有り得ません。
多くの、脅威の予想はこのようなものだと私は思っています。

Aという事態が、Bを引き起こし、Cを引き起こし、Dという致命的な脅威に結びつく、という予想を無意識にしていると気付いたら、A→Bになる理屈は?本当にそうなる確率は?と考え、さらにB→C、C→Dと順番に考えていくと、A→Dというような理屈は非常に不確かで、起こるとしてもあまりにも少ない確率であると理解できると思います。

また、よくあるのは、人からの評価、評判が落ちることを脅威と捉えているケースです。ここにも冷静な光を当てることをお勧めします。多くの人は、人からの評判が落ちると自分の心が傷つきます。これが自動的に結びついている人が多いのですが、よく考えると、人が自分に対して何かを思っても、自分の実態は変りません。自分に対する自身の評価が、人の評価に影響されて変わっているのです。これは自分に対する評価を自分の基準で行っていないことが原因です。

自分への評価は自分で行う。人の意見は評価材料として取り入れて、より良い自分になるために活かしつつも自分が傷ついて落ち込む必要はない、と思ったほうが良いと思います。

さらに、この見積もりは、その後に自分が上手に対処できるかどうかによって、結果が変わってきます。多くの人は、面接やプレゼンが始まる前や、始まってすぐの時点で緊張しますが、ここで後に脅威が起こるかは、面接、プレゼンのときの対応を的確にすれば起こる確率が大きく下がります。
ですから、その対応に「上達」することに目を向けることも重要です。
上達すれば、結果が少しずつ向上し、それにつれて事前に脅威を見積もるときに、より小さく見積もれるようになります。

また、脅威の予想は結果に対する予想をもとにしていることがほとんどなので、うまく結果から目をそらして、目の前のことに集中することが出来れば緊張状態は避けるられます。簡単ではありませんが、出来るならかなり有効です。

こういったことを積み重ねていくと、緊張を引き起こす「脅威の見積もり」が小さくなり、結果として緊張のレベルが下がります。

ーB 脅威に対する身体の反応を変えるー

同じ大きさの脅威を感じたときの身体の反応を変えることが出来るでしょうか?

よく分からない部分も多いのですが、私が知っている範囲、試行錯誤した範囲で2つ確かだと思っていることがあります。

まず知識として、緊張しているときに身体の中に起こっている反応について説明します。

脅威を感じて、身体がそれに備えるときには、脳の指令により血液中にコルチゾール(ストレスホルモンなどと言われています)が副腎から放出されます。そしてコルチゾールが脳に達するとさらに脅威に敏感になる、という悪循環が始まります。

例えば、緊張状態が高まると音や視覚の変化に敏感になり、さらに脅威を感じやすくなります。

プレゼン中に緊張して、聴衆の表情変化に敏感になっているときに、一人が顔をしかめたりすると、さらに失敗の予想が高まり緊張します。コルチゾールの濃度がどんどん上がっていきます。

また、自分の緊張を自覚して、相手に察知された想像し、悪い結果の予想が高まり、さらに大きな脅威を感じます。

緊張が高まると、ノルアドレナリンやドーパミンなど神経に作用する物質が出て、頭の働きが鈍くなります。頭が真っ白と言われるような状態です。対応力が落ちることにより、さらに失敗の予想が高まっていく。。。

この悪循環を解消することが一つ目の話しです。
どうすれば悪循環を断ち切れるでしょうか?

身体にはこのストレスホルモンを分解して濃度を下げる機能もちゃんと備わっており、脅威が小さくなったと判断すると、今度は緊張が収まる方向に向かいます。いかに悪循環のさなかに、脅威が小さく感じられる状態を作るかが重要です。

まずは「すべての人は緊張する」ことをしっかり頭に入れておくことです。自分がいま緊張していることは、ごく普通のことであり、目の前にいる人も緊張している自分を見ても大して特別だと思わない、と考えましょう。実際に、少し緊張しているくらいのことで、人はそれほど厳しい評価を下しません。これだけで、悪循環にかなり歯止めがかかります。

さらに、表情に敏感になっている状態のときには、相手の表情を「脅威が少ない表情」つまり笑顔にすることが最も効果的です。聴衆を笑わせる、といった高級なことは普段でも難しいので、緊張状態のときに考えてはいけません。
頭が真っ白になったときは次に言うことが出てこず不自然な間が空いたり、言い間違えたり、資料を間違えたり、といったことが起こるので、これをネタにして「頭が真っ白になってます」と言うと、何人かの人は笑ってくれます。これはやさしさの現れです。人は人が困っていると優しくなります。

笑顔を見ることが出来ると、緊張状態が解消する方向へ向かう可能性があります。

その他にも、緊張の悪循環に歯止めをかける方法は色々と考えられます。いくつか自分なりに上手く行く方法を用意しておきましょう。

二つ目の話しは、脅威を感じたときにコルチゾールが出にくい体質を作ることです。
科学的に証明された方法は、心拍数を上げるような運動を定期的に行うことです。

コルチゾールは運動するときにも心拍数を上げる等のために放出されますが、定期的に運動を続けていると、身体が慣れてきて、必要以上にコルチゾールを出さないように変化します。そして、そうなるにつれて運動以外のときもコルチゾールの分泌量が減ることが研究で確かめられています。つまり緊張しにくい体質になります。

私は趣味がランニングなので、自らの体験からこれが事実であると感じています。
ーーー

以上が私の思う緊張への対処方法です。
いかがでしょうか。

緊張反応は現代では必要なくなった機能かもしれませんが、適度な緊張は、集中力や記憶力など脳のパフォーマンスを高めるとも言われています。人間の身体に組み込まれた仕組みなので、緊張を無くすことは出来ないと思いますが、うまく付き合えばマイナスを避けるだけではなく、プラスにすることも出来るはずです。

また、ごく普通の状況では必要なくても、イザというときには必要なものでしょうから、厄介扱いせずに「うまく付き合う」くらいの気持ちで捉えると良いと思います。

長くなりましたが、少しでも参考になれば幸いです。(岩崎克治)