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メディヴァの人事ブログ
私たちの日常、仕事、仲間、価値観などを
理解していただくために綴るブログです。

2017年07月13日(木)

就職活動をする皆さんへ伝えたいこと(後編)

前々回の人事ブログ(https://mediva.co.jp/recruiting/info/blog/968/)では、就職を検討するときにどのような会社を選ぶことが、その後の良いキャリアにつながるのか、について自分に実力が付くかどうかを判断基準にすることが大事だと私の考えをご説明しました。

では、実力は付けるとして、それだけで良いキャリアに結びつくでしょうか?実力を付けるのは何のためでしょう?仕事を失わず生計を立てるため?裕福な暮らしをするため?それらも大事でないとは言いませんが、それだけでは良いキャリアとは言えないと私は思います。

キャリアを重ねていった結果、「自分が何になるか?」「キャリアの先に何を達成したいか?」「世の中に何の貢献をしたのか?」といったあたりがとても大事だと思っています。

自然な実感としてそう思うのに加えて、採用活動の中で40代後半ー50代の方と話すことも多いのですが、そういったことを重視してこなかった方々は、何かが足りないという感覚を非常に強く持たれていることを感じます。「自分のキャリアは何のためだったのだろう?」という虚しさのようなものを抱えられている方が多いように感じます。

何歳であっても、仕事をする意義や、キャリアの意義を追求しようと思われることには賛同しますし、応援していますが、やはり時間が少なく、柔軟性も年齢とともに落ちてくるのが普通なので、大変であることは確かです。出来るだけ早い時期に、自分が何になるのか、何をテーマとしてキャリアを進めていくのかということが見えていたほうが良いということは言えるでしょう。

しかし、若いうちに見極めるほうが良いけれど、若いうちは見極めるのが難しい、というジレンマがあるように思います。そうであったとして、どうやって探求して見極めていけばよいでしょうか?その方法を考えてみたいと思います。

まず、キャリアの方向を定めるために決めていきたいことは、おおむね以下の2つだと思います。

(1)どのような人になりたいのか
(2)何をテーマとしたキャリアを歩みたいのか

(1)は、分かりやすいところで言えば、職種を定める、というようなイメージでしょうが、それだとなかなか本質的に良い見極めが出来ないだろうとおもいます。なぜなら、世の中で同じような職種と括られているものには、ずいぶんと質の異なるものが含まれていますし、逆に違う職種と括られているもの同士には、同じような質のものがある場合もあります。

例えば、「コンサルタント」と一括りにしたときにも、随分と質の異なるものを含んでしまいます。コンサルタントを定義するとしたらそれは「何らかの無形のアドバイスやサポートをすることでフィー(料金)を払ってもらう」という「取引の形態」を表すだけであり、どうやってアドバイスの内容を定めるか、という方法論や、クライアント(お客さん)へアドバイスを伝える方法や、成果を出すための形にも随分と幅があります。

古い話ですが、私がコンサルティング会社のマッキンゼーに新卒で入社したときに、コンサルタントには大きく2つの種類があると教えられました。一つは業界何十年という経験から業界の常識、一般知識をクライアントに伝授したり、経験則からアドバイスをしたりするコンサルタント。もう一つは、事実をつかみ、現在の状況や将来の方向性について分析をして、自分の頭で考えて答えを見つけることでクライアントに価値を提供するコンサルタントだ、と。さらに、新卒で前者のコンサルタントをやるのは無理だが、後者であれば能力と努力次第で早期にそういったコンサルタントになれる、ということを言われました。

このように、職種で(1)を規定するのは粗すぎるということが言えると思います。

ではどうすれば良いのか?というと、(1)をさらに、

a どのような立場、役割を果たしたいか
b どのような能力を発揮することで役割を果たすのか

ということに分解することで、答えをイメージしやすくなります。

先ほどの話で言えば、「コンサルタント」と定めるのではなく、aを「事業に大きな価値を加えられる戦略と計画をアドバイスする立場」、bを「事実を速く正確につかむ能力、分析する能力、戦略を立案する能力、成果を出すための実行プランを立てる能力」というように定めることです。

結果的にそれは経営コンサルタントという職種になるのでしょうが、同じ経営コンサルタントでも、中身が異なる場合には「この会社ではない」ということになるでしょう。
また、bであっても、aの立場を少し変えて、自らがリーダー(事業部長や経営者)となって事業を作ったり発展させたりするような立場に就くというようなバリエーションも有りえます。もちろん完全に同じ能力ではなく、少しずつ違うものが必要とされると思いますが、bを発揮したいということが重要であれば、このようにaのバリエーションを考えていけば選択肢は広がっていきます。

このようにして、自分がいずれ何になりたいのか、ということを定めると、ただ漠然と職種、業種などを見るよりも、的確にキャリアの選択肢を把握することが可能になるでしょう。

(2)の、キャリアのテーマとは、業界や業種や、もしかしたらもう少しざっくりとした分野をイメージされるかと思いますが、どれくらいの「粗さ」で見るかというのが重要です。例えば「医療」というのもテーマだと思いますが、それではやはり粗すぎると思います。

医療の中でも、誰に対してどのような貢献をしたいのか、というようなことを定めることによって、適切にテーマを設定することができると思います。例えば、医療を提供する医療機関を作って運営することによって、地域の患者さんの具体的な医療的な悩みや療養生活の課題を解消することに貢献したい、といったようなことです。医療の世界であっても、新しい薬の開発に携わることによって、いまは治らない病気の患者さんを長期的に救っていきたい、というようなこともあると思います。

【探求、見極めの基本的な考え方】

(1)a,b(2)とも見極めには、どのようなプロセスが必要でしょうか?以下、順番に説明していきたいと思います。基本的にはどれについても、
まず選択肢の広がりの把握→自分はどれを選びたいのかの把握、
という順番で探求していきます。

(1) a どのような立場、役割を果たしたいか

まずは、自分にとっての選択肢にはどのようなものがあるのかを把握したいところですが、このときにいきなり具体的な選択肢を列挙するのではなく、まずは少し大枠のレベルで定性的に分類して考えてみると良いと思います。

・リーダー的な立場?フォロワー的な立場?
・アドバイスをする立場?物事を決める立場?実行する立場?
・攻める立場?守る立場?
・変革をする立場?今の延長で物を仕上げていく立場?
・新しいことに取り組む立場?既存のものに取り組む立場?

などなど。

一つ気を付けた方が良いと思うのは、これらの立場は見方によっては「優劣」や「上下」があるようにも思えますが、実際にはどれも必要かつ重要であり、それぞれの適性や志向性に応じて役割を果たしていくことが大事だと思います。優劣とか上下というような見方には多分に世間からの評価や自分にとっての「べき論」というようなものが入りこみやすく、本当に自分にしっくりくるものを見極めるのが難しくなるように思います。

また、ご自分で考えるのが難しければ、社会経験が豊富で比較的客観的にものを見られるような人に助けてもらうというのも良いと思います。

そして、選択肢の広がりが見えてきたら、次に自分はどのような立場で仕事をしたいか?ということを以下のようなことを自分に問いかけて探っていきます。

・これまで、どのような立場でどのような役割をしているときに張り合いややりがい、喜び、楽しさを感じましたか?

・上のように感じる具体的な場面をいくつか思い浮かべたときにそれらに共通点はありますか?

・どのような立場、どのような役割に憧れますか?

・具体的に感銘を受ける人が思い浮かびますか?共通点はありますか?

このときにもやはり、あまり世間体や身近な人の価値観などに引っ張られないようにしたほうが良いと思います。

このようなプロセスを通じて、自分の志向が見えてくるのではないかと思います。

(1)b どのような能力を発揮することで役割を果たすのか

これも立場と同様に、まず選択肢の範囲を掴むために、定性的な大枠から分類していきます。

良く用いられる分類は、「ハードスキル」と「ソフトスキル」です。ハードスキルは具体的で体系だったもの、例えば数値分析やプログラミング、語学力、といったようなものです。ソフトスキルというのは、対人関係など、それほど体系だっておらず、人が個別的に考えたり、感覚的に判断して対応するようなものです。

もう一つ「メタスキル」というようなものを規定する場合もあります。これは一般的なスキルを統合したり、一段上からそれらのスキルを発揮するための能力というような意味合いです。例えば、ハードスキルが非常に優れていても、それを常に発揮したり、いざというときに集中して高い能力を出すなど、モチベーション維持や短時間でモードを切り替えたりするような能力はメタスキルだと言えるでしょう。

他の分類の切り口もいろいろ有り得ます。例えば、

・定型的なことをこなす能力
・非定型なことに(道を探りながら)取り組む能力
・手本となるものを改良、修正する能力
・ゼロから考えだす能力
・知識などをインプットする能力
・何かをアウトプットする能力

などです。もちろん他にも様々な切り口が有り得ます。

「能力」という言葉を聞くと、かなり大きなものを思い浮かべられるかもしれませんが、まずは小さな単位で考えてみることをお勧めします。

例えば、「会社の財務を理解して使いこなす力」「英語でビジネスの交渉をする力」というような単位ではなくて、「人の話を理解できる」「複雑なことを整理できる」「煩雑なことを根気よく出来る」「数字の大きさを実感できる」「人の名前を記憶できる」「分かりやすく物事を説明できる」「一見関係ないこと同士の共通点を見つけられる」などなど、もっとベーシックで小さなことを思い描くと探求が進むと思います。

こういった好きなこと、得意なことを思い浮かべて分類し、それらを組み合わせることが、最終的にはその人の能力となっていくのではないかと思います。

そして同様に以下のような自問自答をして、自分が発揮したい・磨きたい能力は何だろう?と探ります。

・これまで、どういった能力を発揮しているときにエキサイトしたり、幸せや心地よさなどプラスの感覚を得てきたでしょう?

・どのような能力を発揮しているときに自分が役に立てていると思いますか?自分に対する評価が上がるでしょうか?

・今は身についていなくても、どんな能力に憧れますか?

・能力についても、感銘を受けた人や職業を思い浮かべて、何か共通点はありますか?

(2)何をテーマとしたキャリアを歩みたいのか

これも、上の2つと同様に、まずは具体的なリストよりは、性質的なことに目を向けることをお勧めします。

「困っている人の役に立ちたい」「弱い立場の人の支えになりたい」「新しいものを世に送りだして、新しい生活様式を作りたい」「世の中が広く底上げされるようなことに貢献したい。」「効率的な仕組みによって物事が無駄なく進むことに貢献したい」といったことです。

具体的な姿はまだ見えなくても、本質的な捉え方、表現方法をとって、取り組みたいテーマの性質は何なのか?ということをまず考えることが重要です。

そして、ここでも、定性的な選択肢の姿が見えてきたところで、自分は何をテーマにしたいのだろうか?と以下のような自問自答によって探って聞きます。

・そのテーマについて考えたときに、次々とやることが頭に浮かんでくるようなものはなにか?

・そのテーマを目的と据えたときには、そのためなら何をやるにも苦にならないというようなことはあるか?

・長く同じテーマに取り組んでも「飽きないだろう」と思えるだろうか?

・どういうテーマに取り組んでいる自分であればプライドを持てるだろうか?

端的に言えば、「寝ても覚めても」そのことを考えている、いくらでも続けていられる、というようなことはあるだろうか?というようなことです。
最後のプライドに関するところは少し注意が必要です。ここでも世間体のようなものや、自分がその人の意向を気にしてしまう人の価値観のようなものが入る余地がかなりあります。そこに注意しつつ、純粋に自分が胸を張れるものであれば良いのではないかと思います。
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こういったことはすべて自分の中に既にあることですが、改めて落ち着いて振り返ってみると、これまで見えてこなかったことが見えてくると思います。

そして、具体的な選択について考えるのは、そのあとです。つまり、

・自分が果たしたい役割
・自分が発揮したい・開拓したい能力
・自分がテーマとしたいこと

の3つについて、より本質的なところで自分の志向を把握したところで、具体的な仕事や会社、業界などを吟味していきます。

これによって、具体的な選択肢について興味があるのか、無いのかを、その理由を意識した形で答えることが出来るようになると思います。

また、「どれもまだピンとこない」場合などは、未知の選択肢を探しにいき、そのとき目の前に現れたものが「探しているもの」なのかどうかを判断していってほしいと思います。

【探求、見極めを実践するうえでのポイント】

なりたい自分やキャリアのテーマを探求するうえで気を付けた方が良いことがいくつか私の頭にあります。

実は、上に書いたようことを考えている人は多くいると思いますが、リアルに思い描いて、本当に自分の志向を見極められているか?ということです。言葉の上で良さそうとか、かすかに憧れる、あるいは人に言ったときに聞こえが良い(面接でも打ち出しやすい)といった意識で考えていることがないか?ということをチェックしてほしいと思います。

本当に生涯追いかけるテーマや、続けたいこと(役割を果たすこと、能力の発揮など)は、思い描いたときに自分の中で感じるものの強さが違うはずです。

ただし、なかなかそこまで強く思い入れられるテーマを持つ人は少なく、さらにそれが無いことについて思い悩んでいる人も多くおられるように思います。特に若い時期はなおさらそうだと思います。

そんな時は逆に、あまり思い詰めずに、暫定的なテーマを決めて、数年単位で取り組んでいくことも有効だと思います。一生のテーマを決められずに膠着状態に陥るよりは、まずは追いかけるものを決めて走ってみて、しばらく走ればまた違う風景が見えて来ることを期待し、そこで見えたものをもとに再度テーマ設定や自分の果たしたい立場について探求を行う、というような感じです。

もしかしたら、そうやって何段階かに分けてテーマや開拓する能力などを捉まえていく、というやり方のほうが良い方法なのかもしれません。少なくとも確信の薄い一つのテーマに固執して後から間違ったと思うよりは結果が良い可能性は高いように思います。むしろ、これからの時代はそのようにしたほうが良い、という可能性も高いと思いますし、これが「自分の意志と努力によって、自分にあったキャリアを創っていく」ことではないかと思います。

最後に、これらを実践するうえで、現実的なアドバイスが二つあります。一つは「有言実行」ということです。まだ抽象的な段階であっても、自分はこんな人になりたい、こんなことをやりたい、ということを周りの人に話すことで、様々なアイディアや候補が周りの人からもたらされることが期待できます。普通はこういったことを公言するのは躊躇されると思いますが、それだけにこれまでやらなかったことを思い切ってすることで、チャンスがこれまで以上に広がるように思います。これまでそのようにして、自分でも思っていなかったチャンスを掴んだ人を何人も見てきました。

もう一つはよくここでも書いていることですが、前回と今回書いたことは、自分ひとりで実践するのはかなり難しく、ディスカッション・パートナーというような人がいた方がうまくいくと思います。特別な人ではなく、身近な友人や家族でも良いと思います。

もしメディヴァに応募をいただいた方であれば、私が面接の時間の範囲でディスカッション・パートナーを務められると思います。その時はぜひ一緒に未来について話をしましょう。(岩崎克治)