物事の達成確率を上げる一つの視点

Pocket

若い頃に、ある世界的企業の経営陣にいた方から聞いて以来ずっと頭にあり、いまでも私の土台の一つになっている話しがあります。

聞いた話しというのは、
「開発で目標とする数値は他社に決して明かしてはいけない」
ということです。

世界で熾烈な開発競争をしているメーカーにとって、開発内容が企業秘密であることは当然ですが、開発の内容や新しい機能、技術の中身、ということではなくて、一般的な性能を表す一つの数値が絶対的な機密だということでした。

理由は、他社が「〇〇社の目標が△△だ」と知ってしまうと、その目標が達成可能、少なくとも〇〇社は可能と判断していると分かってしまう。そうなると、達成されてしまう確率がグッと上がり、場合によっては逆転されてしまうこともあるというのです。

出来るか出来ないか分からずに開発を進めるのと、達成可能だと分かっていて開発を進めるのでは、開発のやり方や開発者の士気など、随所に違いが出てきて、できる・できないに決定的な違いが出てしまうということでした。

そのとき私が思ったことは、「へえ。すごいもんだな」ということと「自分がひょっとして世界的競争をすることになったら気を付けよう」という程度で呑気なものでした。

しかし、しばらくして大事なことに気付きました。「熾烈な世界的な競争」とは関係なく、「達成可能だとわかると達成の確率が上がる」ということが誰にとっても非常に重要であるということです。名だたる企業の開発競争でなくても、個人の狭い範囲の目標であっても全く同じではないか?

達成できるのだとなれば、あとは「どうやって」やるか、それを実行するか・しないか、ということになります。「何をすれば達成できる?」と考えるにしても、道は必ずあると思いながら進めると、行き詰まりそうになった時に「このやり方はダメそうだけど、他のやり方があるはずだ」と頭が動き、逆にそうでなければ「出来なそうだからやめようかな」という考えに傾きやすくなると思います。

それから何十年か経っていますが、この考え方に随分と助けられてきたと思います。思い返すと自分だけではなく、子供たちにもその考えを伝えてきて、世代を跨いでその恩恵を受けているように思います。

考えてみれば、私たちが普段目指していることは、世界を見渡せば誰かが達成していることがほとんどだと思います。ですから「人間にとって達成可能か?」という問いであればほとんどがYESです。どうやったら達成できるかもある程度は情報があることが多いと思います。

前例がないテーマでは、「達成可能である」と言い切るのは多少難しいですが、前例があろうがなかろうが、これから自分が達成できるか?は不確定で、自分を納得させて頭の中に「達成可能」とフラグを立てているだけです。先の開発競争の例でも、〇〇社の数値目標を知ることで、「達成可能」というフラグが立っているだけで、完全な根拠ではありません。

大事なことは、できるかぎり達成可能と思える根拠を探して自分を納得させることだろうと思います。例えば、他の業界に似たようなことがあるか?ビジネスでない分野ではどうか?と世の中から事例を探し難易度を推測できれば、「これくらいは達成可能である」と思い込めるでしょう。手に入る事例を使って論理的に納得することが一つのコツだろうと思います。

「達成できる」と思った時と思わなかった時、両方を並行して試すことは出来ないので、厳密に証明することは無理なのですが、世界的企業での実践的な教えや、上に書いたような理屈、私の経験してきた感覚に照らし合わせると可能性が上がることは確かだと思います。

面接でお話ししていると、チャレンジしたいことがあるけど無意識に「たぶん無理だろう」という前提で考えている方がかなりおられます。そう感じた時にこの話をすることがありますので、人事ブログにも書いてみようと思いました。何かの参考になれば幸いです。(岩崎克治)

Pocket

タイトルとURLをコピーしました