Menu

精神科病院・クリニック経営コンサルティングサービス

お問い合わせ
TEL:03-6684-6977

03-6684-6977

CONTACT

~精神科一刀両断~ 精神科病院・クリニック経営コンサルティング ブログ

第1回(「630調査」をみてみよう!その1)

2017年10月02日(月)

 

(本カテゴリーについて)
このコーナーでは、各種統計データを独自の視点で分析し精神科医療の現状と将来についての洞察を得ることを目指します。

 

(今回のテーマ)
今回は、「精神保健福祉資料」いわゆる「630調査」を取り上げます。
「630調査」は、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課が実施している、精神科病院、精神科診療所等、精神障害者社会復帰施設等、精神科デイ・ケア等、精神科訪問看護、都道府県等の関連事務の現況に関する資料です。
直近の調査結果は平成27年6月30日付けのものです(概算値)。

 

(過去3年間の回答率)
直近の回答率を見ますと、平成25年98.2%、平成26年97.3%、平成27年93.8%と低下傾向にあります。
しかし、依然として90%超の高い回答率であり、精神科医療の現状を把握するのに有益なデータが収集されていますので、このデータを分析することで精神科医療の実像が浮き彫りにできると思います。

 

(精神科病院数・病床数・病棟数の推移(注意点))
早速、データを見てみますが、留意点があります。
精神科病院の全体観を把握するため、病院数、病床数等の推移を調べてみたいのですが、
【図1】を見て下さい。H26年、H27年と病院数が激減しています。単科精神科病院がH25-H26で▲13件、H26-H27で▲39件と、明らかに異常値が出ています。

 

 

これは、回答施設数が減少しているためであり、注意が必要な点です。病院数、病床数等の推移については医療施設調査を見る必要があります。
医療施設調査によれば、精神科病院数は【図2-1,2-2】のような結果となっており、H23年以降減少傾向にあることがわかります。

 

 

また、精神病床数も減少し続けていることがわかります【図3-1,3-2】。

 

 

(注: 図2,3いずれも「医療施設(動態)調査」(3年毎に実施)のデータ。H27の直近値があるため、H26-H27間のみ1年間の数値)

 

(稼働率)
「630調査」にもどり、稼働率をみてみます【図4】。

 

 

 

H23年以降、減少の一途を辿っています。H23-H27の4年間で2.6%減少しています。
精神科の施設数(病院数、病床数)が減少しているにもかかわらず、稼働率も低下している状況です。
これは、供給を上回るペースで需要の減少が進んでいることの現れと捉えられます。
従って、精神科病院および病床数の減少は、これからさらに進むことが予想されます。

 

今後、複数回にわたり「630調査」と関連データをもとに、精神科の実態を分析して行きたいと思います。

 

以上

精神科領域の全体観について

2017年03月06日(月)

【本ブログについて】

このブログでは、精神科領域の政策動向や各種トレンドの情報、私たちが実践の中から得た知見など、精神科医療機関とその周辺領域の運営に役立つ情報を発信して参ります。

今回は直近の精神科領域の全体観を取り上げたいと思います。

【精神科とその周辺で発生している主な出来事】

現在、精神科の領域では以下のような状況が生じています。

既存の長期入院患者の高齢化や精神科薬の向上により精神科の入院患者数は減少しています。一方で、日本はOECD諸国と比較し病床数が多く、その数もあまり減少して来ませんでした。

一般病床では、地域包括ケアシステムの構築が進められ、これらを背景に平均在院日数も短縮しています。精神科病床でも平均在院日数は短縮しており、全国平均では300日を切っています。

【精神科病院における各種政策動向】

直近の政策動向を見ますと、精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築が進められつつあることがわかります。

これに基づいて地域における精神科病院間の役割分担と、自院の医療機能の明確化が求められます。

具体的には統合失調症、認知症、児童・思春期精神疾患、精神科救急、身体合併症、自殺未遂、うつ、PTSD、依存症、てんかん、高次脳機能障害、摂食障害、災害医療、医療観察、についての役割分担が求められています。

また、1年以上の長期入院患者は「重度かつ慢性」の基準で選別され、該当しない者(1年以上の長期入院患者の約40%が該当するとされる)の地域移行がさらに促進される見込みです。

さらに、1年以内の早期退院率の向上が求められつつあります。あらたな長期入院患者の発生を極力抑えようという流れです。

【精神科病院に求められる対応】

まず早急な対応を要することとして自院の「重度かつ慢性」患者数の把握と、「重度かつ慢性」に該当しない患者への対応を検討することが求められます。

例えば認知症対応力の強化や身体合併症対応の強化など、短期(1年以内)での退院を想定した患者への対応をどうするか考える必要があります。

一般急性期病院、総合病院においても精神科疾患を持つ患者の対応は必須ですが、急性期後の対応に課題があります。これらの病院との連携強化を進める必要があります。

上記のほか、デイケア、訪問看護、アウトリーチ等の拡充、リハビリ機能の強化などを検討して行く必要があります。

今後も精神科医療機関の運営に役立つ情報を発信して参りますので、ご期待下さい。

精神科チーム 小塚正一