医療経済を斬る【大石代表ブログ】|MEDIVA

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メディヴァ代表大石佳能子による連載コラム | 医療経済を斬る

大病院のコンサル案件が増えています

2017.03.16

メディヴァというと、クリニックの開業や在宅医療、中小病院の再生のイメージがありますが、昨今、地域中核病院クラスの大病院からお仕事を依頼されるケースが急に増えています。従来、大病院は経営が安泰で、DPC分析やBSC作りぐらいしか、コンサルタント会社に用はなかったようです。メディヴァはどちらかというと「本気で変えたい!」という病院がお客様なので、ほとんど声は掛かりませんでした。それが最近、急に大病院の案件が増えています。

これは2014年、2016年の診療報酬改定の影響で、大病院であったとしても経営が厳しくなってきたからかもしれません。また今はまだ経営が厳しくない場合も、地域が高齢化するなか、将来の患者減を恐れる病院や、次の世代への交替に備えて組織づくりのニーズに駆られている病院もあります。「地域の雄」と言われる病院でも、数十年後は無くなるかもしれない、という焦りを抱えているケースにも遭遇します。

大病院は中小病院に比べて、患者もスタッフも集めやすいという強みを持ちますが、組織内で反対に何が起こっているか把握しにくく、結果的に打ち手が後手に回るリスクも内在しています。

私たちは、最近「まずい」状態をクイックに診断するポイントがあるのではないか、と思っています。例えば、下記のようなものです。

①健診センターで見つかった患者さんの外部流出
この現象は、多くの病院で見つかります。健診を受けていただいた受診者はその病院に何らかの興味を持っているはずで、せっかく疾患が見つかったのに、本院と連携が出来ておらず、外部で精密検査や治療を受けてしまうのは非常に勿体ないことです。このような状況は部門間の壁や、それぞれが病院全体のミッションを理解して活動していないことを示唆します。

②入院患者の重症度をあげた結果、稼働が落ちた
7対1の重症度確保はどの病院でも重要なテーマですが、実行するなら新規患者受入強化を同時にするべきです。このような現象は、各部門が目先のことしか見えないで機械的に仕事していることを示唆します。

③人件費が経年で右肩上がりに増えていること
人件費のコントロールができていない原因は、適切な人員配置、ワークフローが把握されておらず、部署別にむやみに採用していることや、目的や結果を考えないで給料がいつまでも増え続けるような制度を導入していることに起因します。いずれも必要なマネジメント能力の欠如を示唆します。

④物品の数が多く、コスト高になっていること
物品の統一化が徹底されず、多品種少量消費になっています。病院の経営全体がどんぶり勘定になっていることを示唆します。

⑤グループ内介護施設が赤字、もしくは本院と連携が取れていない
世の中の流れに乗って、何となく介護施設を始めたが、目的が理解されていないケースが多いです。惰性で運営されて、管理が適当で、十分な人材配置もされていません。これから重要な事業なので、新たな収益機会を生む力が低いことを示唆します。 介護分野以外にも、採算性や必要性が低いのに続けている事業が存在していることもあります。

⑥重要な課題についての基本方針や戦略がない
急性期病院の場合、下記の注力分野の議論が欲しいのですが、それが存在していません。
  (1)救急領域(救命救急、脳血管疾患、心血管疾患対応)
  (2)予定手術(癌、心臓血管外科、整形外科等)
  (3)内科系重点疾患(重症肺炎、重症糖尿病等)
基本方針や戦略「らしきもの」はありますが、客観的な事実に基づいて、オプションが評価された結果のものではなく、また現場の具体的なアクションにまで落とし込めていません。

⑦意思決定プロセスが不明瞭
今まで地域でのナンバーワン病院として「勝ってきた」ので、改めて意思決定が必要な時、そのプロセスが不明確で、結果的に重要な決断がされなかったり、間違えたりします。

一般の企業であれば、こういう課題を解決するのは「経営企画室」の機能です。事業環境が厳しくなると客観的に分析し、その結果に基づいて方向性を決める必要があります。その機能を経営企画室が正しく担っているか、また方向性を実現するために現場まで降りて行って、説得、実行のところまで手掛けているか、がポイントとなります。

メディヴァは経営企画室の支援、代行、教育のために呼ばれます。よく依頼されるテーマは、グループ戦略再構築(戦略分野の選択と集中) 、施設基準確保、稼働率向上に向けた組織改革、回復期(回復期リハ、地域包括ケア)・療養・介護分野等の改革と改善、周辺事業(健診、介護)と本院との連携などです。

これらのテーマは、大規模施設運営~クリニック運営、急性期~回復期~慢性期~在宅までの多様な課題に対応しなくてはならず、今まで急性期病院以外の分野でも戦略から運営まで手掛けてきた当社の経験が活きます。

創業者であるカリスマ経営者とお話をするのは緊張しますが、楽しく勉強になります。地域中核病院の力が落ちることは、地域医療の危機に繋がります。地域医療全体を考えた戦略の策定や実行に取り組む気概でプロジェクトに臨んでいます。

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