コラム

2020.04.21 インタビュー

「医業承継」を円滑に進めるためのテキスト

「医業承継の教科書〈親族間承継・M&Aの手法と事例〉」著者小松インタビュー前編

2020年3月、当社メディヴァの取締役小松が「医業承継の教科書〈親族間承継・M&Aの手法と事例〉」を出版しました。本書では、医業承継で大事にしたい考え方や事例はもちろん、弁護士や税理士の先生の協力も得て法律・税務のポイントにも触れているため、医業承継を考えている医師にとっては売り手・買い手側ともに役立てていただける内容となっています。当記事では、医業承継の本を書いたきっかけやその背景について、小松の話をまとめました。

 

きっかけは医業承継のご相談が増えたこと

「医業承継の教科書」を書かせていただいたきっかけは、これまで診療所の開業支援や経営コンサルティングを行ってきた当社メディヴァでも医業承継に関するご相談が非常に増えてきたからです。

最近では、これまで「株式会社」を対象としてきたM&A専門の企業が、医療法人やクリニックの承継も扱うようになってきています。こうしたM&Aの事業では、一般的にはプロセスに注力し、話をまとめることに重きを置く傾向があります。しかしそれは、医療界を中心に活動してきた私たちからすると、やや強引な印象を受けました。

「医業承継」には一般のM&Aと異なる留意点があるのはもちろん、理念や大義、基本的な考え方などを伝えることも必要だと感じたため、本を書くことにしました。

 

医業承継が円滑に進むよう、基本的なプロセスや考え方を伝えたい

実際に理事長や院長の先生方と話をすると、売り手買い手の双方がM&Aや医業承継に不慣れです。M&Aや承継に関する基本的なプロセスや考え方が共有されていないため、話がまとまらないケースも散見されています。

客観的に見れば、この程度の条件でまとめてこの先生に引き渡されればその地域としても良さそうだと思える案件も、両先生の前提や知識量の違いで話がずれてしまうことがあります。

たとえば25年前に建てたクリニックを「建てるときにこれだけの金額かかったから、最低でもその額で売りたい」とおっしゃる先生や、利益が十分に取れない経営状態にもかかわらず「売上がこの額だからM&Aするなら同等の額の価値があるんだ」とおっしゃる先生がいます。

心情は理解できるのですが、間違った知識をもとに話を進めてしまうため、実際の相場価格にご納得いただけず、話をまとめるのが難しくなってしまう。その結果「誰もわかってくれない」と自暴自棄になり、承継先が見つからないまま病院を閉じてしまうことが起こりえます。

でも、このようなケースでも、その病院や診療所に「価値がない」のではなく「相応の価値がある」ことを、私たちとしてもきちんと伝えていきたい。その「相応の価値」とは何なのか、医業承継の基本的な考え方や交渉方法を知ってもらいたいこれを体系立ててまとめたものが、今回の書籍です。

基準となるテキストが1冊あると、それがお互いの共通認識になるため、話が進めやすくなるかなと思います。

 

弁護士・会計士との共著で法律や税務に関する知識も網羅

私は、これまでも医業承継に関する本を出したり、インタビューを受けたりしてきましたが、おもにプロセスというより戦略的な観点をメインにしたものでした。

でも、医業承継では、法律や税務に配慮をしていかないと最後の最後で問題になることも多々あります。そのため、今回の本では、これまで医業承継の案件を何件かご一緒してきた弁護士・税理士の方に相談をして執筆を進めてきました。

また、今回は「医業承継」の定義も少し広げました。当初は親子間や医療法人同士など「承継」と聞いて思い浮かべるオーソドックスなものを中心に扱う予定でしたが、同一法人内で院長が変わるケースも承継の一つとして取り上げています。

医業承継というと、資産価値をいかに高くしてM&Aをするかということに焦点があたりがちですが、お金の話とは別に、院長やオーナーが変わると組織が変わり、理念や組織のマネジメントなどを引き継いでいかなければならない。こういうことにも触れていかなければならないと思ったのです。

 

医業承継に必要な考え方や知識が詰まった一冊

この記事では、小松が「医業承継の教科書」を書いたきっかけやその背景、日頃医業承継のご相談に携わりながら感じていたことについてご紹介しました。

医師の方にとって普段馴染みのないM&Aの考え方や、法律・税務などの知識など、医業承継に必要な知識がぎゅっと詰まった一冊になっておりますので、医業承継をお考えの方にはぜひ手にとっていただければと思います。

インタビュー後編では「医業承継の教科書」の活用方法について、小松の話をまとめています。こちらもぜひ合わせてご覧ください。

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