コラム

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2019.12.06 インタビュー

すべては「地域」そして「住民」のため——メディヴァが目指す医業承継の在り方とは

株式会社メディヴァ取締役・小松大介インタビュー後編

2000年の創業から数多の医療機関のコンサルティングをしてきたノウハウとネットワークを生かし、医業承継(M&A)の領域に踏み込んだ株式会社メディヴァ。医業承継のアドバイスや支援を行う背景には、地域の医療を救いたいという熱い思いがありました。メディヴァ取締役小松のインタビュー後編では、メディヴァが目指す医業承継のあり方や、その先にある地域医療について、さらに詳しく話を聞いてきました。

 

医療が必要とされる地域に医師と病院を

医療機関の不足が叫ばれている地域は、全国的に存在しています。

たとえば東京近郊でも、神奈川県の横須賀、足柄、箱根などは医師や病院が足りないと言われています。また、福井県や福島県など全体的にそういった傾向のある県、北海道・福岡・沖縄など観光地や中核市街地以外のエリアで課題を抱えている県などもあります。

メディヴァでは、「医業承継(M&A)事業」を「地域医療創生事業」のひとつとして紹介しています。それは「地域の医療を継続させ、その結果地域を再発展させる」ための手段として医業承継を考えているからだそう。

 

小松:M&Aの事業を通して「医療が必要とされる地域に対して誠実にドクターを連れていく」ということを実現させたいんです。

「お金の多寡にかかわらず」と言うと大げさですけど…採算性を意識しながらも、必要なところに必要な先生を連れていくことで地域が復活していくのを見たいんです。

 

「プロとしての経験」と「誠実な対応」が信頼の理由

メディヴァが医業承継の事業を行う上で大事にしているのは、「プロフェッショナルであること」そして「誠実であること」。

依頼をしてくださる譲渡元・譲渡先の先生や金融機関にプロとしての支援ができるよう、彼らが知らない知識や経験、考え方を常に持っているべきだと小松は話します。

 

小松:いくらお客さんが「これが正しい」「これをこう売りたい」「こう買ってくれ」と言っていても、違うことは違うと、プロフェッショナルとしてのアドバイスをしていくことを大事にしています。

また、自分たちのことを一番に考えるのではなくて、お客様や地域のことを真摯に考えた結果「今回弊社の仕事にはならないが先生にはこっちのほうが良いんじゃないか」というのも誠実にお伝えするようにしています。

 

メディヴァのコンサルタントは「現状のまま承継しても良い結果にならない」と判断した場合、まずは事業を縮小して経営を立て直してから承継のプランを立てるなど、先方の希望とは少し違う選択肢を提示することもあります。

小松は、医療承継のパートナーとしてメディヴァが選ばれる理由について、M&Aという枠組みを超えた医療機関のコンサルティングができるからではないか、と話します。

 

小松「医療がわかっている」「地域ニーズを見ている」「マッチングすることにおいて良心的かつ戦略的に考えている」この3つの理由より、金融機関から安心して任せられる存在だと認識しているのではないかと思います。

また、売り手買い手からは「経営がわかっている」「M&Aやマッチング命ではない」ところも信頼していただいていると思います。合わないと思えば「やらない方がいい」というアドバイスもしています。

 

支援したいのは利他の精神「地域、住民、医療のため」

医療承継を行いたいと考える人の中には、単純に「高く売れればいい」「安く仕入れればいい」、そしてその後「儲かればいい」という人も多くいます。

もちろんビジネスとしての利益や採算性をある程度重視する必要はありますが、単純にそれのみよりも「地域の人たちを救うためにこうしたい」という思いがある人を支援したい、というのがメディヴァの方針です。

 

小松「患者さんのため」「住民のため」「地域のため」に「医療を継続しなくてはいけない」というような言葉が先に出てくる先生のほうが、譲渡するされるどちらの立場でも、相性は良いんだろうなと思います。

譲渡する立場で「お金がほしい」から、あと面倒な情報を色々と隠しながらとりあえず高く売りきってしまおうとしている人も一部いるので、そういうのは基本的に受けたくないですね。

買い手側に関しても同じですね。「医療のことは理解しなくていいから、いくら投資したらいくら儲かるかだけ教えてほしい」とか、「医者なんて金次第だ」みたいなことをおっしゃる人たちとは、ちょっとお付き合いするのが難しいかもしれません。

 

茨城の被災した病院を救った!買い手の譲渡後を支えたエピソード

病院の規模が大きくて、譲渡金額が高く、好立地で好条件——成功が確約されたような譲渡案件は、誰もが携わりたいと思うもの。

しかし小松は、地域医療の存続にかかわるような難易度の高い案件に必死で取り組み、実現できたときにこそ、この仕事の喜びを味わうことができると言います。

医療承継のコンサルティングを行う中で、特に印象に残っているエピソードについて聞きました。

 

小松:茨城の地方病院が被災してしまったときのことです。

ちょうど承継が行われた後に、洪水で建物の1階が浸水してしまいました。

そういうのを見捨ててしまうタイプのオーナーも多いので、僕も「この病院終わりだな」と一度は思いました。患者さんたちも一時は全員いなくなり、お金も何億もなくなって、潰れてしまっても仕方がない状況でした。

それでも「やっぱりやろうよ」と毎日訪問してスタッフを盛り上げ、どんどん施設を立て直していくと、地元の患者さんがお金を持って「なんとか助けてくれ」とか「少しでも足しにしてくれ」とか言って来てくださる。そういうことがあってですね。

M&Aそのもののサポートももちろんですが、M&Aしたのちに買い手側をしっかり支えてきたことで、医療機関が危機的な状況を乗り越えられたと…こういうことを続けないといけないんじゃないかというのは強く思っています。

 

高額案件でなくても「成り立つ仕組み」を作りたい

ビジネスとして医療承継を行う以上、効率的で双方に負担の少ないビジネスモデルを確立させることが必要です。今後小松は、「オープンで多少抑えた報酬であっても成り立つ仕組み」を作ることに注力していきたいと話します。

 

小松:本来、地方で片道4時間以上かかるようなところに、案件化するかどうかもわからない状態で営業に行くのはナンセンスです。

でも、それをやっても成り立つ仕組みをこの事業のなかで何とか作らなきゃいけないと思っています。

それを実現できれば、当社だけが「地域の医療を変えられる、支えられる」というポジションになる。そのためにいくつかの企画を同時進行で進めていて、何とかそれを形にしようと思っているところです。

 

M&Aの報酬は、譲渡額のうちの数パーセントとする場合がほとんど。大規模な病院の承継だと譲渡額も高額になるため、仮に手数料が数パーセントでもビジネスとして十分な利益が見込めます。

ところが、小規模な病院や診療所、クリニックの案件となると、手数料も少額となってしまい、ビジネスとして成り立たせるにはギリギリのライン。地方の案件では、利益がほとんど出ないような規模の案件も多数あります。

場所によっては交通宿泊費と人件費の方が高額となってしまうケースもあります。10回訪問した後に白紙となり、全部持ち出しになってしまうケースもあったそう。

 

小松:お金が回らないとビジネスにならないし、自分たちも食べていかないといけない。

ただそれを「利益を出せる規模の仕事しかしません」と言うのではなくて、大規模な仕事も受けつつ「譲渡額が少額でも何とか成り立ちます」と言えるようにしなければならないと思っています。

大規模な案件を複数件持っていたら何件かなくなってしまってもやっていけるけど、ほとんど利益の出ない案件ばかりではそれはできない。できないけど誰もやらないからそこが取り残されて、今の仕組みの市場原理に負けて、僻地で困っている先生を救えなくなってしまう。

「せっかく医師になったのだから地域に行って村を支えたい」っていう先生もいるのに、なかなかつながらないんです。地方の病院と思いのある先生をつなげていける仕組みを作りたいんですよね。

 

地域の医療を救う手段としての「医業承継」

メディヴァにとって、医業承継はあくまで「地域の医療を救う」手段のひとつにすぎません。「地域のため」「その地域の住民のため」に必要な医療が提供されること、そしてそれを実現するシステムを模索し続けることこそが、メディヴァのミッションです。

メディヴァが創業当時から培ってきた医療機関経営のノウハウとネットワークを使えば、譲渡する側、引き継ぐ側はもちろん、その地域や住民にとって最適な形で医療承継を行うことができると言えるでしょう。

 

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