コラム

2019.11.27 ノウハウ

診療所M&Aを円滑に進めるには?売主にとって大切なポイント3点を解説

メディヴァでは、医療機関の経営コンサルティングに加え、M&A(医療承継)の支援も行っています。実際に診療所やクリニックの医療機関でM&Aを行う場合、どのような点に気をつけたら良いのでしょうか。本記事では、おもに譲渡する側の立場から、診療所のM&Aを円滑に進めるために意識するべきポイントをお伝えします。

 

診療所M&Aはなぜ増加したのか?その背景と実情

現代では、診療所に勤務している医師の高齢化が進んでいます。2016年の医師・歯科医師・薬剤師調査(厚生労働省)によれば、診療所に勤める医師の平均年齢は59.6歳で、そのうち60歳を越える医師は全国に5万人弱。そのため、自身の引退タイミングや診療所の今後において意思決定を迫られている医師も多く存在しています。

 

第三者承継が現実的な選択肢に

診療所の院長が引退する際の選択肢としては、一般的に下記の3つがあります。

  1. 親子・親族間での承継
  2. 診療所の廃止
  3. 第三者承継(M&A)

診療所を引き継ぐ側は、医師免許を持っている必要があります。しかし、ご子息が医師ではない、またはお子さんがいらっしゃらないケースも多々。また、ご子息や親族に医師がいても、本人が家業を継ぎたくない、経営者になることを望まないというケースも散見されます。

そのため、親子間での承継がかなわず、診療所の廃業を選択するパターンも増えてきました。2015年10月から2016年9月までの1年間で、6,361箇所もの診療所が廃止になったというデータもあります(厚生労働省・医療施設調査より)。

そこで、診療所を継続させるための選択肢として、第三者承継(M&A)が見直されています。第三者承継では、個人で承継希望者を探すほか、金融機関やM&A事業の専門会社などに相談することもあります。

 

売主が診療所M&Aを成功させるために必要な3つのこと 

M&Aで重要なのは、タイミングです。すぐ決まることもあれば、買い手がなかなか見つからず苦戦することも。メディヴァが診療所の承継をサポートしてきた経験から、売主がM&Aの成功率を上げるために大切なことを3点お伝えします。

 

譲渡条件の優先順位を明確に

売主である先生からすれば、ご自身の診療所に対して並々ならぬ思いがあるでしょう。譲渡時にさまざまな条件を求めてしまう気持ちも理解できます。しかし、少しでも高く良い条件で譲渡したい売主と、少しでも安く良い条件で購入したい買主では「良い条件」の定義が相反してしまうことも少なくありません。どちらか一方の希望がすべてかなうことは、ほとんどない状況です。

だからこそ、事前に“譲れない条件”を絞り込んだうえで、それぞれに優先順位をつけておくことが非常に重要となってきます。売主が気にすることの多い条件について、判断ポイントをお伝えします。

 

譲渡金額

譲渡において、もっとも重要と言えるのがその金額です。当初の希望譲渡価格が通れば一番良いですが、買主候補から値下げを要求される可能性もあります。どういった条件であればどの程度まで値引きを検討できるのかも事前に考えておきましょう。

従業員の承継

基本的には、売主は承継後の経営に携わることができません。既存スタッフについては、一定期間の雇用継続を契約書に記載することもできますが、それが必ずしも彼らにとって良い結果になるとは限りません。一緒に働いてきた仲間を大切に思うのであれば、譲渡のタイミングで退職金を支払うなどの対応も視野に入れて検討するのが良いでしょう。

スケジュール

M&Aはご縁やタイミングに依拠する部分が大きいため、あらかじめ譲渡の時期を見通すのが困難です。そのため「いつまでに譲渡しなければならないか」がはっきりしている場合は、ほかの条件面を譲歩してでも売り切る必要が出てきてしまいます。しかし、最初の時点で明確な期限を伝えてしまうと条件を下げられてしまう可能性があるため、情報の開示は慎重に行いましょう。

 

買主に合わせた迅速な対応を

M&Aの商談では、一般的に買主が売主に対してデューデリジェンス(買収監査)を行います。そこでは、事業に関する質問をされるほか、役所への届出資料や財務状況・組織体制のわかるものなど、さまざまな資料の開示を行う必要があります。

しかし、売主は、M&Aの商談が進行している最中も診療所の先生として勤務しているため、買主が要求した事項へのレスポンスが遅くなってしまうこともあります。求めた資料や質問に対する反応が遅くなると、買主とのスピード感にずれが生じてしまい、商談がうまくいかなくなってしまうことがあります。

そうならないために、下記の点を心がけることが重要です。

  1. コンスタントにデータ管理を行い、必要な時にすぐ出せるよう準備しておく
  2. 顧問会計士や税理士などとの協力体制を築いておく
  3. すぐに依頼にこたえられない場合も、迅速に何かしらの返答をする

 

事業・診療は最後までおろそかにしない

M&Aはいつ譲渡できるのかあらかじめ目処を立てるのも難しく、成立するまでに年単位の時間がかかることもあります。そして一度譲渡することを決めてしまうと、無意識のうちに事業への熱量が下がってしまいがちです。

しかし、買主は、病院の過去の業績をもとにM&Aの可否やその条件を決めていきます。M&Aを検討する段階で業績が悪化傾向にあると、売主が受ける印象も良くありません。

そのため、譲渡を決意してからは、より業績の維持や向上に努めるようにすると良いでしょう。目の前のことに尽力することが、結果的に良い条件で買主を見つけることにつながります。

 

余裕があるうちからの準備で「医業承継」をスムーズに

医業承継において、今回は売主の目線から、成功するためのポイントをご説明しました。医療機関における後継者選びは、親子間でうまくいくとも限らず、第三者承継を視野に入れるケースも増えています。ある程度ご自身の体力や診療所の経営に余裕があるうちから、将来について考えてみるのはいかがでしょうか。

メディヴァでは、医業承継において、売主・買主双方のコンサルティングやサポートを行っています。病院経営をされている方、後継者がおらず漠然とした不安を抱えている方、ぜひ一度私たちにご相談ください。

 

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