コラム

due diligence
2019.11.27 ノウハウ

医療機関M&Aにおけるデューデリジェンスについて

M&Aを行ううえで理解しておきたいポイントのひとつに、「デューデリジェンス」があります。M&Aや医業承継を成功させるためには、このデューデリジェンスについてよく知っておくことが不可欠と言えます。本記事では、デューデリジェンスの全体像と、医業承継でそれを行う際に何を気をつけたら良いかについても解説します。

 

医業承継にも欠かせない「デューデリジェンス」とは

デューデリジェンスとは、M&Aにおける売主の価値やリスクについて調査を行うことで、「デューデリ」「DD」などとも言われています。

売主が買主に情報開示を行うとき、判断に足る情報を得るために、これまでやりとりしてきた情報の正確性や、未確認のリスクを確認するための手段として行われます。

 

デューデリジェンスにも多様な種類がある

デューデリジェンスにも、さまざまな種類があります。M&Aを検討する際、売主の医療機関を多様な観点から総合的に判断する必要があるためです。

代表的なものとしては、下記があります。

財務デューデリジェンス

決算書の妥当性や実在性、会計処理の適正性などを判断します。

税務デューデリジェンス

税務申告書の妥当性や正確性を判断し、M&Aスキームにおける税務リスク調査などを行います。

事業デューデリジェンス

事業計画の妥当性を判断したり、事業環境の分析や施設基準の確認などを行ったりします。

法務デューデリジェンス

組織・ガバナンスの調査や、法令遵守、許認可の確認などを行います。

不動産デューデリジェンス

不動産の状況、長期の修繕計画などを確認します。

人事労務デューデリジェンス

退職給付債務や残業代未払い債務の確認、労使関係の調査などを行います。

 

デューデリジェンスを行うタイミングは?

デューデリジェンスを行うタイミングは、一般的に基本合意書を締結した後とされています。買主が譲渡案件における概要、金額やスキーム、方向性に合意した状態です。

譲渡の対象が病床を持たない小規模なクリニックなどの場合、デューデリジェンスも限定的となるため、基本合意書を締結せずに進めることもあります。

基本合意書の締結については、売主・買主それぞれにメリット・デメリットがあります。

基本合意書においては優先交渉権を付与されることが多いため、デューデリジェンスの途中でほかの買主候補と商談が進んでしまうなどのリスクを防ぐことができます。デューデリジェンス自体時間とお金を要するものなので、買主としては基本合意書を締結し独占交渉権を得ておくと安心です。

一方、売主においては、基本合意書を締結して特定の買主候補に独占交渉権を付与すると、ほかの買主候補との商談機会を失ってしまう可能性があります。

 

デューデリジェンスを行う範囲は?

デューデリジェンスを行う範囲は、案件によって大きく異なります。

たとえば、出資持分譲渡に代表される法人譲渡の場合、手続き自体は比較的容易です。しかし、負債や権利関係をすべて引き継ぐので、潜在的・偶発的な債務も引き継ぐ可能性があり、デューデリジェンスを行う範囲も広くなります。

一方で、事業のみを継承する事業譲渡の場合はリスクが限られるため、デューデリジェンスの範囲も狭くて済みます。

ただし、費用面からデューデリジェンスの範囲を縮小してしまうと、調査が不十分となり、節約した分の何倍・何十倍もの損失を被る可能性があります。そのため、リスクを鑑みた上で、予算とスケジュールを調整する必要があります。

 

デューデリジェンスを行う人は?

デューデリジェンスを行うのは、買主本人あるいは買主が委託した外部の専門家であるケースがほとんどです。

外部委託をせずに行えばその分の料金も節約できますが、デューデリジェンスには高い専門性と人員リソースが必要とされるため、買主だけですべてのデューデリジェンスを行うのは極めて難しいと言えます。

外部機関を使用する場合は、デューデリジェンスを行う範囲をあらかじめ見定めて、目的を明確にしたうえで依頼をすることが重要です。忙しいから、よくわからないからと言って丸投げしてしまうと、必要ではないものまで調査をすることになり、費用が膨れ上がってしまう可能性があるためです。デューデリジェンスを行う範囲については、アドバイザーや仲介者に助言をもらいつつ、買主自らがきちんと理解して検討するようにしましょう。

 

デューデリジェンスの結果、リスクが発見されたら?

実際にデューデリジェンスを行った結果、リスクが発見されたら、どうしたら良いのでしょうか。

その場合、スキーム・金銭・最終譲渡契約書の内容、この3つのうちどれかで解決できないかを検討する必要があります。一つずつ詳しく解説していきます。

スキーム

医業承継のスキームは、大きく4つ(出資持分譲渡+社員・役員の交代、事業譲渡、合併、分割)に分かれます。それぞれに異なるメリットとデメリットがあるので、このスキームを変更することで、問題を解決できるケースもあります。

金銭

デューデリジェンスによって、職員の退職金の積立が不十分であるなどの簿外債務が発見されることがあります。その場合、譲渡金額からその分の債務額を差し引く交渉を売主と行い、解決を目指します。

最終譲渡契約書の内容

最終譲渡契約書において、「売主にリスクを解決してもらうこと」を成約の条件として盛り込む方法もあります。リスクが解決できないと成約の条件を満たせないため、契約を解除することが可能です。

 

これら3つの方法を検討しても解決できない大きなリスクが発見された場合は、M&Aそのものを断念しなければなりません。その後の損失を考えて、これまでデューデリジェンスにかかったコストや時間を切り捨ててでも「辞める」という決断をとることも重要です。

 

デューデリジェンスを正しく理解した上での医業承継を

デューデリジェンスは、医業承継のプロセスにおいても非常に重要です。外部委託する場合であっても、全体像や概要はもちろん、どのような範囲でデューデリジェンスを行うべきかについても考えておきたいものです。

メディヴァでは、医療承継・M&A支援のサービスを行っております。デューデリジェンスに不安がある方はもちろん、譲渡や開業をお考えの方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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