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2020.05.25 コラム ニュース

コロナ禍が医業承継に及ぼす影響とは?

売り手・買い手がチェックするポイントを解説

コロナ禍において、さまざまな業界が大きな影響を受けています。特に医療業界では、新型コロナウイルス感染者やその疑いがある方への対処など、他業界とは異なる流れも起きています。この記事では、新型コロナウイルスが医療業界に及ぼしている影響に触れたのち、この時期の医業承継の動向とポイントを解説します。

 

コロナ禍における医療業界全体の動向

コロナ禍においても、脳卒中や心筋梗塞などの救命救急領域、定期的な治療が必要な生活習慣病や透析、患者が外出せずに受けられる在宅医療など一部の分野においては影響が少ないものの、医療業界全体では売上も減少傾向にあります。

たとえば、急性期病院では、新型コロナウイルス感染者やその疑いのある患者に多くの医療資源を投入した結果、急を要さない検査や手術は延期される傾向です。

2020518日に日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の3団体から公表された「新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況緊急調査」(速報)によると、病院の収入は10%以上減少しております。さらに新型コロナ感染者を受け入れた病院においては、診療報酬上の配慮はあったものの減収分を補いきれておらず、より減収幅が大きいとの報告があります。

クリニックにおいては、不要不急の外出を控える動きにより外来患者数が減少しているところがほとんどです。特に、小児科、整形外科、消化器内科等への影響は大きいようです。また、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、厚生労働省は413日より、時限的・特例的な措置として、初診でのオンライン診療の実施を可能としました。その結果、外来患者の減少を補う背景もあり、都心部を中心に、オンライン診療が急速に普及し始めました。

新型コロナの感染拡大は全国的に減少傾向(2020522日現在)にはあるものの、治療薬やワクチンが出てくるまでにはまだ時間もかかるとみられ、感染拡大の第2波、第3波の可能性も懸念されています。そのため、すぐには以前の患者数に戻らない可能性も念頭に置きながら、今後の方向性について迅速に経営判断する必要があると考えています。

 

コロナ禍における医業承継、売り手と買い手の動き

医療業界全体があまり芳しくない状況のコロナ禍で、医業承継においてはどのような動きが見られるのでしょうか。

病院や診療所の売却に関する相談は、経営が苦しくなった影響も受け徐々に増えてきています。また、院長先生おひとりと少人数のスタッフで運営されているような小規模クリニックからは、院長先生がもし新型コロナに感染してしまったら診療を続けられないという不安から、ご相談されるケースもあります。

一方で、20204月においては買収のニーズは減少傾向にありました。この頃は緊急事態宣言が発令されており、さらに先行きも不透明で、もともと買収を検討していた買手候補からも保留や先延ばしの相談が相次ぎました。

一方、GW明けから、感染拡大が徐々に落ち着いてきたことの影響もあってか、買い手からの相談も少しずつ戻ってきている印象です。

 

売り手が医業承継を検討するなら

この時期の売却については、前述の通り、売上の変動が少ない透析施設や在宅医療を展開している医療機関などについては、引き続き買い手候補が見つかりやすいと考えています。また、病床を一定数保有している病院についても、病床がある意味での既得権益になるため、引き続き買い手を見つけやすい傾向にあります。

健診センターは、日本人間ドック学会からの自粛要請をうけ、多くの施設が休業となり、経営状況が落ち込んでいるところがほとんどです。ただし、法律上健康診断が義務付けられていることもあり、健診者数は新型コロナウイルス感染拡大が落ち着くとともに、一定数戻ってくる目途が立ちやすくMRIやエコーなど固定資産が大きいため、価値がつきやすい傾向にあります。健診などの自由診療は、保険診療と比べると医療業界外から新規参入しやすい分野なので、譲渡を検討される場合は、早めにかつ幅広く候補先を探されると良いでしょう。

一方で外来診療中心のクリニックにおいては、やや厳しい状況が続きそうです。特に、利益確保ができていないクリニックについては、なかなか買い手がつきづらいのが現状です。そのため、M&Aと並行して、複数のプランを検討いただくことが大事です。具体的には、譲渡先を探しながらも、平行して現体制にて収益拡大とコストカットを同時に行っていくのが良いでしょう。場合によっては、ダウンサイジングなど抜本的に方針を変える意思決定が必要になることもあるかと思います。

 

買い手は幅広く情報収集を

コロナ禍では、医療機関が受ける影響は非常に大きく先の見通しが立ちづらいため、現時点での買収が適切かどうかの判断は難しいところです。また、買収をはじめとした新規の投資を現在は控え、様子を見ている企業も多いでしょう。

ただし、今回の新型コロナウイルスの影響により、今後医業承継やM&Aの案件の増加が予想されます。意識的に幅広く情報を集め、買収も含めた今後の中長期的プランを考えられると良いかと思います。

 

医業承継以外の選択肢も視野に入れた計画を

先行き不透明な状況での医業承継は、承継以外の選択肢も含めて同時進行で検討すると、最善の判断を行えるうえリスクも最小限に止めることが可能です。

当社メディヴァは、医業承継はもちろん医療機関の再生や運営のコンサルティング、アドバイザリーを総合的に行っています。

医業承継を検討されている方はもちろん、業績の悪化でこのまま経営を続けるのが不安、資金繰りに苦慮されているなど、お困りごとがありましたらぜひお気軽にご相談ください。

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