コラム

2020.11.30 コラム 読み物

水海道さくら病院の事例から見る地域医療とクラウドファンディング

コロナ禍における業績不安で、クラウドファンディングを使って資金を調達する企業が増えています。事例としては飲食・旅行業界など、外出自粛の影響を大きく受ける業界が目立っていますが、地域医療を救う手段としても活用できそうです。当記事では、実際にメディヴァが過去クラウドファンディングをサポートした事例をご紹介し、ポイントを解説します。

 

クラウドファンディングは地域医療を救うのか

2020年9月現在、新型コロナウイルスの影響で、多くの企業や施設の業績が悪化し倒産や閉鎖に追い込まれています。そんな中、クラウドファンディングを使って事業存続のための資金を調達する企業や団体が増えてきました。

コロナ禍におけるクラウドファンディングは、外出自粛の影響を受けやすい飲食・観光業界で特によく行われています。医療関係では、医療機関へのマスクや防護服の送付、受け入れ先を増やすための寄付など直接的に新型コロナウイルス対策に関係するもののほか、地域医療を存続させるための資金を集めるものも出てきました。

クラウドファンディングは、新型コロナウイルスにより危機的状況に陥った地域医療を救う手立てとなり得るのでしょうか。この記事では、メディヴァが運営支援を行っている水海道さくら病院の事例を取り上げながら、医療機関がクラウドファンディングを行う際のポイントをご紹介します。

 

鬼怒川堤防決壊で被災した水海道さくら病院のクラウドファンディング事例

メディヴァが2012年より運営支援を行っている茨城県の水海道さくら病院は、2015年9月の鬼怒川堤防決壊により、大きな被害を受けました。地下と1階部分はすべて浸水し、一時は患者90名と職員40名が病院内に取り残されてしまいました。被害総額は8億とも言われ、被災直後は閉鎖を余儀なくされるほどの状況でした。

しかし、この病院は地域のライフラインで、閉院すると多くの患者の命にも関わります。たとえば、患者の半数は透析治療を必要としており、1日おきの透析治療を一生続けなければいけない彼らにとっては、水海道さくら病院への通院が生活の一部でした。

そこで、水海道さくら病院では、必死に復興作業を行いました。被災から6日後には、敷地内に仮設テントを設置し臨時診療を再開。約2週間後に、地域医療の1日も早い復興を目的に、READY FORのクラウドファンディングにて病院復旧プロジェクトを開始しました。リターンには、スタッフからのサンクスメールや復興の様子の報告、院内掲示予定の「被災復興ネームプレート」への氏名記載などを用意しました。

そして、クラウドファンディング開始から約20日後、被災から約1ヶ月経ったタイミングで、当初の目標額である300万円を達成。60日間で最終的な支援額は500万を超え、一時は存続不可能な状況まで追いやられた水海道さくら病院は、驚異的なスピードで病院機能を回復することができました。

 

地域医療×クラウドファンディングのポイント

メディヴァが運営支援を行っている水海道さくら病院は、クラウドファンディングを利用することによって、行政や金融機関以外からも復興に必要な資金を得ることができました。

経済的なメリットはもちろんですが、クラウドファンディングをきっかけにさまざまな方からご支援をいただき、地域に支えられている実感とともに病院のあるべき姿を再確認することができました。この経験から、医療機関がクラウドファンディングを行う際のポイントをお伝えします。

 

地域での役割や社会的意義など「ストーリー」を大切に

水海道さくら病院の経験から、医療機関のクラウドファンディングを行う際、もっとも大事なのは「ストーリー」を熱く紹介することだと考えています。

鬼怒川による病院の被災は非常にインパクトのある事例で、ニュースにも取り上げられやすかった背景がありました。しかし、今回は新型コロナウイルスの流行により、その影響を受けて経営難や医療崩壊の危機を迎えている病院は、全国に大多数あると考えられます。そんな中、クラウドファンディングの理由として経営状態の悪化を訴えるのみだと、あまり目に止まらない可能性があります。

その診療所やクリニックは、地域ではどのような存在なのか。どのような患者が集い、どのような人に必要とされているのか。その病院が運営を継続、または復興することでもたらされる社会的意義は何か——その地域に縁のある人だけではなく、たまたまクラウドファンディングの募集を見た人が関心を持つような切り口を見つけ、見せ方を工夫していく必要があります。

伝えたいストーリーが固まったら、発信をしていくことも大切です。プレスリリースを打ったり、こまめにブログ・SNSで取り組みやスタッフの思いを発進したりして、なるべく多くの人に活動内容を知ってもらえるようにしていきましょう。

 

地域医療存続のための選択肢としてのクラウドファンディング

クラウドファンディングがすべての地域医療を救う手立てになるかというとそうではありません。水海道さくら病院が被災した際も、実際にクラウドファンディングを行うかどうかの判断には非常に慎重で、時間を要しました。

しかし実際に行ってみると、その地域に何らかの縁がある人はもちろん、クラウドファンディングの募集を見て病院のミッションに共感し支援をしてくださった人もいました。また、少額からネットで完結するため、一般的な寄付より気軽に参加することができ、間口を広げることも可能です。あたたかい支援を受けて、スタッフの間でもより一層地域の人の役に立つ病院にしていきたい気持ちが高まったようです。

クラウドファンディングが地域医療の存続に役立った事例を覚えておくと、いざというときに選択肢の一つとして検討することができるのではないかと思います。

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