コラム

2020.02.01 読み物

3泊4日で地方の院長?!小松が提案する新しい医業承継の形「医療版デュアルライフ」(前編)

東京の病院・診療所はもう飽和状態、一方で地方では医療施設不足の地域が多数あり、医師も高齢化、地域で唯一の病院・診療所が廃院するケースも後を絶ちません。そのため、MEDIVAでは地方の病院・診療所を持続させるためのソリューションとして、医業承継の事業を行っています。とはいえ、地方にいきなり移住するのは大変という医師も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では、医師の新しい働き方「医療版デュアルライフ」について、小松の考えをご紹介します。

 

診療所の新規開業が難しい今、事業承継における課題とは

近年、特に東京都心部においては診療所が飽和状態であり、新規開業して多額の借金をして、それを長い年月をかけて返済して——というのは、ビジネスモデルとして成立が難しくなってきました。

在宅医療に関してはまだ伸びしろがありますが、外来の病院においては都内のみならず全国的に飽和している傾向にあります。

事業承継のメリットは、すでにある診療所を引き継げるところ。診療所があるということはそこにニーズがあるということなので、事業承継をツールや道具としながら地域医療の医師の偏在の解消や最適化などが図れないかなと思っています。

一方で、先生の立場から考えてみると、もしかしたら衰退してしまうかもしれない僻地、またそこまで極端ではなくても、特に縁のない地方に移住して診療所を継ぐことに対して、モチベーションを持ってもらうのは難しい問題です。

実際に地方の診療所を引き継ぎその土地に移住するとなると、医師だけではなくその家族の同意も必要です。医師本人が地方での医業承継に乗り気であっても、家族はそうでないケースも多く、なかなか一筋縄ではいきません。

 

3泊4日で病院長?!という提案

東京近郊に住んでいる医師が、いきなり拠点を地方に移すのは難しいもの。これまで医師に対して「医師不足の地方の診療所が給与と交通費を全部持つから来てくれませんか」という提案もしていますが、これには限界を感じています。雇われて行くのでは自分ごとになりづらいですし、移動が多いと体力的に大変な部分も当然出てきます。

そのような状況を踏まえて提案するのが、東京近辺で生活しながら地方に出張する形で働く「医療版デュアルライフ」です。

地方で開業して、住むのは都会」——3泊4日地方で開業し、2泊3日東京でゆっくりするという働き方。東京や大阪、福岡などの都心部に家族や住居などの拠点を構えつつ、自分自身は週の一定期間地方に行って、帰ってくる生活のことです。

その地域に医療のニーズがあることを前提に医師が現地に赴き、たとえば1週間のうち3泊4日をそこでの診療にコミットするとします。医師は単身で現場に向かうため、夜間の往診なども家族のペースを気にせず週の半分を集中して対応することができます。そして、残りの日数はアルバイトの先生をその地域で雇うなどすれば、週6での開業が可能になりそうです。ある程度稼げている診療所を引き継げば、院長の交通費などがかかることを考えても、結果的には安い資金で独立開業することが可能になります。この方法だと、2泊3日東京にいる時間が持てるのも良い点です。

勉強する日を週に1日ないし2日作ることもできるし、家族とゆっくり過ごす時間もできる。家族も割り切っているから、東京にいる間は家族との時間と2泊3日間家族と向き合うこともできる。家族は、住居を変える必要もない。院長だと、仕事の働き方のバランスをとりつつ、しかも定年がない。勤務医だとどうしても定年があるから、いつまでどう勤めるんだという不安があり、開業した方がいいと…

地域住民から歓迎され、モチベーションアップにも

経験上、これまで医師が不足してきた地域に先生が来ると、間違いなく住民たちからも頼りにされます。住民の方とちょうど良い距離感で関係性を築けるかどうかはその地域によって少し変わってきますが、医師が地域に行って、住民の皆さんのために医療提供すると非常に感謝されます。

それは先生方にとってすごく大事なモチベーションで、自身の存在意義を感じられることだと思います。都会で「必要なのかな」と思いながら新規開業して、風邪の患者を毎日診ているだけの人もいるんじゃないかなと。患者や地域住民からの感謝にやりがいを感じてやっているというより、ビジネスで勝たなければいけないから開業する、という傾向が特に東京では出てきている印象です。

 

医師としての仕事の醍醐味を味わうために

医療をして感謝されて、その地域の人たちに愛されることこそが、医師の仕事の醍醐味であると考えている医師も少なくありません。

その醍醐味を、極力リスクが低い形で実現するために出てきたのが、今回の「週数日地方で仕事をする形での医業承継」。

記事後半では、具体的にどのようにしてこの「新しい働き方」を広めていくかについてさらに話を進めていきます。